爆豪勝己
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関係ないって…………」
そう口を抑えて唖然とした出久を置いて走り去ったのは少し前。随分と走った先はグラウンドの隅。木の生い茂った少し暗い場所。そこで泣いた。久しぶりに声を上げたくなった。どうしたらいいかなんて分からない。
その後どうやって寮に帰ったかあまり覚えていない。闇に飲まれそうな夜だけは覚えている。随分と遅く帰ったせいで心配の声が多かった気もするけど返事をできた気がしない。朝起きて視界に映ったノートには"おやすみ"の文字だけ。挨拶だけはどうやらしたみたいで良かった。時計を見るといつもより大分早い時間。丁度いいやとトレーニングウェアに着替える。強くならなくちゃ。体力を増やさなくちゃ。倒れないように。その朝は時間が許す限りジョギングを続けた。私を見ている視線になんか気づきもしないで。
いつも通りの学校、いつも通りの授業。いつもより少し心配そうに話しかけてくれるみんな。それでも出久は話しかけてこなかった。関係ないなんて言ったから私から話しかけるのも気が引ける。でも話したところで分かってくれないだろうな。きっと真っ直ぐな出久は気持ちを伝えた方がいいと、個性で無理に変えるのは良くないと言うのだろう。そんな事はわかっている。でも怖いんだ。私には勇気がないから。このまま勝己の横にいれるならそれでいいんだ。事実を伝えて気まずくなることが何よりも嫌だ。せめて、せめて雄英にいる間は許して欲しい。それ以降私が離れるから。
「茜ちゃん」
いつの間にか放課後になっていて、机の前には出久が真剣な表情で立っていた。どうしようと視線をうろつかせる。
「少し話がしたいんだ。いいかな?」
ああ逃げられないななんて視線があって思う。こういう出久の意思が固くて真っ直ぐなところが好きだ。今はやめて欲しいけれど。真っ直ぐな視線が刺さる。私もそんな風に思ったことをそのまま言えたら、伝えることができるのならば、なんて幸せなんだろう。
"私はないよ。話したいこと"
目の前の彼が羨ましく思う。そんな彼に拒絶の言葉を紡ぐ。なんで知られてしまったんだろう。あの時少しでも言い訳しておけば良かった。
「……僕、中学の頃から気づいてたんだよ。止めたかったけど茜ちゃんのためになるならって何も言わなかった。でも倒れるくらいならやっぱり……。心配なんだよ……!」
みんなの目が刺さるように感じる。まさかここで言われるなんて思っていなかった。なんて書けばいいのか分からない。
「おいクソデク!何言っとんだおめェ!!」
「かっちゃんだって心配でしょ!?」
「今のこの状況のが胸糞悪ぃわ!行くぞ!」
出久にキレた勝己に腕を引っ張られた。そのまま足が絡みそうになりながらついて行く。後ろを見ると悔しそうな、心配そうな顔をした出久が。私を気にするからあんな顔をさせてしまったんだ。息を吸って言葉を選ぶ。私を忘れてもらえれば――。
「それは言うな」
大きな手が私の口を覆う。そう言う勝己の表情は見えなくて。なんで分かったのなんて聞くことは出来なかった。そのまま教室を離れて向かう先は屋上。あっさり開いたそのドアの向こうは広い青い空がどこまでも続いていた。こんな澄んだ景色を眺めたのは久しぶりかもしれない。ボーッと眺めていると離れていく勝己の腕。少し1人で前を行く勝己を視界に入れる。出久が心配してくれているのもわかる。いっそ全て話してしまうかなんて考える。当たって砕けろ精神だ。でも、それをするには時間がかかりすぎた。これまでの関係を壊して足を引っ張るような真似はしたくないから。それなら私だけが知っていればいい。なんて独りよがりな考えだろう。分かってるけど現状を変える1歩を踏み出すには勇気が足りなくて。でも今だって勝己に迷惑をかけてる。どうしたらいいのだろう。どうするのが正解だったんだろう。この青い空に私の悩みなんて吸われてしまえばいいのに。
「なぁ」
声をかけられて勝己の方を向く。その表情は真剣で、やっぱり好きだなぁなんて考えてしまう。
