メーデー、愛してる
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寮に戻ってからは普段通りみんなで過ごしていた。共有スペースでのんびり明日から学校だねなんて話している。そんな中少し遠くから勝己の声が聞こえた。緑谷クンに向かって個性の話だなんて。それは私も気になるな。ちょっと悪いけど張らせてもらおう。
夜になってみんなが寝静まった頃、勝己と緑谷クンが外に出ていた。こっそり後ろからついて行く。そして着いたのはグラウンド・β。近くのビルの屋上で見守る。そこで勝己が話し始めた内容は私が想像していたものと同じだった。緑谷クンの個性はオールマイトサンからもらったもの。私がたまたま居合わせたあの時、緑谷クンは自分の個性は借り物だと言っていた。そしてここで戦えと言い出した。なんでだとも思ったけど勝己らしいとも思った。同じようにオールマイトに憧れて、方や認められて仮免に合格、反対に勝己は仮免に落ちてその前にも緑谷クンに負けたことがある。本気でやれと、緑谷クンの何がオールマイトにそうさせたのか。緑谷クンの憧れが正しいなら勝己の憧れは間違っていたのか。そんなことはないと思うし、喧嘩をとめないととも思ったけど……これは止めちゃダメなやつだ。ぶつからないと、この2人は。少し距離をあけて私は2人の戦闘を見ていた。
「俺はオールマイトを終わらせちまってんだ」
その言葉は私にも刺さった。そうだ。この世界でオールマイトは平和の象徴。ニュースでも嫌という程流れていた。なのに私は何をしていた?私が守りきれなかったから、私がもっと強かったら、私が勝己を連れ出せていれば、私が誘拐されなかったら、こんな事にはならなかったのかもしれない。そもそも私がここにいることすら間違いなんだ。そして勝己にも何もしてあげられなかった。私が唯一オールマイトサンを治せたかもしれないのに…………!
緑谷クンが全力で応戦してる。今までに見た事のないスピードだ。その隙にビルから降りて錬成陣を書く。私の手足や内蔵なんかよりオールマイトサンの方がここでは重要だ。私の悪いところだ、優先順位を見紛う。ここにエドとアルはいない。エドとアルにしたいことなんて私が勝手にしたいだけのことだ。人体錬成を生きてる人間にしよう。死んだから出来ないのなら、対価は差し出す。ホーエンハイムさんごめんなさい。私で足りなければ使わせてもらいます。
いつの間にか決着がついていたみたいでオールマイトサンが増えていた。気づけなくて悪かったと謝っていた。なんで緑谷クンだと理由を語っていた。勝己の言葉が胸に刺さり続ける。私も弱い。誰も助けられない。今まで誰を助けることができた?レイを守れなくて、目の前で死なせて、誰も死んで欲しくなくて強くなろうと、守れる存在になろうと思ったのに。勝己がこの事は誰にもバラさないと宣言していた。丁度いいや出ようと思った時、勝己の言葉が続いてた。
「でも、ハルは気づいてると思うぞ。オールマイト。あいつの頭でバレてないわけがない。そもそもコイツが借りモンだとか言いやがった時もいたしな」
「……ごめん実はいたの今も」
「フォーサイト少女!?」
「ごめんなさいオールマイトサン。弱くて、守れなくて、自分勝手でごめんなさい。勝己もごめん。全然気づけてなかった。それだけ彼の存在が大きいことをわかってなかった。だから……せめて怪我だけでも治させてください」
「えっ!?フォーサイトさんそんなこともできるの!?」
「こうなったらオールマイトサンの説明は後でもいいですか?先に治しちゃいましょ」
そのままオールマイトサンを描いた錬成陣の方に連れていく。緑谷クンや勝己も着いてきた。急いで描いたからそんなに綺麗ではない。そのまま間違いはないか確認をする。
「おいハル」
「……なに?勝己」
