― An EvilPurify Ⅱ― 姫が為。捧げし互いの正義

その表情の険しさに一瞬身動ぎ、言葉を詰まらせていた彼女に対し、コクレイが即座に話題を変えた
「あ、そうだ!リオンさん。良ければですけどこの支部内でも案内しましょうか?御怪我が酷くなければー…なんですけど。そこの彼女も退屈しているみたいですし」
(行く行く行きたい!!)
「全く気乗りはしないのだけれど…」
「私も一緒に行きたいですが…この後私用がありまして行けませんが、内装もとっても変えてあるのですよ!ちゃんと今度レト先輩用のお部屋も準備させておきますので!!」
(行ーきたーい!内装見に行こうよー!ねー!)
袖を引っ張るローゼに不服そうに歯をギリッと噛み締めたが、観念したように溜め息を吐くと、開いたままだった棺桶を微かに閉じてから一気に鎖を巻きつけ、勢いを付けて一気に右肩へ背負った。
ようやく散歩の準備が終わった所で医務室を一時的に退出すると、そこでクロアと別れる事となった。

「それでは…レト先輩はコクレイとの散歩が終わりましたら医務室でお休みくださいね? それと…一応ですが二人が帰宅するまでは今後レト先輩は私の“補佐”としての過ごして頂きますね。 で、では行って来ますねっ!!」
 返事する代わりに小さく一回だけ頷くと、少しだけ嬉しそうに微笑んだ後。随分と急いだ足取りで嬉しそうに頬を赤く染めて走り去って行った。
クロアを見送った後。ようやくコクレイ達も行動を始め、支部内の案内を兼ねながらクロアの事について色々と話してくれた。
「ええっと…ここが書庫っすね。俺は利用した事ないですけど結構養成学校の生徒たちが利用しているらしいですよ~。まあお隣にありますしある程度までは出入り自由ですからね
 そう言えばですね。支部長ってリオンさんからの野外部隊の人数申請来た時すっごく喜んでいたんですよ~。今まで音信不通だったからどうしているのか分からなかったけどやっと会えるって」
「…自分は何も…」
「そんなご謙遜なさらず!支部長があんなにも喜んでいるのは、貴方が来て下さったおかげですよ♪それにええっと…最近では気になる御方も出来たとか聞きましたし」
(アキ意外に…ねぇ。…自分にはどうだって良い事かそんな事)「へぇ…」
(ね、ね!それってどんな人なの!?気になる!!)

興味が全く無さそうに生返事をするリオンとは対照的に、クロアの言う気になる相手に関してローゼは興味津々らしく、コクレイの腕をパタパタと叩いて続きを離してほしいと催促をした。
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