夢より現れしは紅き退魔の剣
『お疲れ様でした。マスター』
「うん、ありがと~ヘルヴェイル それにしてもびっくりしたなぁ~…」
やれやれ。と疲れた様子で天井を見上げるシーラへ、正座の姿勢を少しだけ崩したサンがどう言う事なのか問いかけた。
「…僕が指摘するまですごーく適当だったのに…型を整えたら凄く良くなったのはいいんだけど…びっくりしちゃって反射的に投げちゃった(笑;)」
「たかが一回だけ素振りの練習と型を教えて貰っただけでそんなに変わるんだ……」
「師匠とは従姉弟関係だから…ちゃんと素質はあるんじゃないかな?きっと僕らと同じ様に稽古に励んでいたら良い剣士になったかもしれないけど…」
「うん…」
そこであえて一旦言葉を切ったが、それ以降の言葉は容易に想像できたらしく、続きを言わない代わりに彼女は数回頷いて相槌を打った所で会話は途切れ、道場内はシンッと静まり返った。
お互いにそれ以上会話する事も視線を交わす事もせず、只静かにその場で座ったまま時間を過ごし、ある程度時間が経った辺りでシーラが立ち上がり、エクをそろそろ呼んで来る。と伝えるも、彼女は伏し目がちに一回だけ頷いた
道場を出て渡り廊下を歩いていると、先程の重い空気を心配したヘルヴェイルが声を掛けた。
『マスター…大丈夫ですか?』
「ん~?ふふふっ。心配性だね~ヘルヴェイルは」
『そ、そう言う訳ではー…無い…と言い切れませんがその……』
「心配無いよ。
…おっと…早く行こっか~。放っておき過ぎたら寝ちゃうかもしれないし」
ヘルヴェイルの言葉に対し口元には笑みを浮かべたままだったが、それ以上詮索されたくないのも事実だったので固い声で心配ない。とだけ話し、いつもの口調に戻ってからエクが居るであろう部屋に一直線に向かった。
部屋を訪れると、案の定彼は待ちくたびれてしまっていたらしく布団の上で寝転がっていた。
「エク~そろそろ稽古を始めるよ~?」
「Σえぇぇえー!!…もう疲れたから良いよー……」
「文句なら今日の分が終わったら聞いてあげるから頑張ろうね~?」
動きたくないと駄々をこねるエクを抱え上げ、襟首を掴んだまま強制的に歩かせた
「離してくれよシー兄ぃ…これじゃあイタズラ見つかった猫みたいじゃんか」
「エクの場合猫と言うより小型犬っぽいけどね~」
そう例えた直ぐに何処からか取り出した猫耳の付いたカチューシャを取り出して装備して見せるが、笑ったまま空いた手で猫耳の部分を指先で軽くいじられただけで、その体制は一向に変わらないまま道場へと連れていかれてしまった。
「うん、ありがと~ヘルヴェイル それにしてもびっくりしたなぁ~…」
やれやれ。と疲れた様子で天井を見上げるシーラへ、正座の姿勢を少しだけ崩したサンがどう言う事なのか問いかけた。
「…僕が指摘するまですごーく適当だったのに…型を整えたら凄く良くなったのはいいんだけど…びっくりしちゃって反射的に投げちゃった(笑;)」
「たかが一回だけ素振りの練習と型を教えて貰っただけでそんなに変わるんだ……」
「師匠とは従姉弟関係だから…ちゃんと素質はあるんじゃないかな?きっと僕らと同じ様に稽古に励んでいたら良い剣士になったかもしれないけど…」
「うん…」
そこであえて一旦言葉を切ったが、それ以降の言葉は容易に想像できたらしく、続きを言わない代わりに彼女は数回頷いて相槌を打った所で会話は途切れ、道場内はシンッと静まり返った。
お互いにそれ以上会話する事も視線を交わす事もせず、只静かにその場で座ったまま時間を過ごし、ある程度時間が経った辺りでシーラが立ち上がり、エクをそろそろ呼んで来る。と伝えるも、彼女は伏し目がちに一回だけ頷いた
道場を出て渡り廊下を歩いていると、先程の重い空気を心配したヘルヴェイルが声を掛けた。
『マスター…大丈夫ですか?』
「ん~?ふふふっ。心配性だね~ヘルヴェイルは」
『そ、そう言う訳ではー…無い…と言い切れませんがその……』
「心配無いよ。
…おっと…早く行こっか~。放っておき過ぎたら寝ちゃうかもしれないし」
ヘルヴェイルの言葉に対し口元には笑みを浮かべたままだったが、それ以上詮索されたくないのも事実だったので固い声で心配ない。とだけ話し、いつもの口調に戻ってからエクが居るであろう部屋に一直線に向かった。
部屋を訪れると、案の定彼は待ちくたびれてしまっていたらしく布団の上で寝転がっていた。
「エク~そろそろ稽古を始めるよ~?」
「Σえぇぇえー!!…もう疲れたから良いよー……」
「文句なら今日の分が終わったら聞いてあげるから頑張ろうね~?」
動きたくないと駄々をこねるエクを抱え上げ、襟首を掴んだまま強制的に歩かせた
「離してくれよシー兄ぃ…これじゃあイタズラ見つかった猫みたいじゃんか」
「エクの場合猫と言うより小型犬っぽいけどね~」
そう例えた直ぐに何処からか取り出した猫耳の付いたカチューシャを取り出して装備して見せるが、笑ったまま空いた手で猫耳の部分を指先で軽くいじられただけで、その体制は一向に変わらないまま道場へと連れていかれてしまった。