メーデー、愛してる
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治崎のいる広間は棘だらけで歩くのもままならなさそうだ。量の手を合わせて床を錬成し直す。真っ平らにしてからすぐ側にいる緑谷クンに笑いかけた。
「絶対、助けようね」
「……もちろん!誰も死なせない!必ず助ける!!」
その瞬間、天井が落ちてきた。一緒にドラゴンになってるリューキュウサンや梅雨ちゃん、お茶子が見える。落ちてくる瓦礫がエリちゃんやみんなが怪我しないように爆破して小さくしていく。その開いた大穴からはヴィラン連合のトガヒミコにトゥワイス、Ms.コンプレスにエンヴィーがいた。なにやら話しているけど聞こえはしない。緑谷クンがナイトアイサンを助けるように頼んでいたその時、壁の向こうに置いてきたはずのエリちゃんが治崎の元へ飛ばされていた。
「「治崎!!」」
空いた穴から逃げようとしているんだろう。緑谷クンごジャンプしてエリちゃんを捕まえに行こうとしている。なら私は――。
「星の標 」
右足をタンタンっとリズムを踏んだ。床に錬成陣が広がる。ようやく完成した空間転移の錬金術だ。あまり練習は出来ていないけど……!次の瞬間景色が変わった目の前には治崎の背中。ちょうどエリちゃんを緑谷クンが抱きとめて治崎の腕が取り返そうと伸ばしている所だ。そのまま後ろから蹴りを入れる。けどそれも新しく作られた棘のようなものに阻止されてしまい、分解を始める。緑谷クンたちへの攻撃を少しでも減らさないと……!そう思っていたその時、緑谷クンが消えた。目の前には落ちてきた治崎が。周りではリューキュウサンやナイトアイサンが話しているけど聞いている場合ではない。こいつ……なにかする!そう思った瞬間、治崎の身体が変化しだした。まるでエンヴィー。いやそれより大きいかもしれない。急いで頭であろう部分に転移して攻撃を続ける。ダメージは0ではないはず。そもそもこの巨体を維持するだけで勝手にダメージを負っていそうだ。私にできる精一杯の攻撃を休みなく入れていく。でも、抑えられない。
「デク!!気をつけて!治崎がそっちに向かう!」
どうやらエリちゃんの個性は人間を巻き戻すことができるらしい。使いようによっては猿にまで戻ってしまうと。だから返せという治崎に緑谷クンは絶対に嫌だといいながらエリちゃんを背負った。遅れて私も近くに転移する。緑谷クンはエリちゃんにとても優しい個性じゃないかって。戻されるスピードより早く怪我をし続けると。エリちゃんの力を借りようとしていた。
「デク!援護する!好きに暴れて!」
「ありがとう!シリウス!」
それからも語り続ける治崎からの攻撃を避けながら治崎の肉体を分解していく。急所がわからないから決定打を与えることができない。それに無数に伸びる腕からの攻撃を避けきれない。骨が何本かいった気もする。それでも分解に合わせて住宅街に被害が行かないように氷の壁を何枚も錬成していく。対価の熱で治崎の増幅した肉体が一部焼けるようと臭いがした。顔の左側から目にかけて何故か痛みを感じで目を開けるのが辛く感じ出始めた。そしてついに緑谷クンが治崎の本体を殴り飛ばす。被害は最小限、殴り飛ばした先は出てきた穴の近くだった。急いで緑谷クンとエリちゃんに駆け寄る。でもエリちゃんの個性が止まらない。緑谷クンが苦しみ出した。戻るのが止まらないんだ。
「っ!しょーたサン!!!」
痛くて痛くて開けるのが辛い目をどうにかこじ開ける。急いで探すと梅雨ちゃんがしょーたサンを支えていた。しょーたサンが見てくれたおかげでエリちゃんの個性が止まる。そして戦いは終わった。ありったけの救急車が呼ぼれてけが人がどんどん運ばれていく。私は……ナイトアイサンが気になって探していると緑谷クンがいた。その近くに担架に乗せられているナイトアイサンが。
「緑谷……フォーサイトおまえらは未来を捻じ曲げた」
「ナイトアイ!僕言いそびれてて!」
その後オールマイトサンの話の途中でナイトアイサンは目を閉じた。私も続きを聞くこともなくその場に倒れてしまった。
午前9:15保護――完了!
