― An EvilPurify Ⅱ― 姫が為。捧げし互いの正義

「ふんふ~んふふんふふ~ん♪」
綺麗に飾られたデザートを手元の銀色のお盆に乗せて運ぶ銀朱色のくせっけのある髪に紫色の眼をしたRose制服の青年は「ベヴェルクト=バニア」 高らかな鼻歌交じりに淡い黒色の壁が一面に広がる廊下をご機嫌に歩いていた。
 
「今日は僕特製のホットケーキにベリーソース~ついでに上にはバニラアイス♪…よっし、カメラの電池は十分だからたっくさん撮れるぞ!!」
 意気揚々と左右にある毛先のみ黒い耳の様にはねた髪を上下にパタつかせながら目的の場所へと向い、二階の最奥にあったオートロック式の扉前へ到着し、懐に入れていた一枚のカードをかざして中へと入室した。


「おっじゃましますよ~支部長。僕特製☆ホットケーキのアイス乗せ。さ、さ!支部長好みに甘さ多めですよ!!」
 不機嫌そうに椅子に腰かけ、作業用机の上に足を置き、黒の長い髪と緑色の眼に黒い二尾狐の襟巻を巻いた仏頂面の青年「ヒガン=ナイン=ドレスィド」の目の前へ遠慮なく手作りのお菓子を差し出した。
「うっせぇ。今はそれどころじゃねぇんだ!数週間前に街を襲撃しやがった魔物のせいでまた街が荒れてやがるから修繕がどうとかで忙しいんだ 全く…市街地位自分たちでどうかしろってんだ」
相変わらず不機嫌そうに手元の資料に目を通しながら、目の前に出されたお菓子を突き返そうとしたが、それよりも先に手元の資料が取り上げられ、机に積まれていた資料も別のテーブルの方へと移動させられていた。
「Σあ、て、てめぇ!!何しやがんだっ!」
「まあまあ~こう言う事は側近である僕にちょちょいっと命じてくれたら良いだけですよ~ ささ、一口どうぞ♡」
 多少不服そうな表情をされてしまったが、即座に隣へと回り込むと、一口サイズに切っておいたケーキを(とても素敵な笑顔で)フォークに刺して差し出すと、観念したようにようやく食べてくれた。
 その瞬間。いつの間にか準備されていたカメラによってその光景が撮影された。

「ヒガン支部長の良い表情。貰っちゃいました☆」
「~~~っ!!!消せっ!今すぐに消しやがれっ!///
満足そうに笑む彼へ真っ赤になりながら睨みつけ、腰元に装備していた革の長い鞭を振るった。
「!わわっ!?嫌ですよ~僕のコレクションですよ!何だって僕らバニア姉弟は支部長の側近であり支部長愛し隊なんですからどんな時でも見逃せない!」
振るわれた鞭を軽々と避け、得意げにガッツポーズをして見せるベヴェルクトに苛立ったらしくギリギリと歯を軋ませた。
「んな事…そんな事オレ様の知った事かぁぁあっ!!!!
 盛大な叫びと共に一気に鞭が振るわれ、避けるよりも先に数発当たってしまった。
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