― An EvilPurify Ⅱ― 姫が為。捧げし互いの正義
受け止めた剣と振り下ろされた杖のぶつかっている部分からは擦れ合う鈍い音が起こっていたが、リオンが一気に力を込めて圧し返した事でイザヨイが数歩後ろへ下がり、その隙にローゼが追撃するべく棺桶から赤紫色の腕を勢いよく伸ばして斬り裂いたが、射程範囲外だった事もありわずかにスカーフ部分が裂かれただけだった。
(ごめん、思ったよりも腕が届かなかった)
「上手いアシストだ。よくやった」
『怖いですねぇ…亡霊の腕は。ワタシがあの時潰して差し上げたと言うのにもう回復している様で…』
揶揄するように肩を揺らせてクスクスと嗤っていると、クロアの手を振り解いたリオンがイザヨイに向けて斬りかかろうとした時だった。―ドクンッ―と心臓の音が一回大きく聞こえたと感じた時だった。左手から焼け付くような痛みが全身を駆け抜け、手から剣が落ち、彼は膝を付く。
突然膝を付いた事を不思議に思ったローゼが近寄ると、彼の身体が一瞬ビクッと跳ねたかと思うと、激しく咳き込み出し、そして吐血した。
「ぐ…けっ、けほっ!ごほっ!」
(大丈夫っ?!立てる?)
『おやおやお可哀想に…どうやらこんな時に呪術の効力が現れてしまうなんて…ねぇ?。全身を貫く様な痛み…さぞかしお辛いでしょう?今すぐ楽にして差し上げますよ…』
冷淡にくくくっと嗤いながらイザヨイは静かに歩み寄り、さっき使っていたナイフを取り出した。 身の危険すらも感じて棺桶内に逃げ込む事も考えたが、それよりも傍で咳き込み今にも倒れそうになっている彼をしっかりと抱きしめた。
『おや…それが亡霊の答え…と言う事ですか。ふっくくく…では、まずは貴女から浄化させて頂きましょうか!!』
構えたナイフをローゼめがけて一気に突き立てようとした。だが、その手は弾かれた。ドレスの裾を少し上げて回転する様に一気に蹴り上げたクロアによって。
弾かれたナイフが宙を舞い、突然起こった事に驚きを隠せないイザヨイを余所に彼女は無駄のない動きで常に袖の中に仕込んであったナイフを両手に持ち、素早く華麗な動きで追撃する。
杖で防御していても彼女の動きは早く、頬や腕に複数の切り傷が生じた。 最後に一気に斬り上げると、大きな跳躍と共にリオンたちの元へと戻って来た。
「大丈夫でしたか?レト先輩にローゼちゃん」
「自分はもう平気だけど…クロア…君はアキと同じ…」
「…私だって守られているだけの支部長ではないって事です。レト先輩やアルバトロ先輩の後輩として伊達じゃないんですよ! いつもこっそりアルバトロ先輩から教えて頂いていたんです」
もう大丈夫。と言う言葉を聞いてようやく表情が和らぐと、手を貸してようやく立ち上がらせた。
「本当は…戦う事なんて望んでいませんでしたが、ここからは私も手伝わせて下さい。…私も…レト先輩と同じですから」
「クロア…」
今まで見た事も無い強気な表情の彼女に多少驚きつつ、ようやくリオンは承諾の意を込めて静かに頷いた。
(ごめん、思ったよりも腕が届かなかった)
「上手いアシストだ。よくやった」
『怖いですねぇ…亡霊の腕は。ワタシがあの時潰して差し上げたと言うのにもう回復している様で…』
揶揄するように肩を揺らせてクスクスと嗤っていると、クロアの手を振り解いたリオンがイザヨイに向けて斬りかかろうとした時だった。―ドクンッ―と心臓の音が一回大きく聞こえたと感じた時だった。左手から焼け付くような痛みが全身を駆け抜け、手から剣が落ち、彼は膝を付く。
突然膝を付いた事を不思議に思ったローゼが近寄ると、彼の身体が一瞬ビクッと跳ねたかと思うと、激しく咳き込み出し、そして吐血した。
「ぐ…けっ、けほっ!ごほっ!」
(大丈夫っ?!立てる?)
『おやおやお可哀想に…どうやらこんな時に呪術の効力が現れてしまうなんて…ねぇ?。全身を貫く様な痛み…さぞかしお辛いでしょう?今すぐ楽にして差し上げますよ…』
冷淡にくくくっと嗤いながらイザヨイは静かに歩み寄り、さっき使っていたナイフを取り出した。 身の危険すらも感じて棺桶内に逃げ込む事も考えたが、それよりも傍で咳き込み今にも倒れそうになっている彼をしっかりと抱きしめた。
『おや…それが亡霊の答え…と言う事ですか。ふっくくく…では、まずは貴女から浄化させて頂きましょうか!!』
構えたナイフをローゼめがけて一気に突き立てようとした。だが、その手は弾かれた。ドレスの裾を少し上げて回転する様に一気に蹴り上げたクロアによって。
弾かれたナイフが宙を舞い、突然起こった事に驚きを隠せないイザヨイを余所に彼女は無駄のない動きで常に袖の中に仕込んであったナイフを両手に持ち、素早く華麗な動きで追撃する。
杖で防御していても彼女の動きは早く、頬や腕に複数の切り傷が生じた。 最後に一気に斬り上げると、大きな跳躍と共にリオンたちの元へと戻って来た。
「大丈夫でしたか?レト先輩にローゼちゃん」
「自分はもう平気だけど…クロア…君はアキと同じ…」
「…私だって守られているだけの支部長ではないって事です。レト先輩やアルバトロ先輩の後輩として伊達じゃないんですよ! いつもこっそりアルバトロ先輩から教えて頂いていたんです」
もう大丈夫。と言う言葉を聞いてようやく表情が和らぐと、手を貸してようやく立ち上がらせた。
「本当は…戦う事なんて望んでいませんでしたが、ここからは私も手伝わせて下さい。…私も…レト先輩と同じですから」
「クロア…」
今まで見た事も無い強気な表情の彼女に多少驚きつつ、ようやくリオンは承諾の意を込めて静かに頷いた。