― An EvilPurify Ⅰ― 退魔師物語

「な、何すんだよ!?リ…ローゼちゃん!」
(私あっちに命令されて止めただけなんだけど)
振り返るとローゼに引きとめられて居た事に一瞬だけ驚いたが、今はそんな所をツッコむ気も無い。伸びる影の先には開いたままの棺桶があり、ようやくだがリオンが帰って来た。
「何があったのかは大体しか分からないけれど今、無鉄砲に行動するのは危険だか「今じゃなきゃ助けられないんだよ!!オレの不注意のせいでカインが連れていかれたんだっ!隊長なのに副隊長も守れないなんて隊長失格だけどっ…あそこに飛び込んだら今なら助けられる気がするんだ!だからっ…」
「…!…」

(副隊長も守れないで隊長が務まるかよ…)
随分と昔に同じような事を言われた言葉が反復される。少しだけ立場は違うもののあの時と殆ど同じだった。
あの時は確か自分たちは何も出来ないまま片方が犠牲になって…もしあの時誰かがいれば変わっていたかもしれないが…
それを考えると、引き留める理由も無くなってしまう
「…君の痣も大分進んでいるんだから無理はしないでくれるかな?」
「大丈夫ですよ!二人でも早く浄化してしまえば簡単ですし」

ガッツポーズで合図をしてくれるリックに安堵の表情を少しだけ見せると、腕を掴ませていたローゼを微かに残っていた歪みに向けて投げつけて抉じ開けさせた。
 辛うじて入れる事が出来たので、銃を拾っていたリックを連れて突入した。
―――――――――

空間に入った途端目が回る程に回転しているようだった。 宙に浮いた様な意識なので感覚は無い。
色々な景色が見えた気がしたがどれもこれも見覚えのない人ばかりで…最後に見た白い少女と蛇が向かい合っている所で意識は途切れた。


ローゼに叩き起こされてようやく二人の目が覚める。どれ位寝ていたのかは分からないが、気が付いたら廊下らしき所に到着していたらしい
「いっててて…リオンさんは平気ですか?」
「この歳だと少しキツかったんだけど…おっと、何でも無いよ。行こうか」
 随分と広い場所で部屋数も多そうだ。外では赤い月が色々と照らしている。
長居はしたくないと思いながら、一番奥にあった豪勢な扉を棺桶を投げる事で破壊して入った。
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