空が珍しく青く澄み久しぶりの快晴が辺りを照らしていた平穏な昼下がり、「ジェットシェル」と呼ばれる小さな街に住む二人の男女が優雅にお茶を楽しんでいる時、外から聞こえる人々の叫び声などによって優雅なお茶は打ち砕かれた。　声に驚いて一人がお茶を吹いてしまい、熱そうに慌てる彼を余所にもう一人の女性は冷静に近くの小窓から外の様子を窺った。　少し大きな烏姿をした魔物が外に居る人々へ襲撃をしていた
やれやれと言いたげに軽くため息を吐くと壁に立て掛けておいたショットガンを背負い、適当な布で服を拭う彼の腕を掴むと青と赤のマフラーを装備して外へと駆けて行った。


外の状況を初めて見た彼はかりかりと頭を掻きながら茶色い髪の青年がめんどくさそうにボヤいた。
「おーおー、派手にやってくれてるなぁアイツら…これだと報告書何枚分だ？」
「４・５枚分くらいね。早速だけど、もうクライマックスに行くとしましょうか。じゃあ後はお願いね？市民の保護は私がしておくから」
「人使い荒いなー…ちぇっ分かったよ～　仕方ないからてめぇらまとめてかかって来い！」

腰に挿しておいた剣を鞘から抜くと長く伸びた銀色の刀身が姿を見せた。　それを挑発的に目の前に居る烏の姿をした魔物へ突きつける。
意味を理解したのか、市民を襲撃していた彼らも攻撃を目の前にいるその青年にへと変更されたので避難の方は隣に居た赤髪の女性へと頼んでおいた。
「うっわー遠慮ねえの…じゃあ避難の方頼んだぞ？」
「ちゃんと分かってるから早く浄化しといてよ？　皆さん大丈夫でしたか？立てます？早くこちらへ」
面倒そうに適当に手を振って返事をすると、何羽もの烏が少し赤く染まっている爪やくちばしを勢いよくこちらに向けて飛んで来たのに気が付き、手にしていた剣を振るい次々と魔物を浄化していく事でいつの間にか残りは彼女が見たあの大きな烏一羽となっていた。　
　部下が一羽も居なくなった事を理解すると、彼に向けて大きな翼を一気に羽ばたかせる事で刃の代わりとなっている羽を飛ばすが、彼の手にしていた剣によってそれも簡単に弾き飛ばされてしまう。　無駄だと言う事を理解したのか一旦攻撃を止めると突進にへと攻撃方法を変えた。
　それをチャンスと思い、両手に握っていた剣に力が籠るのが分かり、わざとその場でじっと立ち止まった。　爪が当たる寸での所で身を交わし、素の一瞬の間に胴体に向けて一気に剣を突き刺した。
鋭い悲鳴と共に烏の身体からは黒い煙が上り始め、その煙と共に魔物の姿も全て消え去っていた。