― An EvilPurify Ⅰ― 退魔師物語

 部屋の中は随分と広い作りになっており、天井にはシャンデリアが設置されて最奥までに赤い絨毯が敷いてあり、数段ある階段の上に玉座が置いてあった。その上にマリアネットとカインそして足元には随分と負傷したトレイタの姿。
 二人の姿を見ると少し驚いた様な表情をしていたが、直ぐに反応した。
「カイン!良かったカイン…今す『私の玩具…二人目。だけどそっちは私じゃない……』
「…?何を言って…」
独り言の様に言うと、彼女の手から蝶が召喚されると、ゆっくりと飛び回ったかと思うとリオンの手の上に止まり、手袋の上から浸透するように入り込んだ。 何が起こったのか分からなかったので慌てて手袋を取ると、痣が消え去っていた。
「…どうやら自分は彼女に嫌われたようだね 本望だけど…」
「嬉しそうに冷静に解析してる場合じゃないですって!!ほら蛇さんがっ!」
ご機嫌な様子で手袋を装備している際にトレイタが突進して来たが、寸前の所で赤紫色の異形の形をした両腕によって阻まれた。片方は角を もう片方は首元を掴んでいる。

「まずはこの蛇さんから倒すのが妥当だね…頭は何とかするから君は尻尾を」
「了解です!」
リックが向かったのを確認すると、長い刀身を取り出してもう片方の角を斬り落とそうと一気に剣を振り下ろすも、寸前の所で逃げられてしまい、長い尻尾で二人とも勢いよく薙ぎ払われてしまい壁に叩きつけられた。
「痛っててて…ガードして無かったらどっか折れてたぞっ…」
「っ痛…やっぱりそう簡単には斬らせてくれないか…」
 よろよろと立ち上がろうとした時、直ぐにトレイタによってリックが標的にされてしまい、丸呑みにしようと大口を開けて噛み付かれる。
慌てて呼びかけるも返事が無い。まさか本当に?と不安がよぎったが、トレイタの口元から剣が突き立てられ、そこを切り裂いてリックが脱出した。
返り血で真っ赤になっている姿のままで合流し、マフラーで顔を拭う

「うっへぇー危なかった…運よくコイツの口元が切れてたから脱出できたけど…これが無かったら終わってたぜ…」
「良かったリック君…丸呑みされたんじゃないかと心配していたんだよ」
「オレもそう思ったんですけどー…口元が斬られていたんで咄嗟にそこめがけて斬ったと言う訳ですよ 怖かったけど…」
明るく振舞って見せるリックの目の前で逃げられた事や痛みでそのせいで怒り狂い、尻尾で至る所へ叩きつけては見境なく破壊し始めた。
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