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「おーい!茜ー!!!」
私の名前を呼ぶ聞き慣れた声に足を止めた。前後に伸びる廊下を見回しても声の主は見当たらない。横を歩いていた友人もあれ?呼ばれたよね?と首を傾げている。チラと横の窓から下を見ると中庭から笑顔で手を振っている兄に姿が。
「あっ上鳴先輩じゃん。上鳴せんぱーい!」
友人たちが嬉しそうに窓から手を振っているのを横目に私はため息をつく。またか、と。
私の兄、上鳴電気は正直に言うとチャラい。今だって私の友人たちににこにこと手を振っている。別に嫌いというわけではないし良いのだけど。目の前の窓枠に足をかける。
「先戻っといて。行ってくる」
「はいはーい。先輩によろしくね!」
了解と頷いてからかけた足に力を込めて身体を押し出す。2階からならまぁそんなに問題ないか。手を開いて後ろに振り上げる。衝撃を逃がしながら地面に落ちて行く。両手両足同時に地面につけて着地成功。目の前にはちょうど呼んだ本人がいる。
「何?バカ電気。いっつも大声で呼ばないでって言ってるじゃん」
「ハッ妹にまで言われるとは流石アホ面」
「だー!うるせーかっちゃん!いやそれより!茜!」
いつも一緒にいる先輩方に軽く頭を下げてから電気の方を向く。明らかに怒ってます!と腰に手を当てて怒っている。さっきまで笑顔で手を振ってきていたしなんで怒られているか分からず首を傾げる。
「うっそんな可愛くしてもダメだから!」
「いやしてないし。なんなら怒られるようなこともしてない」
「したー!!スカートなのに2階から飛び降りちゃだめでしょ!?」
「そこかよ!?」
「絶対そこじゃないわー」
「スパッツ履いてるからよくない?ほら」
ペラっとスカートを捲ってみせる。ちゃんと長めのスパッツを履いてるし線だって出ないやつを選んでる。自分で覗き込んで見ても問題なさそう。なんなら横にラインが入ってるの選んで可愛いと思ってる。
「捲らない!めっ!ダメでしょ!」
「電気もしかして私のとこまだ幼稚園児だと……?」
「つーかさ!よく飛び降りたな!?個性も何も使ってないんだろ?かっこよかったぜ!」
「あっそれ俺も思った。なんも使ってなさそーだけど綺麗に降りてたな」
「……体幹鍛えてんだろ。衝撃も逃がしてっし」
「あー……ども。個性は使ってないです。ていうか使えない」
不思議そうな顔をする先輩たちの前に手のひらを広げる。それから意識して個性を発動。少し時間がかかって出来たそれはちいさな稲妻。これが私の個性。稲妻、というか雷を生み出せる。小さいものしかできないし何の役にも立たない個性。電気みたいにせめてスマホの充電くらい出来たら良かったのに。
「すげー!?なんだそれかっこいいな!?」
「ありがとうございます。ただこれ作れるだけなんで何の役にも立たないんですよ」
「それじゃ本当にただ飛び降りたってわけ?すごいね」
「茜はパルクールが好きでさ!すげーんだよ!俺としては怪我しないか心配だけど!」
嬉々として話す電気を横目に個性を消す。始めたばかりの頃、ずっと傍で電気が心配して喚いていたのをよく覚えている。ジムで練習を始めたから目立って仕方がなくてすごく嫌だったけど。でも今ではその気持ちも分かるようになってしまった。ヒーロー科の演習に加えて様々な事件に巻き込まれてるのを見て家族として心配にならない訳がない。口には出さないけどきっとバレてる。でも電気がヒーローに憧れてたのも知ってるしその道をこんなに努力して進んでいる。傍から見るとそうは見えないだろうけど。そんな様子を知ってるからこそ、私の心配を知って欲しい。気をつけてね、応援してるよ、の気持ちを込めて。
「個性なくてもできますから、パルクールは」
「……それ使えんじゃねェか?」
「はい?」
「えっなになに!?かっちゃん茜は俺の妹だからね!?あげねーよ!?」
「うっせ!んなこと言ってねェだろーが!」
「はいはい落ち着けばくごー。でも俺も気になるぜ!」
爆豪先輩の一言にみんなの視線が爆豪先輩に。ちなみに私は電気の口を押えてる。余計なことしか言わなさそう。その時瀬呂先輩がああ!となにか思いついたように声を上げた。
「個性使えない場所での救助や確保ってこと?それは確かにそうかもな。爆豪の個性爆破だし。それに切島は機動力上げるのに良さそう。上鳴もだけど。習えば?」
えっ?ちょっと何を言ってるのかわからない。瀬呂先輩の言葉を飲み込むことが出来ずに唖然とする。いやいやヒーロー科が見習うような部分ないでしょ?ただ2階から降りただけだよ?そんなことを思ってるのにその間にも私の手を離した電気が私はこんなことができるだのあんなことができるだのいろいろ話してる。いやほんとやめて全然大したこと出来ないのに。
