夢より現れしは紅き退魔の剣
道場内へ帰宅したものの、エクの様子に待機していたサンは思わず眉間に皺を寄せた
「おかえ……何それ……?」
「何だろうね~」
「えぇー…折角用意も練習もしてたのに反応酷過ぎだろ…シェリ姉ちゃんやリー君は楽しんでくれるってのに…」
ぶつぶつと文句を言いながらカチューシャを外すと、ようやく掴まれていた襟首が放された
「それじゃあ頑張ってね~エクなら大丈夫だよ」
背中を軽く押されながら中央に歩かされ、サンも向かい合う様にして中央へ向かい、お互いに開始の挨拶を行った。
「根拠のねぇ応援なんかいらねぇよー…はぁ…よろしくおねがいしますぅー」
(本当にやる気ないな…)「よろしくお願いします。 エク、僕の稽古では回避を覚えて貰うから…本気で逃げて貰うよ」
鞘に収めたままの刀が構えられたので、両手を上げて降伏の意を示していたがそれが通じる筈も無く鼻先が掠められる寸前の所で鞘に入った刀が振り下ろされた。
「Σうわわっっ?!!ほ、本気過ぎるだろ…こうなれば……!レニが居た頃に見せた有り余るスタミナを発揮しΣふぎゃぁあっ?!!か、刀以外に体術使うなんて聞いてないよっ!!」
「愚問だよエク。…本気で逃げろと言ったばかりなんだから嫌なら無駄口叩かず集中しろ!」
(他の二人の時よりスパルタだっ!!)と内心で大きく叫びながら繰り出される足技を最初は必死になってサンの動きを見て避けていたが、一息つける間もない猛攻が続いた事でまた弱気になったらしく、思わず彼は背を向けて逃げた。だがその行動が仇となり、背中へ強烈な突きが放たれてしまい前のめりに転んでしまった。
「Σうっででで…痛っー…!!!サン姉ちゃん容赦なさすぎるって…;」
前のめりに転んでしまった事で額を打ってしまったらしく座り込んで喚いていると、サンも一旦攻撃を止めて近くに座って話し始めた。
「それはエクが途中から背なんか向けるから。 …確かに恐怖が先立つかもしれないけど…戦いにおいて同じ行動をしたらどうなると思う?稽古だから加減はしたけど…逃げたせいでどうなったか身に染みて分かったでしょ?」
「痛すぎる位に分かったけど…シー兄ぃもサン姉ちゃんはどうだったんだよ…確かにそんな様子無かったけどさ」
「そんな事無いよ~?僕もレーンも、最初の頃は結構逃げてばっかりだったよ?」
「その度に師匠からは叱られてたけど…」
「懐かしいね~。前はエクと同じだったんだけど今はもう慣れちゃった…のかな?身を護る事もそうだけど誰かを護る。って言うのも同時に教えて貰ったからだと思う」
「誰かを??」
「僕らが教わって、今教えているのは誰かを殺す為の剣じゃない。って事だよ エクは地元に帰って剣術大会とかそういうのに出るんでしょ?頑張らないと」
「いや…それはさ…」
「?」
「…何でもない…」
御幻の嘘が未だ続いていた事にエクの目の周りが暗くなったが、今ここで嘘でした。なんて事が言えるはずもなく、口を噤んだ。
「ほら、打ち身とかなら後でどうにかしてあげるから稽古の続きを開始するよ!」
「Σもう疲れたってぇぇええっ!!!!」
話しが終わり、もう一度稽古が再開されたものの、初日の稽古は日が暮れるまで行われた。
「おかえ……何それ……?」
「何だろうね~」
「えぇー…折角用意も練習もしてたのに反応酷過ぎだろ…シェリ姉ちゃんやリー君は楽しんでくれるってのに…」
ぶつぶつと文句を言いながらカチューシャを外すと、ようやく掴まれていた襟首が放された
「それじゃあ頑張ってね~エクなら大丈夫だよ」
背中を軽く押されながら中央に歩かされ、サンも向かい合う様にして中央へ向かい、お互いに開始の挨拶を行った。
「根拠のねぇ応援なんかいらねぇよー…はぁ…よろしくおねがいしますぅー」
(本当にやる気ないな…)「よろしくお願いします。 エク、僕の稽古では回避を覚えて貰うから…本気で逃げて貰うよ」
鞘に収めたままの刀が構えられたので、両手を上げて降伏の意を示していたがそれが通じる筈も無く鼻先が掠められる寸前の所で鞘に入った刀が振り下ろされた。
「Σうわわっっ?!!ほ、本気過ぎるだろ…こうなれば……!レニが居た頃に見せた有り余るスタミナを発揮しΣふぎゃぁあっ?!!か、刀以外に体術使うなんて聞いてないよっ!!」
「愚問だよエク。…本気で逃げろと言ったばかりなんだから嫌なら無駄口叩かず集中しろ!」
(他の二人の時よりスパルタだっ!!)と内心で大きく叫びながら繰り出される足技を最初は必死になってサンの動きを見て避けていたが、一息つける間もない猛攻が続いた事でまた弱気になったらしく、思わず彼は背を向けて逃げた。だがその行動が仇となり、背中へ強烈な突きが放たれてしまい前のめりに転んでしまった。
「Σうっででで…痛っー…!!!サン姉ちゃん容赦なさすぎるって…;」
前のめりに転んでしまった事で額を打ってしまったらしく座り込んで喚いていると、サンも一旦攻撃を止めて近くに座って話し始めた。
「それはエクが途中から背なんか向けるから。 …確かに恐怖が先立つかもしれないけど…戦いにおいて同じ行動をしたらどうなると思う?稽古だから加減はしたけど…逃げたせいでどうなったか身に染みて分かったでしょ?」
「痛すぎる位に分かったけど…シー兄ぃもサン姉ちゃんはどうだったんだよ…確かにそんな様子無かったけどさ」
「そんな事無いよ~?僕もレーンも、最初の頃は結構逃げてばっかりだったよ?」
「その度に師匠からは叱られてたけど…」
「懐かしいね~。前はエクと同じだったんだけど今はもう慣れちゃった…のかな?身を護る事もそうだけど誰かを護る。って言うのも同時に教えて貰ったからだと思う」
「誰かを??」
「僕らが教わって、今教えているのは誰かを殺す為の剣じゃない。って事だよ エクは地元に帰って剣術大会とかそういうのに出るんでしょ?頑張らないと」
「いや…それはさ…」
「?」
「…何でもない…」
御幻の嘘が未だ続いていた事にエクの目の周りが暗くなったが、今ここで嘘でした。なんて事が言えるはずもなく、口を噤んだ。
「ほら、打ち身とかなら後でどうにかしてあげるから稽古の続きを開始するよ!」
「Σもう疲れたってぇぇええっ!!!!」
話しが終わり、もう一度稽古が再開されたものの、初日の稽古は日が暮れるまで行われた。