― An EvilPurify Ⅱ― 姫が為。捧げし互いの正義

 それから互いに他愛無い話を続けていたが、唐突にイザヨイはある事を聞いた。

『そう言えばですねクロア嬢。貴女にはご心配をお掛けしたくなくて言っていませんでしたが…ワタシはあの時よりも前に魔物に襲われた事がありまして…その時。“リオン”と言う方に助けて頂いたのですが、何か知らないでしょうか?あの時お礼を言いそびれましたので…会って直接お礼を言いたいと思って探して居るのですが』
「リオン…?…一人心当たりが居ますが…ミコトさんの言う方は黒い帽子や銀髪の方ですか?」
『はい。そうですよ 浄化だけされて去ってしまわれたので名前しかお聞きできませんでしたので…どこの支部の方か知りたかったのですよ』
「なるほど!そうだったのですね。ええっと…レト先輩……あ、いえ。リオンは今はBlue Roseにいますよ!本当なら野外部隊としてなって貰う予定でしたがちょっと事情があったらしくって現在お一人で来て下さり…酷い怪我でしたが現場にも復帰して下さったのですよ♪ ミコトさんがお会いしたいなら予定も合わせますが…」
『いえいえ、お気使いなさらないで下さいクロア嬢。それを聞けただけでも十分です どうもありがとうございましたクロア嬢…とても、有意義な時間を過ごせました。 さ、もう日が暮れてしまいます…支部前までお送りいたしますね?』

 キレの長い目をにっこりと細めると、昼間の様な賑やかさも無くなり、少しづつ街灯が照らし始める市街地を一直線に歩き進め、支部の門前に辿り着いた所でそっと手を離し、恭しく礼をした。
『本日はこれにて…どうかまたお会いしたいと思っております』
「私の方も今日はありがとうございました。えっとその…今度またい、一緒に歩いて下さいね!ミコトさんにご紹介したい事だってありますし!」
『はい、是非お願いしますね。それではおやすみなさい…クロア嬢』
最後にもう一度恭しく一礼すると、元来た方へと歩き、その姿は市街地に残る人の陰に直ぐに隠れてしまった。 そんな彼の背中をある程度見送った所で彼女は支部へと戻り、残していた仕事を片付ける為にと執務室へと向かった。
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