― An EvilPurify Ⅰ― 退魔師物語

気に入った大きさの魚を捕まえると、棺桶の中にまで持って帰ると蓋を閉じた瞬間に食事音が響いた。
「元気ですねーローゼちゃん…Σっておいおい!生で食べちゃダメだろ!」
「大丈夫だよー。魔物を食べるほどの強靭な胃持ってるから平気だよ」
 笑って済む問題なんだろうか…と困惑するリックを余所に食事を終えたローゼはまた狩りへと出発した。 呆然と立って居る彼へ後ろから水が掛けられてしまう。
「Σうっへぇ冷てっ!!何すんだよ!」
「~♪リックがボーっとしてるから掛けてあげたのよ コントロール下手でも当ててみなさいよ~」
カインに挑発されて、お返しにと何回か試しに水を掛けてみるが言われたとおりコントロール技能が全くと言って良い程無かった為びしょ濡れという惨敗に終わった。
 着替えは用意して居なかったので濡れたままだったが、ある程度まで乾かせたのでこのまま支部まで行こうと準備した瞬間。何かの気配に気づいた三人は立ち止まった。

「今の何だ?…何か大きなものがこっちに来てる感じだったんだけどよ」
「分かんない…でも早く行きましょうよ こんなオフ状態での襲撃なんてごめんよ」
 早く行こうとカインに促され、再度出発した時にはもう遅かった。
 目の前に現れた蛇の着地だけで飛ばされそうなほどの風が起こり、木々が倒される。
空を仰いで嘶く声だけですら卒倒しそうな位に息が詰まる。
伏せたトレイタの上から降りると、嬉しそうな笑みを浮かべて三人を見る。 動揺する二人の間から素早くリオンが前に出る

『やっと見つけた…マリーのお人形さんたち 今度はもう逃がさない…』
「悪いけれど、君にはここで帰って貰うよ …それとも…そこの蛇に今度は眼だけじゃなくて角も失って貰うかい?」
棺桶こそは開いていないものの、いつの間にか鞘から抜かれている漆黒の長い刀身を彼女に付きつけるように向けて強く睨みつける。
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