― An EvilPurify Ⅰ― 退魔師物語

 船内では大人数の船員が忙しそうに走り回り、船長らしき人物とヴァレンチノが会話をしているらしかったが、皆の邪魔になる訳には行かないと、船員の間を通りながら甲板へと避難しておいたが、カインの表情がかなり強張って居たが出航と同時にその表情は真っ青に変わり絶叫した。
やっぱり降りるぅうう!!!こんな鉄の塊が浮いて進んで大砲撃ったりするなんて絶対信じないんだからっ…うぅえ…叫びす…ぎた…」
「フレイア、喧しいので に寝かしたらどうだ?」
「あ、チノさん。んー…もうダウンしてるんで大丈夫だと思いますよ~時々あったんで」
 確信の無い言葉だったが、適当に置いてあった樽の上で真っ青な顔をして寝転がって居るので、この様子だと起きれそうにも無いと言うのは良く解った。こんな状態で叫ぼうものなら惨劇が起きるだろうし
と言っても彼女の傍を離れる訳には行かなかったので、樽の近くに居ながら海を眺め合っていた。
「チノさんが言っていた知り合いってどんな人なんですか~?」
「息子だ。反抗心の塊のような奴だがな……たった一人のパートナーを亡くしただけで戦場から身を引いた…愚か者だ。全てが自身の罪と思い…な」
「(息子居たんだ…ってか相手居たんだ…)でもオレも…カインがもし居なくなったら辞めちゃうかもなー…一人のうのうと生きれる自信ないし…Σはっ!」
 その時初めて自分が躊躇いなく言ってしまった事を後悔した。 よくよく考えてみればそんな甘い考えなどこの人の前では通じないと言うのに何を言ってしまっているんだと…また叱咤を受けてしまう。そう思い反射的に防御態勢に入って身構えていたが、只静かに息を吐くと何も言われないままその場を後し、奥の船室の中にへと戻って行った。

自分…何かものすごく悪い事言ったのかな?と自責の念に駆られていたが、あれは自分の本心を言っただけであって…包み隠さず言っているしー…と脳内でさっきの出来事を正当化しようと思考を巡らせていると後ろからあの時の船長らしき人物に声を掛けられた。
18/39ページ
スキ