― An EvilPurify Ⅱ― 姫が為。捧げし互いの正義
『そう言えばですねクロア嬢。噂ですが…数週間前に魔物が現れたと聞いたのですが、そちらに被害は無かったでしょうか? 噂程度ですが気になりまして…クロア嬢にもしもの事があればと思うと心配でして』
俯いて肩を震わせ、机に乗せた手を強く握りしめる彼の手を、両手で優しく包む様に添えながら彼女は安心させるようにと小首を傾げながら説明した。
「確かに魔物は現れましたが…ご安心ください 私は大丈夫ですよ。ちょっと危ない目にも合っちゃいましたが、側近が居ましたしそれにレト先輩が浄化して下さいましたので!」
『そう…ですか。それは安心致しました それにしても…クロア嬢はその方のお話をされる際、とても嬉しそうに語って下さいますねぇ…ふっくくく。妬いてしまいそうな程に…』
「っえ!?///そそそれはきっと先輩だからかと…それに…今は“補佐”をして頂いていますのでそれでだと…//私がこうして気兼ねなく接する事が出来るのはきっとミコトさんもレト先輩方と同じく一緒にいて安心できるからだと思いますよ」
ふわっとした様な安堵した表情で説明されても彼の心は今はかき乱されない。
自分の大事なマリアネットを壊した奴と同等の扱いをされた事に多少なりとも嫌悪感と苛立ちを感じていたせいだからだ 確かに彼も同じく色んな物を壊した。部隊も一緒にいたと思われるあの二人も。そしてその身を犠牲にした隊長も…
なのに壊れない。
十分過ぎるほどに何もかも壊された筈なのにクロアから伝えられる彼の情報は何も変わらない。 それが彼にとって不思議だった。壊れても良い筈なのに何故まだ大丈夫なのかと
それと同時にもう一つの考えが浮かんだ。
それならいっそ自分が壊してしまえば良いのだと。
自分の手で壊す事でマリアネットの苦しみを味わわせる事が出来るのなら…と
それから適当な会話をし、外の市街地に街灯の明かりが灯り始めた頃にようやくこの衣装チェンジ大会はお開きとなった。
いつもの様に支部前まで彼女を送り届け、足早に市街地を歩き抜け、湖に到着した所で今まで溜まっていた物を吐き出す様にその場に膝を付いて溜め息を吐いた。
『はぁぁぁぁあっ…もう…もう嫌です!!我慢の限界ですっ!なんですかアレは…家に案内するから実家かと思って慌てましたが、あんな衣装置き部屋…何故ワタシまで一緒に着替えねばならないと言うのですかっ!!服に見合った方の口調。仕草を説明されたところでワタシが分かる筈も…と言うか分かりたくも無いですっ!!!』
溜まっていた心の声を叫んだ事で一気に疲労感に見舞われてしまい、彼はその場に座り込んで手を叩いた。
『ソヴァージュ。帰りますよ』
手の音に反応して、奥の方から杖を持ったソヴァージュが姿を現したが、疲弊した彼の表情を見て彼女は気まずそうに視線を逸らした。
『おかえりなさい主。……終わりましたか?』
『余計なお世話です』
『それは失礼致しました。 本日の成果は如何でしょうか?』
『まずまず…と言った所でしょうね。詳しくは向こうで話します』
そう言って彼らは黒く歪んだ空間の中へと消え去って行った。
俯いて肩を震わせ、机に乗せた手を強く握りしめる彼の手を、両手で優しく包む様に添えながら彼女は安心させるようにと小首を傾げながら説明した。
「確かに魔物は現れましたが…ご安心ください 私は大丈夫ですよ。ちょっと危ない目にも合っちゃいましたが、側近が居ましたしそれにレト先輩が浄化して下さいましたので!」
『そう…ですか。それは安心致しました それにしても…クロア嬢はその方のお話をされる際、とても嬉しそうに語って下さいますねぇ…ふっくくく。妬いてしまいそうな程に…』
「っえ!?///そそそれはきっと先輩だからかと…それに…今は“補佐”をして頂いていますのでそれでだと…//私がこうして気兼ねなく接する事が出来るのはきっとミコトさんもレト先輩方と同じく一緒にいて安心できるからだと思いますよ」
ふわっとした様な安堵した表情で説明されても彼の心は今はかき乱されない。
自分の大事なマリアネットを壊した奴と同等の扱いをされた事に多少なりとも嫌悪感と苛立ちを感じていたせいだからだ 確かに彼も同じく色んな物を壊した。部隊も一緒にいたと思われるあの二人も。そしてその身を犠牲にした隊長も…
なのに壊れない。
十分過ぎるほどに何もかも壊された筈なのにクロアから伝えられる彼の情報は何も変わらない。 それが彼にとって不思議だった。壊れても良い筈なのに何故まだ大丈夫なのかと
それと同時にもう一つの考えが浮かんだ。
それならいっそ自分が壊してしまえば良いのだと。
自分の手で壊す事でマリアネットの苦しみを味わわせる事が出来るのなら…と
それから適当な会話をし、外の市街地に街灯の明かりが灯り始めた頃にようやくこの衣装チェンジ大会はお開きとなった。
いつもの様に支部前まで彼女を送り届け、足早に市街地を歩き抜け、湖に到着した所で今まで溜まっていた物を吐き出す様にその場に膝を付いて溜め息を吐いた。
『はぁぁぁぁあっ…もう…もう嫌です!!我慢の限界ですっ!なんですかアレは…家に案内するから実家かと思って慌てましたが、あんな衣装置き部屋…何故ワタシまで一緒に着替えねばならないと言うのですかっ!!服に見合った方の口調。仕草を説明されたところでワタシが分かる筈も…と言うか分かりたくも無いですっ!!!』
溜まっていた心の声を叫んだ事で一気に疲労感に見舞われてしまい、彼はその場に座り込んで手を叩いた。
『ソヴァージュ。帰りますよ』
手の音に反応して、奥の方から杖を持ったソヴァージュが姿を現したが、疲弊した彼の表情を見て彼女は気まずそうに視線を逸らした。
『おかえりなさい主。……終わりましたか?』
『余計なお世話です』
『それは失礼致しました。 本日の成果は如何でしょうか?』
『まずまず…と言った所でしょうね。詳しくは向こうで話します』
そう言って彼らは黒く歪んだ空間の中へと消え去って行った。