日の光が射し、眩しさに目を開くと見知らぬ場所で寝て居る事に気が付いた。不思議とあの時の疲労感や痛みはあまりなく、二人とも楽々と起き上がる事は出来たが、アドニスとの一戦以降。記憶が曖昧にしかないので治療が施されている事や服が変わって居る事に疑問を感じていると奥の部屋から茶色のローブを纏った女性が綺麗に畳まれた彼らの衣服を持ちながらやって来た。
「？起きていたのか。体調はどうだ？」
「あ、大丈夫です！…えっとー…ちなみにここは何処なんですか？」
「そうか…アイツの調合薬が効いたと言う事か…ああ、ここは私の家だ。申し遅れたが私はヴァレンチノ＝レト　昔退魔師をしていた者だ」
「「Σえぇ！？」」
「そう驚くほどの事か？今ではー…英雄だったか？ほら、赤いマントの傷が多い奴と黒いレースの布をずっと被ってる奴（ジークとシルドラ）が居ただろう。アイツら共同期だが…」
｢｢Σえぇぇぇええ！！！？あの英雄の！？　あのお二人と！？｣」
「う、うむ。まあな…息子の面倒も見て貰った事もあるが…アイツらそんなにも凄い奴だっただろうか？…それより名前を聞いてなかったな」
　思っていたよりも大きな存在だった彼女に対し驚きで叫び続けて居たが、慌てて自分たちはBlue Rose支部出身の野外部隊班だと言う事を紹介した。
「敬語は使わなくても良い。今となっては私も一般人と同じでしかないが…退魔師として二つほど言いたい事がある
　貴様らはあの時何故逃げなかった！私が命令したとは言ってもマリアネットが居たとなるならば逃げろと教わらなかったのか！？私達は退魔師であって神では無い。故に時には一般人であっても戦場では切り捨てるという非情さを持つ事も必要なのだ！…だが…生きていてくれてよかった…あの時私が向かって居ればこんな痣など付けられなかったのかもしれないな…申し訳ない…私の過ちを許しほしい」
　
　強く握りしめられていた拳が不意に解かれ、ヴァレンチノは二人に対して深く頭を下げた。　最もらしい叱咤を受けて凹んで居たものの予期もしなかった事に二人は慌てて顔を上げる様にと促し、もう大丈夫だと言う事を伝えると安心した様な表情で静かに微笑むと顔を上げて近くの椅子へ腰を下ろした。