「知っとった。俺に個性かけとること」
勝己の口から出た言葉が信じられなかった。
そう口を抑えて唖然とした出久を置いて走り去ったのは少し前。随分と走った先はグラウンドの隅。木の生い茂った少し暗い場所。そこで泣いた。久しぶりに声を上げたくなった。どうしたらいいかなんて分からない。
その後どうやって寮に帰ったかあまり覚えていない。闇に飲まれそうな夜だけは覚えている。随分と遅く帰ったせいで心配の声が多かった気もするけど返事をできた気がしない。朝起きて視界に映ったノートには"おやすみ"の文字だけ。挨拶だけはどうやらしたみたいで良かった。時計を見るといつもより大分早い時間。丁度いいやとトレーニングウェアに着替える。強くならなくちゃ。体力を増やさなくちゃ。倒れないように。その朝は時間が許す限りジョギングを続けた。私を見ている視線になんか気づきもしないで。
いつも通りの学校、いつも通りの授業。いつもより少し心配そうに話しかけてくれるみんな。それでも出久は話しかけてこなかった。関係ないなんて言ったから私から話しかけるのも気が引ける。でも話したところで分かってくれないだろうな。きっと真っ直ぐな出久は気持ちを伝えた方がいいと、個性で無理に変えるのは良くないと言うのだろう。そんな事はわかっている。でも怖いんだ。私には勇気がないから。このまま勝己の横にいれるならそれでいいんだ。事実を伝えて気まずくなることが何よりも嫌だ。せめて、せめて雄英にいる間は許して欲しい。それ以降私が離れるから。
「茜ちゃん」
いつの間にか放課後になっていて、机の前には出久が真剣な表情で立っていた。どうしようと視線をうろつかせる。
「少し話がしたいんだ。いいかな?」
ああ逃げられないななんて視線があって思う。こういう出久の意思が固くて真っ直ぐなところが好きだ。今はやめて欲しいけれど。真っ直ぐな視線が刺さる。私もそんな風に思ったことをそのまま言えたら、伝えることができるのならば、なんて幸せなんだろう。
"私はないよ。話したいこと"
目の前の彼が羨ましく思う。そんな彼に拒絶の言葉を紡ぐ。なんで知られてしまったんだろう。あの時少しでも言い訳しておけば良かった。
「……僕、中学の頃から気づいてたんだよ。止めたかったけど茜ちゃんのためになるならって何も言わなかった。でも倒れるくらいならやっぱり……。心配なんだよ……!」
みんなの目が刺さるように感じる。まさかここで言われるなんて思っていなかった。なんて書けばいいのか分からない。
「おいクソデク!何言っとんだおめェ!!」
「かっちゃんだって心配でしょ!?」
「今のこの状況のが胸糞悪ぃわ!行くぞ!」
出久にキレた勝己に腕を引っ張られた。そのまま足が絡みそうになりながらついて行く。後ろを見ると悔しそうな、心配そうな顔をした出久が。私を気にするからあんな顔をさせてしまったんだ。息を吸って言葉を選ぶ。私を忘れてもらえれば――。
「それは言うな」
大きな手が私の口を覆う。そう言う勝己の表情は見えなくて。なんで分かったのなんて聞くことは出来なかった。そのまま教室を離れて向かう先は屋上。あっさり開いたそのドアの向こうは広い青い空がどこまでも続いていた。こんな澄んだ景色を眺めたのは久しぶりかもしれない。ボーッと眺めていると離れていく勝己の腕。少し1人で前を行く勝己を視界に入れる。出久が心配してくれているのもわかる。いっそ全て話してしまうかなんて考える。当たって砕けろ精神だ。でも、それをするには時間がかかりすぎた。これまでの関係を壊して足を引っ張るような真似はしたくないから。それなら私だけが知っていればいい。なんて独りよがりな考えだろう。分かってるけど現状を変える1歩を踏み出すには勇気が足りなくて。でも今だって勝己に迷惑をかけてる。どうしたらいいのだろう。どうするのが正解だったんだろう。この青い空に私の悩みなんて吸われてしまえばいいのに。
「なぁ」
声をかけられて勝己の方を向く。その表情は真剣で、やっぱり好きだなぁなんて考えてしまう。
「知っとった。俺に個性かけとること」
勝己の口から出た言葉が信じられなかった。