― An EvilPurify Ⅰ― 退魔師物語

睨まれた事で一瞬身じろぎをしたものの、少し前に貰った写真の事を思い出し、後ろに居たトレイタへ命令する
『その眼と写真…教えて貰った悪い退魔師さん だからマリーはそっちの二人でいい…貴方はイザヨイが何とかしてくれるって言ってた トレイタ』
差していた傘を閉じると、伏せていた蛇へもう一度指示を送る。
「参ったね…確かアイツは左目が死界だからそっちを重点的に狙うしかないね…」
「?そんなものありました?…っと! 確か初めて会った時はそんなもの無かったですよ?」
「母上が君らを救助するのに刀を投げて刺したって聞いたんだけどー…君らには黙って居たらしいね …蛇は何とかして抑えておくから君らはマリアネットをお願いできるかい?」

 今まで知らなかった事をサラッと言われてしまったが、今この状況でツッコミを入れていられる程楽な状況でも無いので、一旦二手に分かれるとリックとカインは森に身を隠し、リオンは二人から出来るだけ離れた場所まで誘導した。
 丸呑みにしようと頭から突進してくるので、棺桶内から呼び出したローゼを使って赤紫色の異形の腕を召喚させると、トレイタの角を押さえつけさせた。 脱出しようと酷く暴れるのでその隙に木の上へ飛び乗り、蛇の口元めがけて地面に突き刺さる勢いで剣を突き刺した。
「これでもう食べれないだろう?…味は聞かないが…あの時お前が食した退魔師の味はさぞかし良かったんだろうね?なんせ隊長だからね… ローゼ、食べろ」
 

 独り言の様にトレイタへ話しかけ終わると、冷たくフッと笑み、突き刺した剣を時折抉る様に動かす。 脱出しようと試みるも、押さえつけられている力が強い為か未だ動けそうにも無い。
食べても良いと許可を得たので、味見程度にと手始めに片方の角を一気に圧し折り、痛みでもがかれる事も意に介さない様子で生々しい音声と共に食事を続けた。
離れた場所でこんな事が行われて居るとは知らずに、リックはマリアネットへ剣を握って特攻し、カインは彼の後ろで援護を試みた。
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