― An EvilPurify Ⅰ― 退魔師物語

「君らの怪我は数日もすればほぼ完治はすると思うが…痣は私でもどうにもならない…」
「痣って何か効果があるんですか?見る限り何も変化はなさそうなんですけど…」
「それは初期だからだ。…あまり詳しい事は知らないが同じ物を持つ奴が知り合いに居るとしたら…君らはどうする?」
突然のヴァレンチノからの問いかけに一瞬反応が遅れたが、この事を詳しく知れるならばその話に乗るのも良いかな?と二人で顔を見合わせて納得した。
「そうか、なら船を手配して来よう。エンブレス街と言うのは徒歩や馬車なら時間が掛かるのでな船な「Σま、待って下さいチノさん!!徒歩!徒歩が良いです!長距離位何とか乗り切るので!」(乗り物酔いするから)
「我慢しろよ~そんな事ぐらい、あ、チノさん。シャンディさんがよろしくと言ってましたよ~」
「あのヒゲおや…シャンディが?…なら尚更船だな。アイツと知り合いとなると金時計の権限が使えんからな まあ、今は寝ていろ。私は少し外の整備を手伝うのでな」

 そう言うと静かに部屋を出て行ったヴァレンチノを軽く手を振って見送って居ると不意に隣に居るカインから枕を投げつけられた。
反応が遅れたため顔面に当たってしまい、少し痛そうに顔を擦った。
「いってぇなぁ…いきなり何すんだよカイン!八つ当たり?されるような事した覚えはー…あるような無い様な…いや、あったっけ?」
「海路なんて行ける訳無いじゃないっ!私の乗り物酔いの辛さ知らないから安易に言ってー!!」
「Σうわっ!待てってカイン!近くに在ったからってショットガンで突くな!危ないっ!」
集中的に脇腹を突かれ続け、お互いに疲れ合った所でこの小さないざこざも静まり、返して貰った枕に顔を埋める様にしながらお互いに寝息をたてながら眠りについた。
 
 
 数日間の療養生活も終了し、いつもの深緑の制服に着替えるとお揃いのマフラーを装備して寝室を後にして客間へと向かうと既に準備を済ませたヴァレンチノが待って居てくれた。
「準備は出来たようだな。話は付けてあるからな 行くぞ」
彼女に案内され、港付近を歩居ているとようやく到着したのか同じように足を止めると、目の前に巨大な戦艦の様な船がそこにあり、呆気にとられている間に置いて行かれてしまったが慌てて二人も乗り込んだ。
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