― An EvilPurify Ⅰ― 退魔師物語

 リックの要請もあって出発は次の日となってしまったが、その日の夜に色々とお互いの事について自分たちが支部に勤めないで野外部隊班としての道を選んだ事や上司の事等や昔組んでいた相方の事やBlue Rose支部の支部長との関係等を時折カインが入れてくれた紅茶(ローズティー)で気分を変えつつ話し合った。

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 照明が付けられていないので薄暗いホール。その奥の壇上で片目を負傷しているトレイタを椅子代わりにして白いコートの青年がマリアネットを膝の上に乗せて話しかける。
『今日もマリーは玩具を捜しに行くのかい?』
『退魔師、見つけた…本当はね。直ぐに遊ぼうとしたの そしたら別の退魔師に阻まれた…ずっと前に見つけた玩具も見つからないの…
 トレイタもその時に斬られちゃった」
『そうだね…悪い退魔師のせいでこうなったんだね…?ここなら安心だよ。誰も邪魔は出来やしない… いっそ、玩具候補をここに招待したらどうだい?ここでは痣なんて君が好きに出来る…だから、直ぐに遊んであげる事も痣を取り払う事も出来る… だけど、この人には気を付けるんだよ?』
 強い目に彼女を抱き寄せると、コートの隙間から一枚の写真を取り出して手渡す。

『これ…あの時の?』
『そうだよ…この人は君の言っていた悪い退魔師さんの血縁者だよ?マリー…君が危険な目に会うのは心苦しいからね。こちらで手配してあげるから安心して行っておいで』
 安心させるようにと、服にしがみつくマリアネットの首筋にそっと口づけをし、彼女を抱っこした状態のままでトレイタから降り、蛇の額の上へとマリアネット乗せて、愛用の傘を手渡す。
『これから少し用があってここを空けるけれど…気が済んだら向こうに帰っておいで?』
『うん…行って来るね』

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 エンブレス街からBlue Rose支部まで歩いて向かう途中、二人が前に遊び場として使っていたと言う森の奥にある泉のほとりで一旦休む事を決め、リックはマフラーとブーツを取り払うと一番に駆け出して行った。
 次にカインも同じように駆け出し、遊ぶ二人を眺めながら、リオンは近くの木陰で休んだ。
「最近来てなかったけどさ!ここは特に変わってないよな~」
「そうよね~♪浄化終わりによくここで遊んだものね あ、リオンさんもどうですか?」
「自分はここでいいよ 代わりにローゼがそこで遊んで居るからね」

彼に指差された方を見て見ると、泉のほとり付近で棺桶が開居ていたので、中から伸びている黒い影の様な線を辿ると近くで魚を捕まえて遊ぶ彼女の姿があった。
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