― An EvilPurify Ⅱ― 姫が為。捧げし互いの正義
一旦その場で立ち上がると、マリアネットの視線に合わせる様にして腰を屈め、そっと優しく頬に触れる。
『名残惜しいですが…もう時間ですねぇ。ですが…もうすぐで約束が果たせそうですよ 魔物を浄化出来る者も消えて、怯える事無く過ごせる世界が…その場所にワタシは存在しなくても構いません…だからどうかもう一度だけワタシを愛して下さい…』
自分の方へ引き寄せる様にして強く抱きしめ、耳元で囁く様にして想いを伝えるが勿論反応は無い。
どんなに寵愛しても返される事の無い想いに満たされない思い。
いっその事ならば最期にシエンから掛けられた言葉の事を思い出さない位に彼女で全てを満たして溺れてしまいたいのに…それは一向に叶う事は出来ない
それを考えて寂しそうな表情で彼女から離れると、くるりと後ろへ向き直りトレイタとソヴァージュへ指示を送った。
『行くとしましょうか…トレイタ。お前はマリーをしっかり守るのですよ?もう二度とヘマはしない様に そしてソヴァージュ。お前はワタシと共に来て頂きますよ?』
『言われなくても解っている。小僧、お前こそ失敗はするな 迅速に終わらせろ…と』
『ワタシの世話に何度もなっていると言うのに偉そうに…まあ、良いでしょう。どっちみち今日で全て終わらせるつもりですので』
鼻で嗤う様に呟くと、杖の水晶へと血を滴らせてその場で一回転させ地面に突き立て、黒く歪んだ空間へソヴァージュを連れて飛びこんで行った。
その場に残ったトレイタはマリアネットの傍まで這い寄り、顔のみを上げて様子を窺う。 自分はちゃんとこうやって何も変わらず蘇る事が出来たのに彼女は何が違ったのかと。 それを知る術は誰にも無い。 愛おしそうに何度見つめても悩んでも虚しさが広がるだけで、今は大人しくイザヨイを頼る他に術は無かった。
――――――――――――――――――
次に黒く歪んだ空間が現れたのは数週間前と同じ湖の近くで、時刻は予定通り午後の三時だった。
『さて…お前はこれまで通りここで待機をしなさい。Roseが来た際は騒ぎにならない程度になら暴れるのは許可しますのでね?』
『了解しました。では、お気をつけて』
ぺこりとその場で形式的な一礼をするソヴァージュへ杖を預けると、足早にその場から去って行き、クロアとの待ち合わせ場所である公園へと向かって行った。
『名残惜しいですが…もう時間ですねぇ。ですが…もうすぐで約束が果たせそうですよ 魔物を浄化出来る者も消えて、怯える事無く過ごせる世界が…その場所にワタシは存在しなくても構いません…だからどうかもう一度だけワタシを愛して下さい…』
自分の方へ引き寄せる様にして強く抱きしめ、耳元で囁く様にして想いを伝えるが勿論反応は無い。
どんなに寵愛しても返される事の無い想いに満たされない思い。
いっその事ならば最期にシエンから掛けられた言葉の事を思い出さない位に彼女で全てを満たして溺れてしまいたいのに…それは一向に叶う事は出来ない
それを考えて寂しそうな表情で彼女から離れると、くるりと後ろへ向き直りトレイタとソヴァージュへ指示を送った。
『行くとしましょうか…トレイタ。お前はマリーをしっかり守るのですよ?もう二度とヘマはしない様に そしてソヴァージュ。お前はワタシと共に来て頂きますよ?』
『言われなくても解っている。小僧、お前こそ失敗はするな 迅速に終わらせろ…と』
『ワタシの世話に何度もなっていると言うのに偉そうに…まあ、良いでしょう。どっちみち今日で全て終わらせるつもりですので』
鼻で嗤う様に呟くと、杖の水晶へと血を滴らせてその場で一回転させ地面に突き立て、黒く歪んだ空間へソヴァージュを連れて飛びこんで行った。
その場に残ったトレイタはマリアネットの傍まで這い寄り、顔のみを上げて様子を窺う。 自分はちゃんとこうやって何も変わらず蘇る事が出来たのに彼女は何が違ったのかと。 それを知る術は誰にも無い。 愛おしそうに何度見つめても悩んでも虚しさが広がるだけで、今は大人しくイザヨイを頼る他に術は無かった。
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次に黒く歪んだ空間が現れたのは数週間前と同じ湖の近くで、時刻は予定通り午後の三時だった。
『さて…お前はこれまで通りここで待機をしなさい。Roseが来た際は騒ぎにならない程度になら暴れるのは許可しますのでね?』
『了解しました。では、お気をつけて』
ぺこりとその場で形式的な一礼をするソヴァージュへ杖を預けると、足早にその場から去って行き、クロアとの待ち合わせ場所である公園へと向かって行った。