目を覚ますと――いや目を開けようとしたけどそれは叶わなかった。目が開かないように固定されている。顔の左側から包帯で覆われているようだ。とりあえず賢者の石を取り出したい。なんだか良くない気がする。私はブラットレイみたいにもし賢者の石を取り込んだ所で耐えられる気がしないから。いつかホーエンハイムさんみたいに対話したいなとは思っているけれども。困ったななんて思っているとドアが開く音が聞こえた。
「ハロルド、起きたか?」
「――――ぁ」
声が上手く出せなかった。喉が乾いて仕方がない。というか喉が痛い気がする。右腕だけ軽く上げるとしょーたサンともう1人の気配が近づいてきた。傍にあるだろう椅子を引く音が聞こえる。しょーたサンの方を向いてどうにか手を伸ばして服を引っ張る。それから自分の目元の包帯を指さして「とりたい」と口を大きく開きながら声には出さずに伝えた。
「……少し待っとけ。担当医に聞いてやる。なんで外したい?」
質問されてから左眼を指さす。それから手で取り出す動作をしてみる。
「分かったちょっと待ってろ。他には?」
皆どうなったのか知りたくて仕方がなかった。それで口パクで「みんなは?」と聞いてみた。
「それは緑谷に説明して貰え。さっき言ったからな。俺は担当医を探して起きたことと包帯のことを聞いてくる。緑谷、任せたぞ」
「はいっ!」
それから緑谷クンによってみんなの説明を聞いた。しょーたサンは10針縫われて、切島クンは全身打撲に裂傷、天喰先輩は顔面にヒビ、ファットさんは骨折が何ヶ所か、ロックロックサンは内蔵を避ける形で刃が刺さっていたこともあって大事には至らなかった。緑谷クンは腕以外に異常はなし。エリちゃんは熱も引かず眠ったまま、今は隔離されているとのことだった。そしてナイトアイサンもものすごく危なかったがどうやら一命を取りとめたらしい。良かったと息を少しはく。安心したところでまた入口辺りから人の気配がした。しょーたサンが担当医を連れてきてくれて、包帯を変えようと思っていたから何かしたいのであれば問題ないと言ってくれた。包帯を外したタイミングで左眼に指を入れて義眼を取り出す。触った感じ、少しひび割れているだけだった。よかったと思いながら錬成して直していく。それから目に戻そうとすると少し待ってと言われて担当医さんが消毒をしてくれた。お礼を言ってからめに戻すとさっきまでの違和感はもうなかった。それから包帯を巻き直してもらって簡単に怪我の説明をしてもらう。肋はに3本の骨折にほかも細々した傷。顔が酷いらしく焼ける肉体の近くに居すぎたため目と顔の左側は爛れかけていたらしい。喉は焼けているため声は出さない様にと注意された。氷の壁を錬成する時対価の熱の放出に失敗したからだろう。まだまだだなと改めて感じる弱さ。そして私はそのまま病院で1夜を過ごした。
次の日には退院の準備をしていた。リカバリーガールに治してもらって声は出せるようになった。目は治っていない。というか賢者の石が側にあるし、一気に治してしまうのは怖いから大丈夫だと伝えた。1週間くらいで普通にしてても治ると言われたから少しずつリカバリーガールに治癒力をもらうことに。ニュースでは治崎がヴィラン連合に襲われたことがずっと流れていた。
学校に戻ってからも色々と手続きや調査があって寮にみんなと戻ってこれたのは夜だった。梅雨ちゃんに手を引いてもらいながら玄関に入った。
「帰ってきたァァァァ!奴らが帰ってきたァ!!」
「大丈夫だったかよォ!!」
「大変だったな!」
「ニュース見たぞおい!!」
「まぁとにかくガトーショコラ食えよ!」
「みんな心配してましたのよ」
