夢より現れしは紅き退魔の剣

「何か知らないけどー(サクサク)ここに来る途中に街を寄り道してたらさー(サクサク)急に(紅茶TIME)目が金色?に光ってて、気が付いたら(サクサク)なおってたんだけど」

(食べるか飲むか話すかどれか一つにして欲しいが…)「退魔師としての感知の目が反応した…と言う訳か。その者の姿は見ておらぬのか?どのような姿であったか…?」

 他に情報が無いかを聞き出す為、水晶がさりげなくドレッサーの上に置いていたガラスの入れ物を取り、エクの目の前に置いて蓋を開けるとそこには綺麗な飴玉が入っていた。
興味津々に喜ぶエクに手で「どうぞ。」と合図をすると簡単に食い付いた。

「姿な~…何か、微かに黒いドレスの人が見えた様な気もするなー」

「ほぅ…」

自分の記憶と照らし合わせながら話を聞き、チラリと御幻の方へ視線を向けると自棄になった様にそっぽを向いたまま紅茶を飲んでいた。

「主からも、知っている事を聞きたいのだが?」

「ふんっ。もう簡単に聞き出したから十分なんじゃないのっ?!駆け引きもなーんにもできなかったし、今だって私から聞いたって同じに決まってるでしょ?」

「そうとは限らぬだろう?この者の目が感知した時。主ならばあるいは誰だったのか見ておっても不思議ではないと思ってな」

「~~っ!ちょっと優位に立ってるからって…っ!!」

「話してくれぬのなら私も語れぬな…主にとってもとても大事な話なのだが…?」

 頬を軽くふくらましたままそっぽを向いていたが、まだあまり情報が無い自分の方が圧倒的に不利と考え、渋々ながら話し始めた

「一瞬だけ目が合っただけに過ぎないけど…遭ったのよ。セフィリアと」

「…他には?」

「分かるのはそれだけよ…何でこんな所にいるのかは知らないけど、私の一族の為にも今代で浄化しなければならないのよ」

御幻からようやく聞き出した情報に、水晶はしばらく目を閉じたまま黙っていたが、早く教えろと言わんばかりにわざと装備爪をコツコツと鳴らして来るので、自分の持つ情報をある程度話し始めた。

「剣姫は、私がここにいる事に合点が行く。と言っておった通り私もあの者を追っておる。勿論上からの命でな それで、私達は各国に散る事となり今は部下として使えておる。と言う訳だ」

「目的の為にわざわざ上から来るなんて御大層な事ね」

「目的の為に怪しまれない様にと記憶をいじる方がよっぽど御大層だと思うが?」

「?」

同じ様に言い返され、ガルル。と唸っていたが、気にした様子も無く話が続けられた。

「何処におるのか分からなかったのだが…剣姫のおかげで有益な事が解ったのは感謝に値する事だな」

「そう思うなら何かもっと有益な事教えなさいよ」

「うむ、そうだな。では 剣姫の主であるその者は…剣術に関して完全にド素人だ

彼女の言った言葉が上手く通じなかったのか、御幻は勢いよく椅子からガタッと音を立てて立ち上がったが、聞き間違いかもしれない。きっとそうに違いない。そう自分に言い聞かせてもう一度席に座り直し、もう一度言って欲しいとジェスチャーを交えて聞き直した。
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