夢より現れしは紅き退魔の剣

『詳しい事はちょっと俺の方の都合で言えんねんけどー…コレ(双子)の飼い主の所に居候させて貰った時にとあるこわーいお嬢さんの怒り買っちゃってなぁ…ま、元々気に入らんかったのもあるけど…「アンタみたいな奴がお姉様の元に入れること自体奇跡だと思いなさいよっ!」
「お姉様方は寛大だからこそアンタみたいな奴でも拾って下さったのよ!」

ごめんなーアイツらやかましくて。そいで…リークはこっちに連れて来た時に、安全そうなこの街で別れたんや 勿論俺との記憶を全部決して…まさかこんな立派なお城に拾って貰ってたんか…』

しみじみとそう呟きながら上を向いて、目元を余計に覆い隠す様に下へ引っ張り、一旦大きく息を吸った

『こんな俺が言える立場とちゃう事ぐらい…解っとるんやけど、今後ともリークの事頼んでもエエかな?まだ何も知らんお子様やし…迷惑掛けるかもしれんけど』

「リー君は大事なお友達だからこれからもずーっと一緒にいるよ♪」

「そうだな…理由はそれぞれだけど、それまでずっと一緒に暮らして来たんだから それが今になって変わる訳ないな」

「ここの王様や王女様方もよく遊んで下さってるから大丈夫ですよ~ 他に兵士やメイドの皆さんからも可愛がって貰ってるみたいですし」

『そっか…幸せそうやねんな…ありがとう』

無理に口元を笑みの形に作りながらもう一度深く御辞儀をしたが、その様子が双子には面白くなかったらしく

「本当は存在が邪魔だったんじゃなくて?!」
「別れたんじゃなくて棄てたんでしょう?!」

『俺への暴言は許したるけど、リークの事を何も知らんお前らは黙っとれや じゃあコイツらまずは持って帰るわな。庭はー…直せる魔法無いけどせめてこれぐらいは』

 手の中に薄緑色の小さな竜巻のような風を召喚し、それを遠くに投げるとゆっくりと移動しながら地面に散っていた黒薔薇の花びらを回収し始め、全てを掃除終えた風はリースの元へ戻ったので、広げていた手をぐっと強く握る様にするとそれは手の動きに呼応する様にして小さくなりそして跡形も無く消滅した
跡形も無くなった花びらに皆が驚いている中。座らせたままだった双子の両腕を掴んで無理に立たせた

「痛いわっ!もっと丁重に扱いなさいよ!!」
「いい加減放しなさいよ!何でアンタがわざわざここに来たのか知らないけどこれじゃあお姉様から頂いた命を全う出来ないじゃないっ!」
「だったら命を譲ってあげても宜しくてよっ?!今ここでアイツらを殺りなさいよ…」

『だから黙れや…』

「今ここでアイツらを殺ったらお姉様方が褒めて下さるわよ?!」
「どうせならアンタが棄てたリークとか言う奴でも宜しくてよ?!!どうせ今はアンタには関係のなっ」

 そこまで好き勝手言った時だった。彼の背後で槍が二本召喚され、双子の胸部めがけてそれは躊躇いなく突き刺さった。

咄嗟にサンがシェリルの目と耳を覆い隠したお蔭で彼女は何も見えず聞こえずだったが、突然の事に呆然とする彼らの目の前では双子の甲高い叫び声が響き渡った。
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