共有スペースにはみんながいて姿は見えないけど声がたくさん聞こえてきて安心する。自然と笑みがこぼれる。透と響香が抱きついてきて頑張ったねなんて頭を撫でてくれた。そこで飯田クンが声を大にして級友であるなら彼らの心を労り静かに休ませてあげるべきだと。それに緑谷クンが大丈夫だと返したのを皮切りに飯田クンがフルスロットルで心配を語っていた。ヤオモモはハーブティーを入れるとどこかへ。いつも通りの光景なんだろうなと嬉しくなった。
「ハル!なんでハルだけ治ってないの!?目大丈夫!?見えないの!?」
「ミナ。大丈夫だよ元から左目見えてなかったし」
「そうじゃなーーい!」
くすくす笑ってミナに本当に大丈夫。どうせすぐ外せるんだと伝えると早く元気になってねとハグされた。するとどこからか甘い香りが。ミナと繋いでいた手に向けていた顔を上げて香りの方へ向ける。誰かが立っている。一瞬砂藤クンが作ってくれたケーキかと思ったけどこれは違う。
「…………勝己?」
「……無理すんなつっただろうがアホが」
「うん。でも守りたかった」
包帯に隠された目の下辺りを優しく撫でてくれている。どれくらいで治るんかって聞かれて1週間と答えると安心したように息をついた。それからいきなり抱き上げられてうぇ!?と変な声が出た。
「勝己!?歩けるよ!?」
「いいから寝っぞ」
「お風呂入ってない!」
「チッさっさと行けや」
どうにか勝己から抜け出して梅雨ちゃんとお茶子の元に戻る。そこら辺にほっといてしまったバックから病院でもらった包帯を取り出して勝己に渡す。
「上がったらお願いしたいな」
「はっ!さっさと行ってこい」
共有スペースのみんなに先に抜けるねーと声だけかけて部屋に戻って荷物を置いたらすぐにお風呂に向かう。部屋着も持って行くと梅雨ちゃんとお茶子もいた。少し手伝って貰いながら大変だったね頑張ったよねとお互いを労う。ゆっくりお風呂に浸かってからそのまま2人と共有スペースに行くとまだみんなの声が聞こえた。お風呂で濡れてしまったから包帯は取ってしまっている。酷い顔してるんだろうなぁなんて思いながら足を進める。すこしだけ足が重い。すると人の気配がすぐにあってぶつかってしまった。甘い匂いが漂う。
「あっ!ごめん!」
「謝んな。包帯巻くから大人しくしろ」
「あっちで座った方がやりやすくない?」
「見られたくねぇだろんな傷。残らねぇなら尚更。つかおめぇが気にしなくても俺が気にする。大人しくしろ」
「勝己……ありがとう。じゃあお願い」
勝己のやさしい手が髪を撫でていく。巻き込むから持っとけと言われた髪を持ち上げて巻き終わるのを待つ。ん、できたと言われて髪を下ろすと手櫛で軽く整えてくれた。
「ねぇ勝己」
「あ?なんだ」
「顔、酷かった?」
声が震える。爛れた顔だなんて醜いものを見せてしまったと少し後悔する。怪我なんていっぱいして来た。腕だって目だってもうない。それでもこれ以上酷い私を見られたくなかったことに今気づいた。自分で頼んだくせに。その場で俯いて立ち止まっていると、勝己に抱き上げられた。もはやびっくりしすぎて声が出ない。そのままズンズン進んでいく勝己に慌てて声をかけるも止まらない。立ち止まったと思ったらエレベーターの音が聞こえてきた。後ろからはゆっくり休んでねー!なんて声が聞こえてくる。見えないなりに声がした方に手を振ってありがとうと伝えると耳元に吐息がかかった。
「てめぇがどんな顔してよーと知ったこっちゃねぇ。お前はお前だろ。俺が惚れたハルに変わりはねぇ」
チンと音がしてエレベーターが開く。思いがけない言葉に顔はきっと真っ赤だ。勝己の肩にグリグリとおでこを押し付けていると声を押し殺したような笑い声に包帯外れるからやめろやと軽く頭を撫でられた。そのまま連れていかれたのは勝己の部屋。ほら寝ろと言われてベットに降ろされた私は勝己に抱きつく。勝己もベットに横になって勝己の顔に手を触れる。どうにか唇の位置を確認してキスを1つ落とした。
