― An EvilPurify Ⅱ― 姫が為。捧げし互いの正義

 ようやく自分の鞭が当てられた事に満足したのか一旦座り方を変えると、椅子を回転させ、ベヴェルクトとは反対方向に向いてお菓子を食べ始めた。
「あいたたた…痛いですよ支部長ー…写真撮らせて下さい」
「………断る!!」
「写真撮らせてくれないと拗ねちゃいますよー?泣いちゃいますよー?お宝っ…もっと増やしたいですぅぅ…」(マジ泣き)
「断ると言ったら断る!!今までも十分過ぎるほどに写真撮っていやがっただろう!?」
「それはアレですよー…毎回撮る事によって支部長が日々素敵に成長していく姿を写真に収めておきたくて…」
「Σお前はオレ様の親かっ?! ったく…良いから待て。お前はオレ様の側近(犬)だったら大人しくさっきの資料をさっさっとまとめろ!写真は…それからだ。…良いな!!」

 こちらに背を向けたまま多少怒鳴る様にして彼へ言い聞かせると、その言葉に納得したらしくようやく泣き止むと、別の机へ退けておいた資料の方へ駆け寄り、言いつけられた通り無造作に積み上げられてしまっていた資料をまとめ始めた。

ご機嫌にまとめ始めてからしばらく経った頃。ようやく整頓も終わらせてじゃれ合いを再開させようとヒガンに駆け寄った瞬間。耳を劈く様な轟音を鳴らす警報のブザーが鳴り響き、赤いランプが回転して室内を赤く照らし、危険を知らせる。
「なんだ?こんな時に警報なんかなりやがって…侵入者…か?」
「何でしょうね?あ、僕一旦外に出て聞いてみますね」
 急に鳴り響いた警報ブザーを不思議に思いつつ、確認の為にと扉の取っ手へ手を掛けた途端。二人の感知用の眼は金色に輝いた。
「えっ?!」
「何処かに潜んでいやがるって事か…?」
突然光り出した眼に困惑した様に二人は辺りを見回していると、天井から微かに軋む音が聞こえ始め、次の瞬間には凄まじい轟音を響かせながら瓦礫と共に一つの影も同時に落下してきた。 粉塵に紛れて現れたその姿に二人は眼を見開いた。感知用の眼が光っている時点で魔物なのは間違いがないが、今まで見て来た動物的、異形の姿をしたものではなく彼女は完璧なまでの人型の姿をしていたからだ。

「コイツっ…本当に魔物なのかっ!?その割には姿と言い形と言い完璧すぎないか?」
「僕もこんなの初めて見ますっ…そ、それより支部長は早くお逃げください!!」
『主の為。私は壊す…!』
 虚ろな目で二人をじっと見つめ、自分が任された事を果たす為。先にヒガンの元へ駆け寄ろうとしたベヴェルクトめがけ、足元にあった瓦礫を投げつけた。
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