― An EvilPurify Ⅰ― 退魔師物語

「お任せくださいな♪この時間帯なら馬車も使えるでしょうし、フォールン・ソノラですね?ええ、行きますよ その前にーお名前教えて頂いてもよろしいですか?呼びにくいので 後友人さんの特徴とか名前も」
「ありがとうございます!あ、私はシリアン=フィズと申します 友人はこの写真に映ってるクリム=ブランカ」
「クリムさんですね。では依頼金は3000ポッチ。行ってまいりますね!」
「はい!お願いしますね」
 ようやく出来上がったお茶を出そうとした時に、カインから剣とマフラーを投げつけられ、仕方無さそうにそれらを装備して外へと出かける。夜のわりにまだ明るかったのが幸いで、近くにあった店に事情を話して金時計を見せ馬車を用意して貰った。 素早く乗り込み、依頼人と軽く挨拶を交わすと目的地のフォールン・ソノラへと向かって行った


「ちょーっと揺れるけどその辺に摑まっててな?」
黒いシルクハットに茶色の長い髭を生やし茶色いローブを羽織った運転手は二頭の馬を巧みに使いながらぐんぐんとスピードを上げていくが、時折本格的に揺れるものなのでカインの顔がかなり蒼白になり、目の前で横たわって居た。
「シャンディさーん!一人戦闘不能になっちゃったよ!!?スピード緩めるか別の道選んであげてー!」
「悪いなぁ退魔師さん!お得意様が向こうで張り切ってるとなったら急がなならんのよ。流石にあの人がくたばるとは思えないけどもう歳だからなぁ…これが近道だから頑張れ!」
「そんなぁー!Σいやぁぁあ!カイン頑張ってぇ!
「も、もう無理…うっ…」
その時速さと体力面を考慮して馬車を選んだ事を初めて後悔した。支部に居た頃は特攻隊長の付き添いなどで一緒に同行した事は何回かあったので、平気だろうと思い選んだのだが失敗だった。蒼い顔で揺られ続ける中でそんな思考を巡らせているとようやく目的地に到着し、とりあえずカインはその場に寝かしたまま運転手のシャンディにお礼を言っておいた。

「オレたちの無茶ぶりに対応してくれてありがとうございますね」
「良いって事よ退魔師さんにはお世話になったからな~ お、そうそう白髪交じりでつり目のおば…奥様が居るんでなワシと同じローブ着てる。今はきっと勇ましく戦ってるだろうし見かけたらよろしく言っといてくれんか?お得意様なんだ」
「なるぼど、了解しました~お任せください ほらカイン、行くぞ」
 少し顔色が治ったカインを連れて石畳状になっている道を駆けて行った。
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