「これやめろお前死ぬ気だろ」
「「えっ!?」」
「死なないよ流石に。オールマイトサン生きてるし」
「対価は?」
「……私のどこか……かな。それと賢者の石。だから大丈夫だよ」
「…………っ!大丈夫じゃねぇだろ!!!」
「私が!私がいるせいでこうなったかもしれないのに!?」
「んなわけ……!」
「私はここにいていい存在じゃない!私が来た代償は何かしら払わないといけないはず!なのに私はのうのうと生きてる!それがもしこれだったら?神野だったら?オールマイトサンが対価なら?もうわからないよ……私なんで…………ここにいるの?」
考え出したら止まらなくなった。なんで私は死ななかったの?なんで生きてるの?なんでここにいるの?わからなくなった。感情的になって涙が止まらない。ここで起こった悪いことは私が来なかったら起きなかったんじゃないかとか考え出すとキリがない。ぼたぼた零れる涙が地面を濃くしていく。涙腺壊れたのかな。最近おかしいや。泣きたいわけじゃないのに。
「フォーサイト少女」
声をかけられて顔を上げると、オールマイトサンにきつく抱きしめられた。服を濡らしてしまいそうで少し距離をとる。それでもきつく抱きしめ直された。こんな風に強く抱きしめてもらったのはいつぶりだろう。ある程度成長してからはロイにもしてもらってなかった。いいのか分からず控えめにその背中に手を回す。
「すまなかった。君の立場も分かってあげれてなかった。知っていたというのに強い子だと思っていた。強い子なのは変わらないが君もまだ少女だというのにすまなかった」
「…………いいんです。それより治させてください。守れなかった分今ここで」
「それはできない。もうこうなることは分かっていたし、なんなら死ぬと思っていた。だから、助けてくれてありがとう。フォーサイト少女。治してくれなくていいんだよ」
「でも貴方は平和の象徴だ。現役に戻れるのなら戻った方がいい。その力を緑谷クンに渡したとしても貴方かいるというのはみんなにとって、ヒーローにとっても心強いもののはず。だから、せめて傷だけでも治させてください」
「それは頷けないな。君だってヒーローだ。こんなに優秀な、私は未来の芽を摘むようなことは絶対に出来ない。だからお願いだ。先の短い私のことより、これから活躍できるフォーサイト少女にお願いしたい。ヒーローなってほしい」
「っ!ごめん……なさい……守れなくて。次こそは完璧に守りますから……!」
「うん!その意気でいてくれ!」
それからオールマイトサンの話を聞きながら教師寮に向かって歩いた。ちなみに錬成陣は消した。カメラもあったし怒られるだろうけどあの陣を知られたくなかった。オールマイトサンと緑谷クンの話の次は私の話。私が違う世界から来たこと、私みたいに来たそういう人がまだいるかもしれないことを伝えた。既にヴィラン連合に2人いるし。教師寮に着いてからはまず勝己と緑谷クンが締められていた。こんな夜中に喧嘩なんてしやがってと。まぁうんご最もだ。そして勝己は4日の謹慎、緑谷クンは3日の寮内謹慎が言い渡された。いつの間にかひざしクンも来ていて2人を笑っていた。
「それで?フォーサイトは?」
「……緑谷クンと勝己が気になってついて行って止めなかった。それにオールマイトサンを治そうと」
「……は?」
「さっきね人体錬成しようとしたの。私がここにいるせいでオールマイトサンが平和の象徴でいられなくなったのかもって。なんでここにいるんだろう?なんで生きてるんだろう?って。今まで頭の片隅でずっと思ってたことに気づけたよ」
「…………なんだ」
「私、死にたかったんだ。レイを蘇生できると信じて失敗した時から」
