― An EvilPurify Ⅱ― 姫が為。捧げし互いの正義

それからしばらく四人と一匹で他愛無い話を続けていると、医務室の扉がノックされて間延びした声が聞こえた。
「失礼しま~す。White Rsoeからお届け物もってきました~」
肩に掛かる程のブロンドヘアーにややタレ目がちな橙色の瞳にRose制服を着た少女「シャン=マリティーヌ」が荷物を抱えながらやってきた。
「あれ~?担当医さんいませんねー…じゃあこの辺に置いておいて…あ、えーゆー様こんにちわ~それと、元派遣部隊副隊長さんもこんにちわですぅ~」
「お、こんにちわ~Whiteの隊員さん」
「誰だ…?…その髪と目…まさかイザヨイの血縁者関係の誰かか?」
「あはは~。いやですね~髪と目が似ているからって元たいちょーと一緒にしないでくださいよ~。 それにしてもひどいケガですねぇ~ああ、やっぱり“命令違反常習犯”さんは大変なんですねぇ~?でも、もっと大変だったのはアッキーせんぱいですよね。貴方にいーっぱい振り回されていたんですから」
「随分とこっちの事を知っているような口ぶりで好き勝手話すが…一体誰だ?」
「貴方が私を知っていないのは当たり前ですよね。だって私は貴方とは直接的な関係はありませんけど~アッキーせんぱいにはありまして~」
「アキに…?覚えは無いな。アイツが話すのは基本的にトウカ君かクロアの話ばかりだったからな」
「ふっふふふ~。いやですねぇ~それは貴方が無関心を通していたからじゃないですか?だからアッキーせんぱいはあーんなにも苦労していたみたいですよ~?」
「アイツとどんな関係があったかは知らないが、さっきから聞いていれば随分とイザヨイに似てお喋りが好きみたいだな…!」
「あはは~。だから元たいちょーとは一緒にしないで下さい。とさっき言った筈ですよ?…!」
「おい…医務室なんだから二人ともそれぐらいにしておけ」

 場の空気が徐々に冷たく張り詰め始めていたので、不穏に感じたジークが言葉での注意を促すも、リオンはローゼから剣を受け取り、シャンは何も変わらず微笑んだまま両手を後ろに組んでいたが、その袖からはわざとらしく光るナイフが見えた。
いざとなれば割って入るしか…とジークが席を立とうとした時。廊下では聞き慣れた者が叫ぶ声が響き、場の空気は一変した。

あぁあもう!!ふざけんじゃないわよ!!!たかが探して居る奴がちょっと見つかったから早急の会議を行う~よ!現在は絶対安静人やメンタル的にもガタガタで大変な状況の子達もいるから会議どころじゃないってのにぃいい!!
 叫びきると同時に医務室のドアが勢いよく開けられ、緩んだままの表情をしていた床に引きずる程に長く黒いレースを被り、深緑の長い髪に焦げ茶の眼。紫色のローブを着たRose“T”truthful Rainbow Rose総本部支部のもう一人の英雄である女性「シルドラ=レイ=ミラージュ」が、丁度その場にいたシャンと眼が合ってしまった。
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