「なぁ!時間ある時に教えてくんねーか?俺が演習場借りるからよ!」
「いや……ほんと全然教えるなんて……」
「2階から躊躇なく飛び降りられるのはすげーと俺思うよ?というか俺も個性封じられた時ように教えてもらいてーな」
「えぇ……」
どんどん進んでいく話に追いつけない。電気のいるクラスってすごいって有名なんだよ?1年で仮免全員取ってオールマイトが先生してて。そんな?すごい先輩たちに?私が?どうしようと戸惑っていると軽く背中を叩かれた。横を見ると笑顔を浮かべた電気が。
「すげーじゃん!さすが俺の妹!実際俺もすげーって思って応援してたしさ!今度教えてくんね?」
「私でいいの?」
「じゃねーなら頼んでねーし!てかさほんとすげーよ?あのかっちゃんが褒めるなんて!」
「あ゛ぁ!?」
「はーいかっちゃん大人しくしてろなー」
「さっきからなんなんだよ!おめェら!」
電気の後ろで先輩たちが騒いでるのも気になるけど褒めてくれたのは素直に嬉しい。だって、今までパルクールしていて褒められたことなんてない。教えてなんて、それもこんなすごい人たちに。今まで女の子なのに危ないとか、そんな走るだけじゃんとかいろいろ言われた。彼らは、そんなこと、一言も言わなかった。でも私じゃとも思ってしまう気持ちもある。控えめに電気の方を見てみるといつもと変わらず優しい笑顔を浮かべたままで。少し気まずくて視線を泳がせてしまう。そんな私にな?どー?教えてくんね?と声をかけられてようやく小さく頷いた。
「えっマジで教えてくれんのか!?ありがとな!俺演習場の許可取ってくる!」
「切島早すぎまずいつかでしょ」
「えっと……放課後とかならだいたい時間あるので良ければ…………」
「ありがとうねー俺たちの頼み聞いて貰っちゃって。なんか俺らにできることあったら言ってな?」
「ありがとうございます。えっと、それじゃ今日とかです……?」
言ってからしまった急ぎすぎたかもと不安に思う。だけどそんな私に反して先輩たちはすぐに頷いてくれた。それどころかどこの演習場を借りるとかいつ言うかとかまで話が進んでいる。
「電気」
「ん?なーに?」
「素敵な友だちだね」
「ん?そうだろ!?」
電気の笑顔が見たことないくらい眩しくて、なんだか私まで嬉しくなってしまった。
私の名前を呼ぶ聞き慣れた声に足を止めた。前後に伸びる廊下を見回しても声の主は見当たらない。横を歩いていた友人もあれ?呼ばれたよね?と首を傾げている。チラと横の窓から下を見ると中庭から笑顔で手を振っている兄に姿が。
「あっ上鳴先輩じゃん。上鳴せんぱーい!」
友人たちが嬉しそうに窓から手を振っているのを横目に私はため息をつく。またか、と。
私の兄、上鳴電気は正直に言うとチャラい。今だって私の友人たちににこにこと手を振っている。別に嫌いというわけではないし良いのだけど。目の前の窓枠に足をかける。
「先戻っといて。行ってくる」
「はいはーい。先輩によろしくね!」
了解と頷いてからかけた足に力を込めて身体を押し出す。2階からならまぁそんなに問題ないか。手を開いて後ろに振り上げる。衝撃を逃がしながら地面に落ちて行く。両手両足同時に地面につけて着地成功。目の前にはちょうど呼んだ本人がいる。
「何?バカ電気。いっつも大声で呼ばないでって言ってるじゃん」
「ハッ妹にまで言われるとは流石アホ面」
「だー!うるせーかっちゃん!いやそれより!茜!」
いつも一緒にいる先輩方に軽く頭を下げてから電気の方を向く。明らかに怒ってます!と腰に手を当てて怒っている。さっきまで笑顔で手を振ってきていたしなんで怒られているか分からず首を傾げる。
「うっそんな可愛くしてもダメだから!」
「いやしてないし。なんなら怒られるようなこともしてない」
「したー!!スカートなのに2階から飛び降りちゃだめでしょ!?」
「そこかよ!?」
「絶対そこじゃないわー」
「スパッツ履いてるからよくない?ほら」
ペラっとスカートを捲ってみせる。ちゃんと長めのスパッツを履いてるし線だって出ないやつを選んでる。自分で覗き込んで見ても問題なさそう。なんなら横にラインが入ってるの選んで可愛いと思ってる。
「捲らない!めっ!ダメでしょ!」
「電気もしかして私のとこまだ幼稚園児だと……?」
「つーかさ!よく飛び降りたな!?個性も何も使ってないんだろ?かっこよかったぜ!」
「あっそれ俺も思った。なんも使ってなさそーだけど綺麗に降りてたな」
「……体幹鍛えてんだろ。衝撃も逃がしてっし」
「あー……ども。個性は使ってないです。ていうか使えない」
