― An EvilPurify Ⅱ― 姫が為。捧げし互いの正義
本部支部長の脱出が完了した事を確認し、残りの者達も脱出させるべく指示を送ろうとした時だった。破損した会議室の窓に見覚えのある深紅の鋭く大きな眼と深緑色の鱗が一瞬見え、まさかと思いながら指示を送る事を中断して破損した天井を見上げると、そこには大きな口を開けたトレイタの姿があり、その間から一つの黒い影 ソヴァージュが一気に飛び降りて来た。
「っ!全員今すぐこの場から退避行動に移って!!」
シルドラの言葉に側近たちが武器を臨戦態勢になったが、そんな彼らに目もくれず彼女は地面に一旦着地すると、腕を鋏の形に変形させて素早い動きで一直線にリオンの元へ駆け寄ると、彼女は主からの伝言をこっそり伝えた。
『本部管轄内の泉で、主が待っています』
「!?…」
彼女からの伝言を聞き、驚きで呆然と立ち竦んだ状態だったが、彼女の目的はリオンでは無かったので鋏による刺突攻撃が当たる寸前の所で軌道をわざと逸らして適当な壁へ激突させた。
「……クロア。自分が途中まで護衛するから君はラングドリーヌの所まで走れ」
「は、はい!分かりました」
背後の壁が崩れる音にハッと我に返ったリオンは棺桶を背負い、彼女へ先に走る様に指示し、二人は会議室を脱出した。
二人の脱出を確認したシルドラは残された者達にと脱出の道を開こうとしたが、トレイタの胴体によって彼女と支部長達の間は完全に分断されてしまった。
「~~!あの蛇っ!!数十年前に浄化された事根に持ってるって訳?!支部長組!聞こえる?!」
悔しそうに歯を軋ませながら分断された向こう側へと大声で呼び掛けると、ジュウザが答えてくれた
「こちらは今の所怪我人は居ないので英雄様はそちらを」
「それなら良いけれど!その魔物の子と戦闘は控えて脱出する事を優先するのよ?!いい?!!」
「出来る限りはそうさせて貰いますわ」
「(出来る限りじゃないんだけど…)い、一応任せたわよ?!私は… これ以上壊されたら修繕に駆り出されるから別の場所で相手するわよっ!!」
そう宣言し、シルドラは破損していた会議室の窓から飛び降り、念のために持っていた通信機で今は別の場所にいるジークへと連絡を取った。
トレイタの胴が無くなったので広くなった会議室内。鋏の腕を構えるソヴァージュに、怒気を孕んだ眼で睨むヒガンは持っていた鞭を棄てて、丁度隣に居たセドの腰に差している鞘から刀を強奪して構えた。
「Σあ!お前っ!何勝手にっ!!」
「いいから貸しやがれっ!アイツは…アイツはオレ様が浄化しなきゃならねぇんだよ!!」
「そじゃあ…あの子がルクトを…?」
愛刀を強奪されて困惑するセドの近くで、エトワルをしっかりと抱っこするリュミエールは驚きで眼を見開き、脱出をするべきか弟の仇である彼女を浄化するべきかの狭間で迷い、身体が震えた。
「どう…したら良いのでしょう?私はどっちを選んだら…」
「簡単な話だな。 …不本意だけれどヒガン。それの浄化は譲ってやるよ。俺の犬は今使えないからな」
「元からコレはオレ様の。だ!逃げるならとっとと行きやがれ!!」
会議室の扉を指差しながら叫ぶと、早く動け。と言わんばかりにリュミエールの腕を蹴ると、彼女はやっと決心がついたらしくヒガンに向け、沢山の思いを込めて無言のまま一礼すると、全速力で脱出した。
「っ!全員今すぐこの場から退避行動に移って!!」
シルドラの言葉に側近たちが武器を臨戦態勢になったが、そんな彼らに目もくれず彼女は地面に一旦着地すると、腕を鋏の形に変形させて素早い動きで一直線にリオンの元へ駆け寄ると、彼女は主からの伝言をこっそり伝えた。
『本部管轄内の泉で、主が待っています』
「!?…」
彼女からの伝言を聞き、驚きで呆然と立ち竦んだ状態だったが、彼女の目的はリオンでは無かったので鋏による刺突攻撃が当たる寸前の所で軌道をわざと逸らして適当な壁へ激突させた。
「……クロア。自分が途中まで護衛するから君はラングドリーヌの所まで走れ」
「は、はい!分かりました」
背後の壁が崩れる音にハッと我に返ったリオンは棺桶を背負い、彼女へ先に走る様に指示し、二人は会議室を脱出した。
二人の脱出を確認したシルドラは残された者達にと脱出の道を開こうとしたが、トレイタの胴体によって彼女と支部長達の間は完全に分断されてしまった。
「~~!あの蛇っ!!数十年前に浄化された事根に持ってるって訳?!支部長組!聞こえる?!」
悔しそうに歯を軋ませながら分断された向こう側へと大声で呼び掛けると、ジュウザが答えてくれた
「こちらは今の所怪我人は居ないので英雄様はそちらを」
「それなら良いけれど!その魔物の子と戦闘は控えて脱出する事を優先するのよ?!いい?!!」
「出来る限りはそうさせて貰いますわ」
「(出来る限りじゃないんだけど…)い、一応任せたわよ?!私は… これ以上壊されたら修繕に駆り出されるから別の場所で相手するわよっ!!」
そう宣言し、シルドラは破損していた会議室の窓から飛び降り、念のために持っていた通信機で今は別の場所にいるジークへと連絡を取った。
トレイタの胴が無くなったので広くなった会議室内。鋏の腕を構えるソヴァージュに、怒気を孕んだ眼で睨むヒガンは持っていた鞭を棄てて、丁度隣に居たセドの腰に差している鞘から刀を強奪して構えた。
「Σあ!お前っ!何勝手にっ!!」
「いいから貸しやがれっ!アイツは…アイツはオレ様が浄化しなきゃならねぇんだよ!!」
「そじゃあ…あの子がルクトを…?」
愛刀を強奪されて困惑するセドの近くで、エトワルをしっかりと抱っこするリュミエールは驚きで眼を見開き、脱出をするべきか弟の仇である彼女を浄化するべきかの狭間で迷い、身体が震えた。
「どう…したら良いのでしょう?私はどっちを選んだら…」
「簡単な話だな。 …不本意だけれどヒガン。それの浄化は譲ってやるよ。俺の犬は今使えないからな」
「元からコレはオレ様の。だ!逃げるならとっとと行きやがれ!!」
会議室の扉を指差しながら叫ぶと、早く動け。と言わんばかりにリュミエールの腕を蹴ると、彼女はやっと決心がついたらしくヒガンに向け、沢山の思いを込めて無言のまま一礼すると、全速力で脱出した。