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オレはナナシを抱いたが殺しはしなかった
寧ろどこか割れ物を扱うかの様に丁寧に優しく扱った
布団の中で生まれたままの姿で酒を飲むオレに
絡みつきナナシは少し力なく言葉を紡いだ
『初めての客が主さんで良うござりんした』
オレは店から出る時さっきの楼主にありったけの金を渡した
「旦那!こりゃどういう⋯⋯」
『この金であの女の時間を買えるだけ買いたい⋯どれくらい持つ?』
「これだけありゃ優に一週間は⋯」
『そうか⋯だったら一週間また来る。それまでナナシにはゆっくり過ごさせてやってくれ』
一週間経てばまた店へ行き金を出す
「旦那!ナナシに会って行ってやってくれねェか?」
楼主に頭を下げられオレは仕方なく店に入った
『主さん、おいでなんし⋯またわっちに会いに来てくれて嬉しゅうござりんす』
床に入って色気を振り撒くナナシにオレはそんなつもりは無いと言えば硝子玉の様な目を見開き驚いている
「今日は話でもするか」
そしてその日は一晩中話をした
9歳の時親の借金のカタに売られてからこの店に居る事や三味線を弾くのが好きな事等オレの3つ下のナナシは無邪気に笑い話してくれた
『それと⋯』
「どうした?」
『悩みがありんして⋯主さんには悪いざんすが⋯』
そう言って口ごもったナナシを優しく促すと
ナナシは申し訳なさそうに続けた
『わっちには魅力が無いんでございましょうか?』
オレが誰にも触らせない様にコイツの時間を買っている事は楼主にも黙ってもらっている
「見る目がねェだけだろ、気にすんな」
その後はオレはナナシを抱かずとも一晩中抱きしめながら眠ったり酒を飲む時の話し相手になって貰ったりとして月日を過ごし二ヶ月程が経ったある日⋯⋯