夢より現れしは紅き退魔の剣
水晶の鮮やかな戦い方に二人は呆気にとられた様に只ずっと見つめていた。
「水晶ちゃんの実力…間近で見たのって初めてだけどすんげぇ鮮やかだ…」
「詠唱無しにあんな結晶も出せるんだから両方凄い。って事よね…」
「主ら…感心するのは良いが、目的を果たしたのだからさっさと退かぬか…」
やや呆れた様子でそう言いつつ、二人に向けて荊を伸ばそうとした双子の方へ結晶の壁を作って退路を作ってくれた。
『お姉様方助けてくださいいっ!!寒いですぅ~っ!』
「道は作ってやったのだから早く行くがよい。しんがりは務めるが…心配するでない」
鞭の代わりにと短刀をで斬りかかるレルクの攻撃を余裕そうに避けている姿を見ていた二人は、それを了承して共に用意して貰った道をへと走ろうとした時。黒いローブの青年とすれ違った。 今のは誰だろうか?そう思い振り返ったのもつかの間。彼は水晶の腹部めがけて持っていた小太刀を躊躇いなく突き刺した。
「!!うぐっ…?!なに、が…?」
刺した小太刀を傷口から一気に引き抜くとそこから大量の血液が流れだし、手で押さえてはいたがたまらず彼女は地面に膝を付いた。
突然彼が現れた事に御幻や水晶だけではなく、レルクやセフィリア達でさえも驚いた様子を見せていた。
『何でアンタまでがこっちに…今は確か向こうに居る筈でしょ…?!』
『何用かしら…トレートル…』
「思ったより君たちが交渉下手だからお手伝いに来たんだよ? リース。おいで」
『…なんや?』
「主の声…誰か、に…似て…」
トレートルと呼ばれた青年は手を叩いてリースを呼び寄せて、こちらを振り向かれる前に水晶の空いている手をリースに後ろ手に拘束させると、その状態に思わずエクは途中で足を止めて戻ろうとするが、御幻が肩を掴んで引きとめた。
「!?水晶ちゃんっ!!」
「待ってエク!今戻ってもさっきと同じになるだけよ?!だから…」
「それでも戻るっきゃねぇだろ!!」
「人の子にしては随分珍しい子だね。見捨てて逃げればいいのに戻ろうとするなんて …深時。これ以上君には僕の目的を邪魔をされたくないんだ」
「っ…ぐっ…はぁっ…目的…?」
「君達は一切知らなくても良い事。だよ こんな所で忠実な狗を失うのは惜しいとは思うけれど……今回は彼女の犠牲だけで穏便に済ませてあげるよ」
「何が穏便にー。だ!ふざけんなよ!水晶ちゃんの事知ってる風な口ぶりだけど言ってる事滅茶苦茶じゃねぇかよっ!!」
トレートルの提案にエクが真っ向から否定するが、彼は素知らぬ様子で小首を傾げていた
「あれ程…戻れ、と申して……おった…っのに… もう一度、聞くがリース…こちらに戻る気は…?」
『悪いなぁ。俺の飼い主は向こうのお嬢さんや。それと…向こうのアレも…』
「…そう…か。ならもう、遠慮はしなくて良いなっ!!!」
痛みに表情を歪ませながら押さえていた傷口部分をあえてもう一度傷付け、溢れ出た血液を手に溜めてそのままリースの目元めがけて投げつけた。
『Σえ?ちょっ!!うわわっっ!!』
上手く直撃したお蔭で腕の拘束が外れ、自由になった所で水晶はそのまま地面に手を付いたまま一気に力を込める。
「水晶ちゃんの実力…間近で見たのって初めてだけどすんげぇ鮮やかだ…」
「詠唱無しにあんな結晶も出せるんだから両方凄い。って事よね…」
「主ら…感心するのは良いが、目的を果たしたのだからさっさと退かぬか…」
やや呆れた様子でそう言いつつ、二人に向けて荊を伸ばそうとした双子の方へ結晶の壁を作って退路を作ってくれた。
『お姉様方助けてくださいいっ!!寒いですぅ~っ!』
「道は作ってやったのだから早く行くがよい。しんがりは務めるが…心配するでない」
鞭の代わりにと短刀をで斬りかかるレルクの攻撃を余裕そうに避けている姿を見ていた二人は、それを了承して共に用意して貰った道をへと走ろうとした時。黒いローブの青年とすれ違った。 今のは誰だろうか?そう思い振り返ったのもつかの間。彼は水晶の腹部めがけて持っていた小太刀を躊躇いなく突き刺した。
「!!うぐっ…?!なに、が…?」
刺した小太刀を傷口から一気に引き抜くとそこから大量の血液が流れだし、手で押さえてはいたがたまらず彼女は地面に膝を付いた。
突然彼が現れた事に御幻や水晶だけではなく、レルクやセフィリア達でさえも驚いた様子を見せていた。
『何でアンタまでがこっちに…今は確か向こうに居る筈でしょ…?!』
『何用かしら…トレートル…』
「思ったより君たちが交渉下手だからお手伝いに来たんだよ? リース。おいで」
『…なんや?』
「主の声…誰か、に…似て…」
トレートルと呼ばれた青年は手を叩いてリースを呼び寄せて、こちらを振り向かれる前に水晶の空いている手をリースに後ろ手に拘束させると、その状態に思わずエクは途中で足を止めて戻ろうとするが、御幻が肩を掴んで引きとめた。
「!?水晶ちゃんっ!!」
「待ってエク!今戻ってもさっきと同じになるだけよ?!だから…」
「それでも戻るっきゃねぇだろ!!」
「人の子にしては随分珍しい子だね。見捨てて逃げればいいのに戻ろうとするなんて …深時。これ以上君には僕の目的を邪魔をされたくないんだ」
「っ…ぐっ…はぁっ…目的…?」
「君達は一切知らなくても良い事。だよ こんな所で忠実な狗を失うのは惜しいとは思うけれど……今回は彼女の犠牲だけで穏便に済ませてあげるよ」
「何が穏便にー。だ!ふざけんなよ!水晶ちゃんの事知ってる風な口ぶりだけど言ってる事滅茶苦茶じゃねぇかよっ!!」
トレートルの提案にエクが真っ向から否定するが、彼は素知らぬ様子で小首を傾げていた
「あれ程…戻れ、と申して……おった…っのに… もう一度、聞くがリース…こちらに戻る気は…?」
『悪いなぁ。俺の飼い主は向こうのお嬢さんや。それと…向こうのアレも…』
「…そう…か。ならもう、遠慮はしなくて良いなっ!!!」
痛みに表情を歪ませながら押さえていた傷口部分をあえてもう一度傷付け、溢れ出た血液を手に溜めてそのままリースの目元めがけて投げつけた。
『Σえ?ちょっ!!うわわっっ!!』
上手く直撃したお蔭で腕の拘束が外れ、自由になった所で水晶はそのまま地面に手を付いたまま一気に力を込める。