「絶対、助けようね」
「……もちろん!誰も死なせない!必ず助ける!!」
その瞬間、天井が落ちてきた。一緒にドラゴンになってるリューキュウサンや梅雨ちゃん、お茶子が見える。落ちてくる瓦礫がエリちゃんやみんなが怪我しないように爆破して小さくしていく。その開いた大穴からはヴィラン連合のトガヒミコにトゥワイス、Ms.コンプレスにエンヴィーがいた。なにやら話しているけど聞こえはしない。緑谷クンがナイトアイサンを助けるように頼んでいたその時、壁の向こうに置いてきたはずのエリちゃんが治崎の元へ飛ばされていた。
「「治崎!!」」
空いた穴から逃げようとしているんだろう。緑谷クンごジャンプしてエリちゃんを捕まえに行こうとしている。なら私は――。
「
右足をタンタンっとリズムを踏んだ。床に錬成陣が広がる。ようやく完成した空間転移の錬金術だ。あまり練習は出来ていないけど……!次の瞬間景色が変わった目の前には治崎の背中。ちょうどエリちゃんを緑谷クンが抱きとめて治崎の腕が取り返そうと伸ばしている所だ。そのまま後ろから蹴りを入れる。けどそれも新しく作られた棘のようなものに阻止されてしまい、分解を始める。緑谷クンたちへの攻撃を少しでも減らさないと……!そう思っていたその時、緑谷クンが消えた。目の前には落ちてきた治崎が。周りではリューキュウサンやナイトアイサンが話しているけど聞いている場合ではない。こいつ……なにかする!そう思った瞬間、治崎の身体が変化しだした。まるでエンヴィー。いやそれより大きいかもしれない。急いで頭であろう部分に転移して攻撃を続ける。ダメージは0ではないはず。そもそもこの巨体を維持するだけで勝手にダメージを負っていそうだ。私にできる精一杯の攻撃を休みなく入れていく。でも、抑えられない。
「デク!!気をつけて!治崎がそっちに向かう!」
どうやらエリちゃんの個性は人間を巻き戻すことができるらしい。使いようによっては猿にまで戻ってしまうと。だから返せという治崎に緑谷クンは絶対に嫌だといいながらエリちゃんを背負った。遅れて私も近くに転移する。緑谷クンはエリちゃんにとても優しい個性じゃないかって。戻されるスピードより早く怪我をし続けると。エリちゃんの力を借りようとしていた。
「デク!援護する!好きに暴れて!」
「ありがとう!シリウス!」
それからも語り続ける治崎からの攻撃を避けながら治崎の肉体を分解していく。急所がわからないから決定打を与えることができない。それに無数に伸びる腕からの攻撃を避けきれない。骨が何本かいった気もする。それでも分解に合わせて住宅街に被害が行かないように氷の壁を何枚も錬成していく。対価の熱で治崎の増幅した肉体が一部焼けるようと臭いがした。顔の左側から目にかけて何故か痛みを感じで目を開けるのが辛く感じ出始めた。そしてついに緑谷クンが治崎の本体を殴り飛ばす。被害は最小限、殴り飛ばした先は出てきた穴の近くだった。急いで緑谷クンとエリちゃんに駆け寄る。でもエリちゃんの個性が止まらない。緑谷クンが苦しみ出した。戻るのが止まらないんだ。
「っ!しょーたサン!!!」
痛くて痛くて開けるのが辛い目をどうにかこじ開ける。急いで探すと梅雨ちゃんがしょーたサンを支えていた。しょーたサンが見てくれたおかげでエリちゃんの個性が止まる。そして戦いは終わった。ありったけの救急車が呼ぼれてけが人がどんどん運ばれていく。私は……ナイトアイサンが気になって探していると緑谷クンがいた。その近くに担架に乗せられているナイトアイサンが。
「緑谷……フォーサイトおまえらは未来を捻じ曲げた」
「ナイトアイ!僕言いそびれてて!」
その後オールマイトサンの話の途中でナイトアイサンは目を閉じた。私も続きを聞くこともなくその場に倒れてしまった。
午前9:15保護――完了!