それからぐちゃぐちゃなままだけど私がどこかで、でもずっと頭にあったことを伝えた。でも生きてって言われたから。それならって始めは復讐に失敗して死ねばいいや、次はロイを守って、最後にはエドやアル親友を守って死んだらレイも仕方ないねって許してくれるってきっと思ってた。だって私は弱いから適うわけが無いって。生きることに執着してるようでしてなかった。
「悪かった……気づけなくて」
「ハロルド!わりぃ!そばにいたのに俺ら!」
「しょーたサンひざしクンお願いがあるの」
「「どうした?」」
「ハグしてほしい」
自分から頼んだのはあの時以来だ。家族が殺された話をしたあの日。一瞬ポカンとしたしょーたサンとひざしクンはすぐに腕を広げてハグしてくれた。やっぱり好きだな。あったかいし安心する。この人たちは弱くない。でもこの人たちを、ヒーローを守れるように私は強くなって生きていきたい。ここでも大切な人ができたから。チラッと勝己の方を見るとブスっとした顔をしてこっちを見ていた。しょーたサンとひざしクンからお礼を言ってから離れる。そのまま勝己の横に戻ってこっそり手を繋がせてもらった。一瞬びっくりされたけど勝己も握り返してくれた。
「ハロルド。死にたいとかもういやだってなったらここにいる誰でもいい、話してくれ。俺ら教師だと嬉しいがそうもいかない時もあるだろ。そしたら緑谷でも爆豪でもいい話してほしい。いいか?」
「……うんわかったちゃんと気づいたら言うよ。でも、先に謝っとくね。ごめんなさい。私は貴方たちの命が危なくなったなら死んでも助けるよ目の前で私以外が死ぬのはもう嫌だから。これはもう生きたくないからとかじゃないからね」
「……………………ダメだと言いたいがそう言っても変える気ないだろお前は」
「正解。そこは引けないね」
「はぁ分かった。まぁどちらにせよ夜中に勝手に外に出て喧嘩も止めなかった罰としてハロルドは2日寮内謹慎な」
そして先生に送られて寮に戻ってきた。一旦部屋に戻ってからお風呂にはいる。それから部屋に戻ってベッドに横になった時にはなんだか寝れなくなっていた。スマホを手に取り勝己にメッセージを送る。するとすぐに電話がかかってきて慌ててとった。
「勝己」
「んだよ。寝れんのか」
「うん。そっち行ってもいい?」
「ダメだ。俺が行く」
「来てくれるの?」
「行くっつってんだろ。待ってろや」
夜だからかいつもより静かな、というよりキレてない勝己の声を聞きながら待っていると開けろやと耳元で聞こえると同時にドアをノックする音が聞こえた。そっと開けるとそこには勝己が。電話はいつの間にか切られていて、そのまま抱きついた。結構な勢いで抱きついたのにも関わらず、勝己はしっかり抱きしめてくれた。そのまま抱き上げられて部屋の中に連れていかれる。ちゃんとドアは閉めてくれてベッドの上に座らせてくれた。
「今日は保証してやるから寝ろや」
「保証?なんの?」
「うっせだまれいいから横なれや」
「はーい」
ベッドに潜り込んで勝己が横に来てくれる。そのまま寝ようとしたら頭上げろやって言われて少し上げると勝己のがっしりした腕が入ってきた。腕痺れない?って聞くとんなヤワじゃねぇってそのまま抱きしめてくれた。ほんのり甘い、ニトロの香りが鼻腔をくすぐる。だんだん瞼が重くなってきた。
「勝己……ありがとう。おや……すみ」
「……さっさと寝ろや」
今までみんなの部屋で寝たりしてたのが嘘みたいにあっさりその夜は寝れてしまった。その日見た夢はなんだか家族の夢を見た時みたいに暖かったのを覚えてる。ずっとこんな時間が続けばいいのに。
