― An EvilPurify Ⅱ― 姫が為。捧げし互いの正義
クロアとのお出かけも終わり、市街地から離れたBlue Rose管轄内の湖まで彼は徒歩でようやく到着すると、辺りに誰もいない事を目視で確認した後。今まで我慢していた大きな溜め息を吐いた。
『ハァァァァ…全く。疲れますねぇ…全てはマリーの為と言えど我慢が絶えません…』
多少いらだった様子で首元で括っていた髪を解き、度の入っていない眼鏡を外し、強く手を叩いて合図を送った。
彼が手を叩くと少し離れた木々の方から先端に赤紫色の水晶が付いた杖を持ったソヴァージュが姿を現すと、彼の目は橙色から退魔師の特徴でもある感知の眼が彼の意志に関係なく発動した。
『っと…勝手に反応するこの眼は良し悪しですねぇ…昔はコレを頼りにしていたけれどもう必要ありませんが…バレるのはまだ困りますし… さて、早く帰りましょうかソヴァージュ。 ワタシが居ない間に何も起こりませんでしたか?』
『ここには誰も来なかった。主様の方は如何ですか?』
『情報は仕入れられましたが…なかなか疲れましたねぇ…従順で扱いやすいのですが内心の苦労が多いのですよ。…ついでですので魔物でも放っておきましょうか。最近ここらは平和だと仰られてましたし…ついでに支部でも襲撃してくれると幸いですので』
『お言葉ですが主。下級魔物に自我も意思もありませんよ?』
『構いませんよ。最初から期待などしていませんし…それに、ここである程度の騒ぎさえ出ればクロア嬢はまた心配するでしょうからそこに付け込めば楽なんですよ』
『……そうですか…』
再び大きめの溜め息を溜め息を吐くと、手袋を外して軽く指を噛んで血を滴らせ、ソヴァージュから受け取った杖の水晶へ血液を数滴垂らしてからその場で一回転させて地面に突き立てると、地面には黒く歪んだ空間が出来上がった。 辺りには何もいない事をもう一度確認し終えると、二人は飛び込む様にしてその空間の中へと姿を消して行った。
その場に残された歪な空間が閉じようとした寸前にハーピーの姿をした魔物二羽が桜色の羽根と白色の羽根を舞い散らせながら月が反射して輝いている湖の上空へと飛び去って行った。
『ハァァァァ…全く。疲れますねぇ…全てはマリーの為と言えど我慢が絶えません…』
多少いらだった様子で首元で括っていた髪を解き、度の入っていない眼鏡を外し、強く手を叩いて合図を送った。
彼が手を叩くと少し離れた木々の方から先端に赤紫色の水晶が付いた杖を持ったソヴァージュが姿を現すと、彼の目は橙色から退魔師の特徴でもある感知の眼が彼の意志に関係なく発動した。
『っと…勝手に反応するこの眼は良し悪しですねぇ…昔はコレを頼りにしていたけれどもう必要ありませんが…バレるのはまだ困りますし… さて、早く帰りましょうかソヴァージュ。 ワタシが居ない間に何も起こりませんでしたか?』
『ここには誰も来なかった。主様の方は如何ですか?』
『情報は仕入れられましたが…なかなか疲れましたねぇ…従順で扱いやすいのですが内心の苦労が多いのですよ。…ついでですので魔物でも放っておきましょうか。最近ここらは平和だと仰られてましたし…ついでに支部でも襲撃してくれると幸いですので』
『お言葉ですが主。下級魔物に自我も意思もありませんよ?』
『構いませんよ。最初から期待などしていませんし…それに、ここである程度の騒ぎさえ出ればクロア嬢はまた心配するでしょうからそこに付け込めば楽なんですよ』
『……そうですか…』
再び大きめの溜め息を溜め息を吐くと、手袋を外して軽く指を噛んで血を滴らせ、ソヴァージュから受け取った杖の水晶へ血液を数滴垂らしてからその場で一回転させて地面に突き立てると、地面には黒く歪んだ空間が出来上がった。 辺りには何もいない事をもう一度確認し終えると、二人は飛び込む様にしてその空間の中へと姿を消して行った。
その場に残された歪な空間が閉じようとした寸前にハーピーの姿をした魔物二羽が桜色の羽根と白色の羽根を舞い散らせながら月が反射して輝いている湖の上空へと飛び去って行った。