― An EvilPurify Ⅱ― 姫が為。捧げし互いの正義
「…思い通りにさせるものか…」
『慈悲のつもりですか?フッ…甘いですねぇ貴方は本当に…』
そう呟くとゆっくりと立ち上がり、地面に突き刺さっていた剣を抜いて自らの腹部めがけて一気に刺し貫いた
突き刺されたから部位から剣が抜かれると、傷口からは大量の鮮血が流れ続け、彼はその場に俯せのまま倒れた。咳き込む度に口元からも血が流れ、白いコートが赤く染まると共に意識が遠退き始める中。独り言を呟く。
『結…局。ワタシ…の欲しかった。者は何一つ…手に入らなかった。とは… いつも、一緒だった…フール…も。可愛がって…いた部下のシャンも。シエンも…マリー…も全て……ワタシの手から…消え去って…誰一人、ワタシをワタシを愛してくれた方は。もう傍に居ないのですね』
「ミ…コト…ミコトさんっ」
ヘッドドレスをしっかりと握りしめながら小さく呟き、寂しそうに微笑みながら眼を閉じてしまおうとした時。空いていた手を、近くまで走り寄って膝を付いていたクロアが掬い上げて握った。
「そんな事…そんな事はありません。ミコトさん…まだ私が居ますよ」
『ふっ…何を。言いだすか…と思えば…忘れ、たのですか?ワタシはっ…もう貴女、の思うミコトではないのですよ?』
「貴方はそうかもしれませんが…私はそうとは思いません。数ヶ月でしたが…一緒に居た貴方はとても楽しそうで…寂しさなんて微塵にも感じられませんでした」
その言葉に虚ろであった眼に光が微かに宿る
「貴方のその寂しさに…ある意味で一番近くに居て気付いてあげられなかった私も。“同罪”と言う事です あの時私がそれに気付いていたなら…こんな事にはっ…」
『ワタシと“同罪”ですか…それは、彼も。同じでしょうが…ね。それに、ワタシはマリーの者です…よ?…貴方が気づいても何も変わらなかったでしょう…』
「いいえ…少しでも気付いていたなら…私は貴方を救う事だって出来た筈です…」
クロアからの思いがけない言葉に彼は大きく眼を見開いて驚いていたが、直ぐに困った様に眉根を寄せながら小さく笑い、そっと眼を閉じた。
『全く…貴女は本当に…困った女性です…ね。いつも、いつも…その笑顔と言葉でワタシの心をかき乱して…敵味方関係なく、貴女は優し過ぎますよ…… マリー…ワタシもすぐ貴女の元へ…』
ぎこちない動きで手紙を手さぐりに探し、封筒部分が血で赤くなった手紙をクロアへと手渡した所で彼は力尽きた。
「ミコトさんっ!ミコト…さん」
「終わった…か。いや、それを言うと…自分もだな」
「…え?」
イザヨイとの最期のやり取りで忘れていたが、馬車が近付いているとの事を思い出し、受け取った手紙を持ちながら立ち上がり、後ろを振り向くと、そこにはいつの間にか荘厳な造りの二頭立て馬車が止まっていた。
『慈悲のつもりですか?フッ…甘いですねぇ貴方は本当に…』
そう呟くとゆっくりと立ち上がり、地面に突き刺さっていた剣を抜いて自らの腹部めがけて一気に刺し貫いた
突き刺されたから部位から剣が抜かれると、傷口からは大量の鮮血が流れ続け、彼はその場に俯せのまま倒れた。咳き込む度に口元からも血が流れ、白いコートが赤く染まると共に意識が遠退き始める中。独り言を呟く。
『結…局。ワタシ…の欲しかった。者は何一つ…手に入らなかった。とは… いつも、一緒だった…フール…も。可愛がって…いた部下のシャンも。シエンも…マリー…も全て……ワタシの手から…消え去って…誰一人、ワタシをワタシを愛してくれた方は。もう傍に居ないのですね』
「ミ…コト…ミコトさんっ」
ヘッドドレスをしっかりと握りしめながら小さく呟き、寂しそうに微笑みながら眼を閉じてしまおうとした時。空いていた手を、近くまで走り寄って膝を付いていたクロアが掬い上げて握った。
「そんな事…そんな事はありません。ミコトさん…まだ私が居ますよ」
『ふっ…何を。言いだすか…と思えば…忘れ、たのですか?ワタシはっ…もう貴女、の思うミコトではないのですよ?』
「貴方はそうかもしれませんが…私はそうとは思いません。数ヶ月でしたが…一緒に居た貴方はとても楽しそうで…寂しさなんて微塵にも感じられませんでした」
その言葉に虚ろであった眼に光が微かに宿る
「貴方のその寂しさに…ある意味で一番近くに居て気付いてあげられなかった私も。“同罪”と言う事です あの時私がそれに気付いていたなら…こんな事にはっ…」
『ワタシと“同罪”ですか…それは、彼も。同じでしょうが…ね。それに、ワタシはマリーの者です…よ?…貴方が気づいても何も変わらなかったでしょう…』
「いいえ…少しでも気付いていたなら…私は貴方を救う事だって出来た筈です…」
クロアからの思いがけない言葉に彼は大きく眼を見開いて驚いていたが、直ぐに困った様に眉根を寄せながら小さく笑い、そっと眼を閉じた。
『全く…貴女は本当に…困った女性です…ね。いつも、いつも…その笑顔と言葉でワタシの心をかき乱して…敵味方関係なく、貴女は優し過ぎますよ…… マリー…ワタシもすぐ貴女の元へ…』
ぎこちない動きで手紙を手さぐりに探し、封筒部分が血で赤くなった手紙をクロアへと手渡した所で彼は力尽きた。
「ミコトさんっ!ミコト…さん」
「終わった…か。いや、それを言うと…自分もだな」
「…え?」
イザヨイとの最期のやり取りで忘れていたが、馬車が近付いているとの事を思い出し、受け取った手紙を持ちながら立ち上がり、後ろを振り向くと、そこにはいつの間にか荘厳な造りの二頭立て馬車が止まっていた。