夢より現れしは紅き退魔の剣
国土も広く、毎月の様に様々なお祭りがおこなわれるイシュバリエ国の眼下に広がる城下町。シュベルツ街から少し離れた郊外には道場兼、和風の平屋が建っていた。
縁側から見える広い庭には桜が数本植えてあり、今は時期的に満開なので少しの風が吹く度に枝が揺れて花びらが散り、その度に近くにある池にも花びらが着水し一層の風流さがあった。
美しく咲く桜を眺めながら、開きっぱなしになっている縁側から室内へと入る一人の青年の姿があった。 青い髪に毛先だけ黒色で黒い眼をし、白いワイシャツと黒いネクタイとシンプルな服装。背中には小柄な彼には不釣り合いな(喋る)刀を背負った青年「シーラ=タナトス」は、自分達が昔使っていた勉強部屋を通って奥にあった障子の閉じられている部屋を開けた。
障子を開けると、そこには広い畳のある室内に布団を顔まで大きく覆うようにして寝ている黒い髪の少年「エク=グレイル」の姿があり、シーラは彼の近くまで歩み寄ると、布団の上から軽く叩いてみた。…が、寝返りをうつだけでそれ以上の反応は無い
(うーん…困ったなぁ…)
起きる気配の無いエクに表情は笑顔のまま困った様に首を傾げ、とりあえず布団を剥ぎ取ってやるとだらしなく口を小さく開けて寝ている姿が
「エクー朝だよ~起ーきて?」
「んー……ZZz」
「…うーん、仕方ないなぁ」
頬をつついても揺さぶっても起きそうになかったので、その場から立ち上がり背中に背負っていた刀を鞘に納めたまま、エクの頬へとぐりぐりと押し付ける様にしてみた
それでも必死に寝ようと意地になるエクだったが、やはり頬の一撃が痛かったらしく叫ぶようにようやく飛び起きた
「Σ痛ってぇよシー兄ぃいい!!もっとマシな起こし方無かったのかよ!おはよう!」
「あ、起きた~?おはよ~エク」
『おはようございます、グレイル様。頬はー…大丈夫でしょうか?』
「俺を起こす位でヘルヴェイル使わなくたって…めり込むんじゃないかって位痛かったけど」
「エクが僕らにモーニングコールして欲しいって頼むから起こしに来たんだよ?ほらほら、早くお着替えしようねー」
飛び起きたエクに、隣の部屋で早く着替えるように急かしておき、自分は縁側から見える桜でも眺めて時間を過ごしておこうとした時。襖を開けたエクが不意にシーラへを問いかけた。
「なぁシー兄ぃ。夢の中でー…その、知らない場所で知らない女の人に会った夢って見た事ある?」
「?どうしたの?突然。白昼夢でも見たの?」
「Σち、違うって!!俺はそんな願望とか無いもんっ!ええっと何かこう…真っ黒い空間に水面があって、そこに紅い髪で金色の眼で………背が高い女の人が居てさ 何か話しているみたいだけど声は聞き取れなくて…」
「うーん…僕はみた事無いからよく解らないな~…ヘルヴェイルは?」
『私もその様な夢は聞いた事もありませんし…寧ろ夢は見れませんし……あ、でも深時様なら何か知っているのではないでしょうか?』
「そっか!水晶ちゃんなら詳しそうだ!!んじゃあ行こうぜ!今すぐ行こうぜ!!」
「その前にお着替えね。」
意気込むエクに着替えるように促し、彼は縁側に腰掛けて靴を履いてから背負っていた刀にも桜が見えるように向きを変えてやり、一緒に待機していた。
縁側から見える広い庭には桜が数本植えてあり、今は時期的に満開なので少しの風が吹く度に枝が揺れて花びらが散り、その度に近くにある池にも花びらが着水し一層の風流さがあった。
美しく咲く桜を眺めながら、開きっぱなしになっている縁側から室内へと入る一人の青年の姿があった。 青い髪に毛先だけ黒色で黒い眼をし、白いワイシャツと黒いネクタイとシンプルな服装。背中には小柄な彼には不釣り合いな(喋る)刀を背負った青年「シーラ=タナトス」は、自分達が昔使っていた勉強部屋を通って奥にあった障子の閉じられている部屋を開けた。
障子を開けると、そこには広い畳のある室内に布団を顔まで大きく覆うようにして寝ている黒い髪の少年「エク=グレイル」の姿があり、シーラは彼の近くまで歩み寄ると、布団の上から軽く叩いてみた。…が、寝返りをうつだけでそれ以上の反応は無い
(うーん…困ったなぁ…)
起きる気配の無いエクに表情は笑顔のまま困った様に首を傾げ、とりあえず布団を剥ぎ取ってやるとだらしなく口を小さく開けて寝ている姿が
「エクー朝だよ~起ーきて?」
「んー……ZZz」
「…うーん、仕方ないなぁ」
頬をつついても揺さぶっても起きそうになかったので、その場から立ち上がり背中に背負っていた刀を鞘に納めたまま、エクの頬へとぐりぐりと押し付ける様にしてみた
それでも必死に寝ようと意地になるエクだったが、やはり頬の一撃が痛かったらしく叫ぶようにようやく飛び起きた
「Σ痛ってぇよシー兄ぃいい!!もっとマシな起こし方無かったのかよ!おはよう!」
「あ、起きた~?おはよ~エク」
『おはようございます、グレイル様。頬はー…大丈夫でしょうか?』
「俺を起こす位でヘルヴェイル使わなくたって…めり込むんじゃないかって位痛かったけど」
「エクが僕らにモーニングコールして欲しいって頼むから起こしに来たんだよ?ほらほら、早くお着替えしようねー」
飛び起きたエクに、隣の部屋で早く着替えるように急かしておき、自分は縁側から見える桜でも眺めて時間を過ごしておこうとした時。襖を開けたエクが不意にシーラへを問いかけた。
「なぁシー兄ぃ。夢の中でー…その、知らない場所で知らない女の人に会った夢って見た事ある?」
「?どうしたの?突然。白昼夢でも見たの?」
「Σち、違うって!!俺はそんな願望とか無いもんっ!ええっと何かこう…真っ黒い空間に水面があって、そこに紅い髪で金色の眼で………背が高い女の人が居てさ 何か話しているみたいだけど声は聞き取れなくて…」
「うーん…僕はみた事無いからよく解らないな~…ヘルヴェイルは?」
『私もその様な夢は聞いた事もありませんし…寧ろ夢は見れませんし……あ、でも深時様なら何か知っているのではないでしょうか?』
「そっか!水晶ちゃんなら詳しそうだ!!んじゃあ行こうぜ!今すぐ行こうぜ!!」
「その前にお着替えね。」
意気込むエクに着替えるように促し、彼は縁側に腰掛けて靴を履いてから背負っていた刀にも桜が見えるように向きを変えてやり、一緒に待機していた。
1/66ページ