― An EvilPurify Ⅱ― 姫が為。捧げし互いの正義
突然起こった吐血に驚きつつ、急いで駆け寄ったシルドラが背中を何回か擦ってくれた事でその呼吸はようやく落ち着いた。
「大丈夫…?魔道書である程度の怪我は治したと言ってもまだ流石に無理は……でも…さっきの症状…数年前にマリアネットへ付けられた痣の発作と似ているのだけれど貴方まさか」
「…それ以上の詮索は必要無い。それよりシルドラ、会議の事なんだけれど…」
痣が刻まれた左手の甲をそっと隠すようにしながらシルドラに今後の会議予定について聞く事にした。
――――――――――――――――――
赤い月に照らされる古城の大広間。数ヶ月前までは瓦礫等が散らばって荒れていたとはいたとは思えない程に綺麗になった床の上にイザヨイは言い表せない高揚感と不安感を抱えながら寝ころんでいた。
何かをする訳でも無くただぼんやりと天井のシャンデリアをじっと見つめていると、外へ捕食に出掛けていたソヴァージュがテラスの方から帰宅し、彼に声を掛けた。
『そんな所で寝ていらっしゃると風邪をひいてしまわれますよ』
『ソヴァージュですか…ふっくく。大丈夫ですよ……今は、どうも気持ちの整理がつかなくてねぇ』
『気持ちの…?』
『ええ…。あそこまで徹底的に壊したからマリーに喜んで報告すべきなのでしょうが…途中現れたRose英雄二人…彼らの事が気になっていましてねぇ…間違いなくワタシの事は上に筒抜け…それ故にまた狙われる事となると思うと…』
『主……主は只…私達に命じて下さればそれで』
『ふっくくく…そうは行けないんですよ。次はこちらからRoseを出迎え…そこで、ワタシは彼にトドメをささなければ…マリーの為の思いは遂げられないでしょう。
その間。お前たちには本部を任せます…が、もしお前たちが浄化されるような事があればワタシはそこまで…と言う事です』
『何故ですか?主は…主にはその杖があります。復活させることぐらいたやすく…』
『いいえ…その前にワタシはRoseに捕えられるでしょう。唯一残った呪術師の一人…反魂を使え、“人工退魔師”の造り方を知る人物として…ね? ワタシがRoseを裏切ったのもそれが理由と言うもの…
幾度と無く実験を繰り返しては犠牲を伴い続ける事に疑問を持ったまま、ワタシはずっと飼われて居ました。ですがある時。マリーと出会い、その純真さに興味が引かれました 最初は興味…もっと彼女の事が知りたいと言う感じでしょうか? そして、ワタシはその場にいた部下全員を殺害し、Roseも裏切って彼女へ飼われる事を選びましたが…そこにはワタシの知らない“自由”と言うものがありました。 何も強いられず、創ったものを純粋に喜んでくれる。こんなワタシでも純粋に懐いてくれる彼女にワタシは惹かれ…それはいつしか崇拝にへ変わりました。勿論、こちら側に来た事について後悔は一切ありませんが…唯一あるとすれば…マリーの夢である魔物が住める世界を創る前に“手に入れておきたかった者が誰一人手に入らなかった”事…でしょうかねぇ
『ワタシが懐いていた科学者も、可愛がっていた部下も、寵愛していた愛弟子』もすべて…ね。 また前の様にRoseに飼われる位なら潔く死を選ぶという事です…。…やれやれ、多少気分が良いからと少し、話し過ぎましたね。 今後の説明を行いますので、お前はマリーの部屋にいるトレイタを呼んできなさい』
その場で只静かに立っていたソヴァージュに指示を送った後。ようやく上半身を起こし、手で適当に髪を直して二体が広間へ帰宅するのを待った。
「大丈夫…?魔道書である程度の怪我は治したと言ってもまだ流石に無理は……でも…さっきの症状…数年前にマリアネットへ付けられた痣の発作と似ているのだけれど貴方まさか」
「…それ以上の詮索は必要無い。それよりシルドラ、会議の事なんだけれど…」
痣が刻まれた左手の甲をそっと隠すようにしながらシルドラに今後の会議予定について聞く事にした。
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赤い月に照らされる古城の大広間。数ヶ月前までは瓦礫等が散らばって荒れていたとはいたとは思えない程に綺麗になった床の上にイザヨイは言い表せない高揚感と不安感を抱えながら寝ころんでいた。
何かをする訳でも無くただぼんやりと天井のシャンデリアをじっと見つめていると、外へ捕食に出掛けていたソヴァージュがテラスの方から帰宅し、彼に声を掛けた。
『そんな所で寝ていらっしゃると風邪をひいてしまわれますよ』
『ソヴァージュですか…ふっくく。大丈夫ですよ……今は、どうも気持ちの整理がつかなくてねぇ』
『気持ちの…?』
『ええ…。あそこまで徹底的に壊したからマリーに喜んで報告すべきなのでしょうが…途中現れたRose英雄二人…彼らの事が気になっていましてねぇ…間違いなくワタシの事は上に筒抜け…それ故にまた狙われる事となると思うと…』
『主……主は只…私達に命じて下さればそれで』
『ふっくくく…そうは行けないんですよ。次はこちらからRoseを出迎え…そこで、ワタシは彼にトドメをささなければ…マリーの為の思いは遂げられないでしょう。
その間。お前たちには本部を任せます…が、もしお前たちが浄化されるような事があればワタシはそこまで…と言う事です』
『何故ですか?主は…主にはその杖があります。復活させることぐらいたやすく…』
『いいえ…その前にワタシはRoseに捕えられるでしょう。唯一残った呪術師の一人…反魂を使え、“人工退魔師”の造り方を知る人物として…ね? ワタシがRoseを裏切ったのもそれが理由と言うもの…
幾度と無く実験を繰り返しては犠牲を伴い続ける事に疑問を持ったまま、ワタシはずっと飼われて居ました。ですがある時。マリーと出会い、その純真さに興味が引かれました 最初は興味…もっと彼女の事が知りたいと言う感じでしょうか? そして、ワタシはその場にいた部下全員を殺害し、Roseも裏切って彼女へ飼われる事を選びましたが…そこにはワタシの知らない“自由”と言うものがありました。 何も強いられず、創ったものを純粋に喜んでくれる。こんなワタシでも純粋に懐いてくれる彼女にワタシは惹かれ…それはいつしか崇拝にへ変わりました。勿論、こちら側に来た事について後悔は一切ありませんが…唯一あるとすれば…マリーの夢である魔物が住める世界を創る前に“手に入れておきたかった者が誰一人手に入らなかった”事…でしょうかねぇ
『ワタシが懐いていた科学者も、可愛がっていた部下も、寵愛していた愛弟子』もすべて…ね。 また前の様にRoseに飼われる位なら潔く死を選ぶという事です…。…やれやれ、多少気分が良いからと少し、話し過ぎましたね。 今後の説明を行いますので、お前はマリーの部屋にいるトレイタを呼んできなさい』
その場で只静かに立っていたソヴァージュに指示を送った後。ようやく上半身を起こし、手で適当に髪を直して二体が広間へ帰宅するのを待った。