― An EvilPurify Ⅱ― 姫が為。捧げし互いの正義

リオンが退魔師として復帰してから数日後。皆との顔合わせや打ち上げも終わった夜。先に帰って来たリオンは、Blue Rose支部の薔薇庭園にあるガゼボへとクロアを呼び出した。
指定されたとおりに薔薇園内にあるガゼボへ近くまで来ると、こちらに背を向けていた彼の姿を見つけて、嬉しそうに走り寄った。

「お待たせしました お話があると聞いてきたのですが…どうかなさいました?」

小首を傾げながらこちらを見上げる彼女へ少し言いにくそうにしつつ、そっと彼女を背後から優しく抱きしめた。

「Σレレ、レト先輩っ?!!///」

突然の事に驚きと羞恥で真っ赤になっていると、彼女の肩部分へ額が軽く乗せられた。

「打ち上げの途中で…シルドラから教えて貰った。 君が…わざわざ自分の事で上に掛け合った事について全部。」

「本当は…もっと早く出してあげたかったのですが…本部支部長の面会謝絶が続いていたせいで…」

「アキの事や…リック君やカインちゃんが亡くなった経緯について…あえて君に話さないでいた方が、今までの思い出を壊さずに済む…自分が居ない方が良い。とずっとそう思っていた。 アキが君の事を想っていると知った時からずっと…自分は陰で支えていられればそれで良かった」

「……。」

「それで君を守っていたつもりだったけれど…本当に守られていたのは自分だったんだ。…シルドラに聞いて思い知った
…だからクロア。トウカ君じゃないけれど…今後は、自分が君を守らせてくれないか?…傍にいさせてくれ」

「レト先輩…。はい。勿論ですよ 私でよろしければ…末永く一緒に居てください…これが、貴方への応えです…///」

「っ!///」

肩に乗せられていた額を少し上げ、抱きしめられた彼の腕の中で向かい合う様にして身体を反転させ、彼の肩へ手を置いて背伸びをすると、軽く彼へ口付けた。

「えへへ…///本当はこういうのって男の人からするのでしょうけれど…」

「え…?へ??///」

突然の事で眼を丸くしたまま呆然としていたが、それに構わず彼女は話し続けた。

「好き…です。大好きです…リオンさん。私はまだアルバトロ先輩の事も忘れることは出来ませんが…それでもリオンさんの気持ちも聞きたいです…」

「…自分も君と同意見だよ。」

そう言い終わると、今度は彼の方から口付けてくれた。
 

 今まですれ違い続けていた思いだったが、二人の思いはようやく共に分かち合えた。

片方はずっと傍で守り続ける事を誓い

片方はずっと傍で守って貰う事を誓い

月明かりが照らすガゼボの中。今まで互いに欠けていた時間を埋めるかのように、二人は長い時間。その場で静かな夜を過ごし合った。


~EpilogueⅠ~
 ―Happy End―
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