― An EvilPurify Ⅱ― 姫が為。捧げし互いの正義
「…こんにちわです~えーゆー様」
「あ、あははは!こんにちわ~Roseの隊員さん。ささ、ちょーっと私は今からここで用事があるから…ね?」
「はい~、私もお届け物の用事が終わりましたのでこれで失礼しますね~。では、リオンせんぱいまた会いましょうねぇ~」
ニコニコと微笑んだままの表情は一切崩す事のないまま、必死に取り繕うシルドラへ適当な会釈を、リオンに対してはほんの一瞬だけ冷たく微笑んでみせると、軽い足取りで彼女は医務室を後にした。
シャンが立ち去ってしばらくしてから、シルドラは巨大な溜息を吐きながらさっきまで取り繕っていたその表情を一気に崩した。
「うぅ…油断してたわ…まさかRoseの隊員ちゃんがここにいたなんて…真面目で凛としてて美しい英雄イメージが…」
「自業自得…と言いたい所だけれどその絶叫は他の子には見られなかった?こっちの場の空気も変わるぐらいの大声だったから、憧れの英雄様の絶叫なんか見せて夢ある若いRose隊員達のイメージ崩壊させてない?」
心なしか母親の様な口ぶりで嗜めるジークに多少困った様な表情をしていたが、それ以上のツッコミは要らない。と言わんばかりに手をパンッと叩いて話題を変えた。
「まあまあ、見る限りは誰もいなかったから平気よ~。それより聞いて頂戴よ~聞こえていたかもしれないけれど、『全支部長召集型緊急会議』が四日後に行われるのよ
…流石に、デルタちゃんやドレスィド君の事もあるから延ばさせたかったけれど…情報は早い方が良いとか何とかでどうにも出来なかったわ…一応。報告に関してはリオンの事はさりげなーく隠しておいたけれど…どうも被害報告よりも“イザヨイを見た”って事が重要だったらしくって…この調子だと会議も特例っぽいわ」
「特例?どういう意味だ?Roseを裏切って脱退した以上。決まりではいつもの様に暗殺部隊を使って消すんじゃないのか?」
「さぁ…普通ならばそうなんだけれど…あの口ぶりを聞く限りでは何としてでも彼を『生きたまま』捕えたいみたい…だから、リオン…もし次にもし会っても捕縛を最優先にするのよ?…アキ君に関して関係があるのは知っているけど、もし殺った場合。例えあのマリアネットを浄化した功績があっても私達二人でも庇いきれないわよ?」
「断る」
「そう、そうよね~本当に聞き分けがー…Σはぁぁあ?!!ちょ、ちょっと待ちなさいリオン!今さっき私が言った説明聞いていた?!一言一句違えずに復唱してみなさい!」
「上の意見がどうであれ、自分はもう一度イザヨイと会うならば今度こそ斬る。それが残された自分が出来る三人への手向けだと考えてる。…それに、あの三人が居ない今。自分だけがこれ以上残っても仕方ないんだから…その後。どうなったって構わない」
伏し目がちに最後の言葉をポツリと呟く彼の言葉にそれは違うと否定する意味を込めて、トウカが声を掛けようとした時。リオンの眼が大きく見開かれ、うずくまる様に背を丸めながら激しく咳き込み始め、口元を押さえた手にはわずかに血が滲んでいた。
「あ、あははは!こんにちわ~Roseの隊員さん。ささ、ちょーっと私は今からここで用事があるから…ね?」
「はい~、私もお届け物の用事が終わりましたのでこれで失礼しますね~。では、リオンせんぱいまた会いましょうねぇ~」
ニコニコと微笑んだままの表情は一切崩す事のないまま、必死に取り繕うシルドラへ適当な会釈を、リオンに対してはほんの一瞬だけ冷たく微笑んでみせると、軽い足取りで彼女は医務室を後にした。
シャンが立ち去ってしばらくしてから、シルドラは巨大な溜息を吐きながらさっきまで取り繕っていたその表情を一気に崩した。
「うぅ…油断してたわ…まさかRoseの隊員ちゃんがここにいたなんて…真面目で凛としてて美しい英雄イメージが…」
「自業自得…と言いたい所だけれどその絶叫は他の子には見られなかった?こっちの場の空気も変わるぐらいの大声だったから、憧れの英雄様の絶叫なんか見せて夢ある若いRose隊員達のイメージ崩壊させてない?」
心なしか母親の様な口ぶりで嗜めるジークに多少困った様な表情をしていたが、それ以上のツッコミは要らない。と言わんばかりに手をパンッと叩いて話題を変えた。
「まあまあ、見る限りは誰もいなかったから平気よ~。それより聞いて頂戴よ~聞こえていたかもしれないけれど、『全支部長召集型緊急会議』が四日後に行われるのよ
…流石に、デルタちゃんやドレスィド君の事もあるから延ばさせたかったけれど…情報は早い方が良いとか何とかでどうにも出来なかったわ…一応。報告に関してはリオンの事はさりげなーく隠しておいたけれど…どうも被害報告よりも“イザヨイを見た”って事が重要だったらしくって…この調子だと会議も特例っぽいわ」
「特例?どういう意味だ?Roseを裏切って脱退した以上。決まりではいつもの様に暗殺部隊を使って消すんじゃないのか?」
「さぁ…普通ならばそうなんだけれど…あの口ぶりを聞く限りでは何としてでも彼を『生きたまま』捕えたいみたい…だから、リオン…もし次にもし会っても捕縛を最優先にするのよ?…アキ君に関して関係があるのは知っているけど、もし殺った場合。例えあのマリアネットを浄化した功績があっても私達二人でも庇いきれないわよ?」
「断る」
「そう、そうよね~本当に聞き分けがー…Σはぁぁあ?!!ちょ、ちょっと待ちなさいリオン!今さっき私が言った説明聞いていた?!一言一句違えずに復唱してみなさい!」
「上の意見がどうであれ、自分はもう一度イザヨイと会うならば今度こそ斬る。それが残された自分が出来る三人への手向けだと考えてる。…それに、あの三人が居ない今。自分だけがこれ以上残っても仕方ないんだから…その後。どうなったって構わない」
伏し目がちに最後の言葉をポツリと呟く彼の言葉にそれは違うと否定する意味を込めて、トウカが声を掛けようとした時。リオンの眼が大きく見開かれ、うずくまる様に背を丸めながら激しく咳き込み始め、口元を押さえた手にはわずかに血が滲んでいた。