夜になってみんなが寝静まった頃、勝己と緑谷クンが外に出ていた。こっそり後ろからついて行く。そして着いたのはグラウンド・β。近くのビルの屋上で見守る。そこで勝己が話し始めた内容は私が想像していたものと同じだった。緑谷クンの個性はオールマイトサンからもらったもの。私がたまたま居合わせたあの時、緑谷クンは自分の個性は借り物だと言っていた。そしてここで戦えと言い出した。なんでだとも思ったけど勝己らしいとも思った。同じようにオールマイトに憧れて、方や認められて仮免に合格、反対に勝己は仮免に落ちてその前にも緑谷クンに負けたことがある。本気でやれと、緑谷クンの何がオールマイトにそうさせたのか。緑谷クンの憧れが正しいなら勝己の憧れは間違っていたのか。そんなことはないと思うし、喧嘩をとめないととも思ったけど……これは止めちゃダメなやつだ。ぶつからないと、この2人は。少し距離をあけて私は2人の戦闘を見ていた。
「俺はオールマイトを終わらせちまってんだ」
その言葉は私にも刺さった。そうだ。この世界でオールマイトは平和の象徴。ニュースでも嫌という程流れていた。なのに私は何をしていた?私が守りきれなかったから、私がもっと強かったら、私が勝己を連れ出せていれば、私が誘拐されなかったら、こんな事にはならなかったのかもしれない。そもそも私がここにいることすら間違いなんだ。そして勝己にも何もしてあげられなかった。私が唯一オールマイトサンを治せたかもしれないのに…………!
緑谷クンが全力で応戦してる。今までに見た事のないスピードだ。その隙にビルから降りて錬成陣を書く。私の手足や内蔵なんかよりオールマイトサンの方がここでは重要だ。私の悪いところだ、優先順位を見紛う。ここにエドとアルはいない。エドとアルにしたいことなんて私が勝手にしたいだけのことだ。人体錬成を生きてる人間にしよう。死んだから出来ないのなら、対価は差し出す。ホーエンハイムさんごめんなさい。私で足りなければ使わせてもらいます。
いつの間にか決着がついていたみたいでオールマイトサンが増えていた。気づけなくて悪かったと謝っていた。なんで緑谷クンだと理由を語っていた。勝己の言葉が胸に刺さり続ける。私も弱い。誰も助けられない。今まで誰を助けることができた?レイを守れなくて、目の前で死なせて、誰も死んで欲しくなくて強くなろうと、守れる存在になろうと思ったのに。勝己がこの事は誰にもバラさないと宣言していた。丁度いいや出ようと思った時、勝己の言葉が続いてた。
「でも、ハルは気づいてると思うぞ。オールマイト。あいつの頭でバレてないわけがない。そもそもコイツが借りモンだとか言いやがった時もいたしな」
「……ごめん実はいたの今も」
「フォーサイト少女!?」
「ごめんなさいオールマイトサン。弱くて、守れなくて、自分勝手でごめんなさい。勝己もごめん。全然気づけてなかった。それだけ彼の存在が大きいことをわかってなかった。だから……せめて怪我だけでも治させてください」
「えっ!?フォーサイトさんそんなこともできるの!?」
「こうなったらオールマイトサンの説明は後でもいいですか?先に治しちゃいましょ」
そのままオールマイトサンを描いた錬成陣の方に連れていく。緑谷クンや勝己も着いてきた。急いで描いたからそんなに綺麗ではない。そのまま間違いはないか確認をする。
「おいハル」
「……なに?勝己」
「これやめろお前死ぬ気だろ」
「「えっ!?」」
「死なないよ流石に。オールマイトサン生きてるし」
「対価は?」
「……私のどこか……かな。それと賢者の石。だから大丈夫だよ」
「…………っ!大丈夫じゃねぇだろ!!!」
「私が!私がいるせいでこうなったかもしれないのに!?」
「んなわけ……!」
「私はここにいていい存在じゃない!私が来た代償は何かしら払わないといけないはず!なのに私はのうのうと生きてる!それがもしこれだったら?神野だったら?オールマイトサンが対価なら?もうわからないよ……私なんで…………ここにいるの?」