目を覚ますと――いや目を開けようとしたけどそれは叶わなかった。目が開かないように固定されている。顔の左側から包帯で覆われているようだ。とりあえず賢者の石を取り出したい。なんだか良くない気がする。私はブラットレイみたいにもし賢者の石を取り込んだ所で耐えられる気がしないから。いつかホーエンハイムさんみたいに対話したいなとは思っているけれども。困ったななんて思っているとドアが開く音が聞こえた。
「ハロルド、起きたか?」
「――――ぁ」
声が上手く出せなかった。喉が乾いて仕方がない。というか喉が痛い気がする。右腕だけ軽く上げるとしょーたサンともう1人の気配が近づいてきた。傍にあるだろう椅子を引く音が聞こえる。しょーたサンの方を向いてどうにか手を伸ばして服を引っ張る。それから自分の目元の包帯を指さして「とりたい」と口を大きく開きながら声には出さずに伝えた。
「……少し待っとけ。担当医に聞いてやる。なんで外したい?」
質問されてから左眼を指さす。それから手で取り出す動作をしてみる。
「分かったちょっと待ってろ。他には?」
皆どうなったのか知りたくて仕方がなかった。それで口パクで「みんなは?」と聞いてみた。
「それは緑谷に説明して貰え。さっき言ったからな。俺は担当医を探して起きたことと包帯のことを聞いてくる。緑谷、任せたぞ」
「はいっ!」
それから緑谷クンによってみんなの説明を聞いた。しょーたサンは10針縫われて、切島クンは全身打撲に裂傷、天喰先輩は顔面にヒビ、ファットさんは骨折が何ヶ所か、ロックロックサンは内蔵を避ける形で刃が刺さっていたこともあって大事には至らなかった。緑谷クンは腕以外に異常はなし。エリちゃんは熱も引かず眠ったまま、今は隔離されているとのことだった。そしてナイトアイサンもものすごく危なかったがどうやら一命を取りとめたらしい。良かったと息を少しはく。安心したところでまた入口辺りから人の気配がした。しょーたサンが担当医を連れてきてくれて、包帯を変えようと思っていたから何かしたいのであれば問題ないと言ってくれた。包帯を外したタイミングで左眼に指を入れて義眼を取り出す。触った感じ、少しひび割れているだけだった。よかったと思いながら錬成して直していく。それから目に戻そうとすると少し待ってと言われて担当医さんが消毒をしてくれた。お礼を言ってからめに戻すとさっきまでの違和感はもうなかった。それから包帯を巻き直してもらって簡単に怪我の説明をしてもらう。肋はに3本の骨折にほかも細々した傷。顔が酷いらしく焼ける肉体の近くに居すぎたため目と顔の左側は爛れかけていたらしい。喉は焼けているため声は出さない様にと注意された。氷の壁を錬成する時対価の熱の放出に失敗したからだろう。まだまだだなと改めて感じる弱さ。そして私はそのまま病院で1夜を過ごした。
次の日には退院の準備をしていた。リカバリーガールに治してもらって声は出せるようになった。目は治っていない。というか賢者の石が側にあるし、一気に治してしまうのは怖いから大丈夫だと伝えた。1週間くらいで普通にしてても治ると言われたから少しずつリカバリーガールに治癒力をもらうことに。ニュースでは治崎がヴィラン連合に襲われたことがずっと流れていた。
学校に戻ってからも色々と手続きや調査があって寮にみんなと戻ってこれたのは夜だった。梅雨ちゃんに手を引いてもらいながら玄関に入った。
「帰ってきたァァァァ!奴らが帰ってきたァ!!」
「大丈夫だったかよォ!!」
「大変だったな!」
「ニュース見たぞおい!!」
「まぁとにかくガトーショコラ食えよ!」
「みんな心配してましたのよ」
