― An EvilPurify Ⅱ― 姫が為。捧げし互いの正義

~EpilogueⅠ~



 長かったイザヨイとの戦闘が終わり、彼が地下牢へ投獄されてから約7年の月日が経っていた。
無限とも思える退屈と孤独の中。普段の様に独房の中に設置して貰った本棚から一冊の薬品調合の本を読み始めた。
飽きるほどに読んでしまっているので、内容は全て頭には入っているが、退屈を凌ぐにはそれで丁度良かった。

本を読み進めながらふとクロアの事を思い返した。

本当にこれで良かったんだ。と
自分が原因で彼女からも色々な物を奪ってしまったのだからそれ以上会わせられる顔も無かったのも事実だったからこそ、彼は投獄される道を選んだ。

彼女は元気だろうか…?
そんな疑問が浮かび上がった。だが、外からの情報も遮断されている現在。それを確かめる事すら叶う筈もない それを考えると少し寂しくなりもしたが、すべてを忘れようと本へ集中しようとした時だった。

今までほとんど光も差さない独房内の扉が開き、扉側からは二人の影が映っていたが、特に気にも留めないで本を読み進めていると、二人の話し声が聞こえた。

「どうぞ、この先にいらっしゃいますので足元にはお気を付け下さいね」

「ありがとう、オルロジェさん。」

「…?!」

聞き覚えのある懐かしい声に思わず顔を上げた。
こんな場所に彼女が居る筈がない。ましてや来る筈なんてない。そうは頭で思っていても、身体は鉄格子前へと向かっていた。
徐々に速くなって、直に走り出した靴の音と、それに揺られて鳴る鈴の音。そしてその音は彼の牢前で止まった。

「クロ…ア?」

「やっと…やっと迎えに来ましたよ。レト先輩」

状況が解らず牢越しに呆然としていると、牢の鍵が開けられ、開けられた鉄格子から手が差し出された。

「さ、一緒に帰りましょう。レト先輩 皆表で待っているんですよ?」

「どういう事…なんだ?自分はもう出られない筈だったのに…」

困惑した様に狼狽えるリオンの達の元へ、少し遅れて到着したヴァラファールが説明してくれた。

「今から約4年前。本部支部長であった「アーネスト=トールグルーナーエルフェスゴート」が急逝なされ、その後。White Rose支部長「ジュウザ=オールランイーター」様が本部支部長へ就任成され、就任式等で時間は掛かりましたが…デルタ様がレト様の保釈を求めなさり、ジュウザ様はもう一度貴方を退魔師として復帰する権限を授与なされました。」

「そう言う事なんですよ。さ、早く帰りましょう」

「…自分なんかを…本当に良いのか?」

「そうじゃなきゃ迎えになんて来てませんよ!」

あの時と何も変わらない言動と姿にようやく心底から安堵し、ようやく彼は目の前の牢からも、自分から閉じていた牢らも、出る事が出来た。 

差し出された彼女の手を、彼からもしっかりと握って
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