不思議そうな顔をする先輩たちの前に手のひらを広げる。それから意識して個性を発動。少し時間がかかって出来たそれはちいさな稲妻。これが私の個性。稲妻、というか雷を生み出せる。小さいものしかできないし何の役にも立たない個性。電気みたいにせめてスマホの充電くらい出来たら良かったのに。
「すげー!?なんだそれかっこいいな!?」
「ありがとうございます。ただこれ作れるだけなんで何の役にも立たないんですよ」
「それじゃ本当にただ飛び降りたってわけ?すごいね」
「茜はパルクールが好きでさ!すげーんだよ!俺としては怪我しないか心配だけど!」
嬉々として話す電気を横目に個性を消す。始めたばかりの頃、ずっと傍で電気が心配して喚いていたのをよく覚えている。ジムで練習を始めたから目立って仕方がなくてすごく嫌だったけど。でも今ではその気持ちも分かるようになってしまった。ヒーロー科の演習に加えて様々な事件に巻き込まれてるのを見て家族として心配にならない訳がない。口には出さないけどきっとバレてる。でも電気がヒーローに憧れてたのも知ってるしその道をこんなに努力して進んでいる。傍から見るとそうは見えないだろうけど。そんな様子を知ってるからこそ、私の心配を知って欲しい。気をつけてね、応援してるよ、の気持ちを込めて。
「個性なくてもできますから、パルクールは」
「……それ使えんじゃねェか?」
「はい?」
「えっなになに!?かっちゃん茜は俺の妹だからね!?あげねーよ!?」
「うっせ!んなこと言ってねェだろーが!」
「はいはい落ち着けばくごー。でも俺も気になるぜ!」
爆豪先輩の一言にみんなの視線が爆豪先輩に。ちなみに私は電気の口を押えてる。余計なことしか言わなさそう。その時瀬呂先輩がああ!となにか思いついたように声を上げた。
「個性使えない場所での救助や確保ってこと?それは確かにそうかもな。爆豪の個性爆破だし。それに切島は機動力上げるのに良さそう。上鳴もだけど。習えば?」
えっ?ちょっと何を言ってるのかわからない。瀬呂先輩の言葉を飲み込むことが出来ずに唖然とする。いやいやヒーロー科が見習うような部分ないでしょ?ただ2階から降りただけだよ?そんなことを思ってるのにその間にも私の手を離した電気が私はこんなことができるだのあんなことができるだのいろいろ話してる。いやほんとやめて全然大したこと出来ないのに。
「なぁ!時間ある時に教えてくんねーか?俺が演習場借りるからよ!」
「いや……ほんと全然教えるなんて……」
「2階から躊躇なく飛び降りられるのはすげーと俺思うよ?というか俺も個性封じられた時ように教えてもらいてーな」
「えぇ……」
どんどん進んでいく話に追いつけない。電気のいるクラスってすごいって有名なんだよ?1年で仮免全員取ってオールマイトが先生してて。そんな?すごい先輩たちに?私が?どうしようと戸惑っていると軽く背中を叩かれた。横を見ると笑顔を浮かべた電気が。
「すげーじゃん!さすが俺の妹!実際俺もすげーって思って応援してたしさ!今度教えてくんね?」
「私でいいの?」
「じゃねーなら頼んでねーし!てかさほんとすげーよ?あのかっちゃんが褒めるなんて!」
「あ゛ぁ!?」
「はーいかっちゃん大人しくしてろなー」
「さっきからなんなんだよ!おめェら!」
電気の後ろで先輩たちが騒いでるのも気になるけど褒めてくれたのは素直に嬉しい。だって、今までパルクールしていて褒められたことなんてない。教えてなんて、それもこんなすごい人たちに。今まで女の子なのに危ないとか、そんな走るだけじゃんとかいろいろ言われた。彼らは、そんなこと、一言も言わなかった。でも私じゃとも思ってしまう気持ちもある。控えめに電気の方を見てみるといつもと変わらず優しい笑顔を浮かべたままで。少し気まずくて視線を泳がせてしまう。そんな私にな?どー?教えてくんね?と声をかけられてようやく小さく頷いた。
「えっマジで教えてくれんのか!?ありがとな!俺演習場の許可取ってくる!」
「切島早すぎまずいつかでしょ」
「えっと……放課後とかならだいたい時間あるので良ければ…………」
「ありがとうねー俺たちの頼み聞いて貰っちゃって。なんか俺らにできることあったら言ってな?」
「ありがとうございます。えっと、それじゃ今日とかです……?」
言ってからしまった急ぎすぎたかもと不安に思う。だけどそんな私に反して先輩たちはすぐに頷いてくれた。それどころかどこの演習場を借りるとかいつ言うかとかまで話が進んでいる。
「電気」
「ん?なーに?」
「素敵な友だちだね」
「ん?そうだろ!?」
電気の笑顔が見たことないくらい眩しくて、なんだか私まで嬉しくなってしまった。