共有スペースにはみんながいて姿は見えないけど声がたくさん聞こえてきて安心する。自然と笑みがこぼれる。透と響香が抱きついてきて頑張ったねなんて頭を撫でてくれた。そこで飯田クンが声を大にして級友であるなら彼らの心を労り静かに休ませてあげるべきだと。それに緑谷クンが大丈夫だと返したのを皮切りに飯田クンがフルスロットルで心配を語っていた。ヤオモモはハーブティーを入れるとどこかへ。いつも通りの光景なんだろうなと嬉しくなった。
「ハル!なんでハルだけ治ってないの!?目大丈夫!?見えないの!?」
「ミナ。大丈夫だよ元から左目見えてなかったし」
「そうじゃなーーい!」
くすくす笑ってミナに本当に大丈夫。どうせすぐ外せるんだと伝えると早く元気になってねとハグされた。するとどこからか甘い香りが。ミナと繋いでいた手に向けていた顔を上げて香りの方へ向ける。誰かが立っている。一瞬砂藤クンが作ってくれたケーキかと思ったけどこれは違う。
「…………勝己?」
「……無理すんなつっただろうがアホが」
「うん。でも守りたかった」
包帯に隠された目の下辺りを優しく撫でてくれている。どれくらいで治るんかって聞かれて1週間と答えると安心したように息をついた。それからいきなり抱き上げられてうぇ!?と変な声が出た。
「勝己!?歩けるよ!?」
「いいから寝っぞ」
「お風呂入ってない!」
「チッさっさと行けや」
どうにか勝己から抜け出して梅雨ちゃんとお茶子の元に戻る。そこら辺にほっといてしまったバックから病院でもらった包帯を取り出して勝己に渡す。
「上がったらお願いしたいな」
「はっ!さっさと行ってこい」
共有スペースのみんなに先に抜けるねーと声だけかけて部屋に戻って荷物を置いたらすぐにお風呂に向かう。部屋着も持って行くと梅雨ちゃんとお茶子もいた。少し手伝って貰いながら大変だったね頑張ったよねとお互いを労う。ゆっくりお風呂に浸かってからそのまま2人と共有スペースに行くとまだみんなの声が聞こえた。お風呂で濡れてしまったから包帯は取ってしまっている。酷い顔してるんだろうなぁなんて思いながら足を進める。すこしだけ足が重い。すると人の気配がすぐにあってぶつかってしまった。甘い匂いが漂う。
「あっ!ごめん!」
「謝んな。包帯巻くから大人しくしろ」
「あっちで座った方がやりやすくない?」
「見られたくねぇだろんな傷。残らねぇなら尚更。つかおめぇが気にしなくても俺が気にする。大人しくしろ」
「勝己……ありがとう。じゃあお願い」
勝己のやさしい手が髪を撫でていく。巻き込むから持っとけと言われた髪を持ち上げて巻き終わるのを待つ。ん、できたと言われて髪を下ろすと手櫛で軽く整えてくれた。
「ねぇ勝己」
「あ?なんだ」
「顔、酷かった?」
声が震える。爛れた顔だなんて醜いものを見せてしまったと少し後悔する。怪我なんていっぱいして来た。腕だって目だってもうない。それでもこれ以上酷い私を見られたくなかったことに今気づいた。自分で頼んだくせに。その場で俯いて立ち止まっていると、勝己に抱き上げられた。もはやびっくりしすぎて声が出ない。そのままズンズン進んでいく勝己に慌てて声をかけるも止まらない。立ち止まったと思ったらエレベーターの音が聞こえてきた。後ろからはゆっくり休んでねー!なんて声が聞こえてくる。見えないなりに声がした方に手を振ってありがとうと伝えると耳元に吐息がかかった。
「てめぇがどんな顔してよーと知ったこっちゃねぇ。お前はお前だろ。俺が惚れたハルに変わりはねぇ」
チンと音がしてエレベーターが開く。思いがけない言葉に顔はきっと真っ赤だ。勝己の肩にグリグリとおでこを押し付けていると声を押し殺したような笑い声に包帯外れるからやめろやと軽く頭を撫でられた。そのまま連れていかれたのは勝己の部屋。ほら寝ろと言われてベットに降ろされた私は勝己に抱きつく。勝己もベットに横になって勝己の顔に手を触れる。どうにか唇の位置を確認してキスを1つ落とした。