考え出したら止まらなくなった。なんで私は死ななかったの?なんで生きてるの?なんでここにいるの?わからなくなった。感情的になって涙が止まらない。ここで起こった悪いことは私が来なかったら起きなかったんじゃないかとか考え出すとキリがない。ぼたぼた零れる涙が地面を濃くしていく。涙腺壊れたのかな。最近おかしいや。泣きたいわけじゃないのに。
「フォーサイト少女」
声をかけられて顔を上げると、オールマイトサンにきつく抱きしめられた。服を濡らしてしまいそうで少し距離をとる。それでもきつく抱きしめ直された。こんな風に強く抱きしめてもらったのはいつぶりだろう。ある程度成長してからはロイにもしてもらってなかった。いいのか分からず控えめにその背中に手を回す。
「すまなかった。君の立場も分かってあげれてなかった。知っていたというのに強い子だと思っていた。強い子なのは変わらないが君もまだ少女だというのにすまなかった」
「…………いいんです。それより治させてください。守れなかった分今ここで」
「それはできない。もうこうなることは分かっていたし、なんなら死ぬと思っていた。だから、助けてくれてありがとう。フォーサイト少女。治してくれなくていいんだよ」
「でも貴方は平和の象徴だ。現役に戻れるのなら戻った方がいい。その力を緑谷クンに渡したとしても貴方かいるというのはみんなにとって、ヒーローにとっても心強いもののはず。だから、せめて傷だけでも治させてください」
「それは頷けないな。君だってヒーローだ。こんなに優秀な、私は未来の芽を摘むようなことは絶対に出来ない。だからお願いだ。先の短い私のことより、これから活躍できるフォーサイト少女にお願いしたい。ヒーローなってほしい」
「っ!ごめん……なさい……守れなくて。次こそは完璧に守りますから……!」
「うん!その意気でいてくれ!」
それからオールマイトサンの話を聞きながら教師寮に向かって歩いた。ちなみに錬成陣は消した。カメラもあったし怒られるだろうけどあの陣を知られたくなかった。オールマイトサンと緑谷クンの話の次は私の話。私が違う世界から来たこと、私みたいに来たそういう人がまだいるかもしれないことを伝えた。既にヴィラン連合に2人いるし。教師寮に着いてからはまず勝己と緑谷クンが締められていた。こんな夜中に喧嘩なんてしやがってと。まぁうんご最もだ。そして勝己は4日の謹慎、緑谷クンは3日の寮内謹慎が言い渡された。いつの間にかひざしクンも来ていて2人を笑っていた。
「それで?フォーサイトは?」
「……緑谷クンと勝己が気になってついて行って止めなかった。それにオールマイトサンを治そうと」
「……は?」
「さっきね人体錬成しようとしたの。私がここにいるせいでオールマイトサンが平和の象徴でいられなくなったのかもって。なんでここにいるんだろう?なんで生きてるんだろう?って。今まで頭の片隅でずっと思ってたことに気づけたよ」
「…………なんだ」
「私、死にたかったんだ。レイを蘇生できると信じて失敗した時から」
それからぐちゃぐちゃなままだけど私がどこかで、でもずっと頭にあったことを伝えた。でも生きてって言われたから。それならって始めは復讐に失敗して死ねばいいや、次はロイを守って、最後にはエドやアル親友を守って死んだらレイも仕方ないねって許してくれるってきっと思ってた。だって私は弱いから適うわけが無いって。生きることに執着してるようでしてなかった。
「悪かった……気づけなくて」
「ハロルド!わりぃ!そばにいたのに俺ら!」
「しょーたサンひざしクンお願いがあるの」
「「どうした?」」
「ハグしてほしい」
自分から頼んだのはあの時以来だ。家族が殺された話をしたあの日。一瞬ポカンとしたしょーたサンとひざしクンはすぐに腕を広げてハグしてくれた。やっぱり好きだな。あったかいし安心する。この人たちは弱くない。でもこの人たちを、ヒーローを守れるように私は強くなって生きていきたい。ここでも大切な人ができたから。チラッと勝己の方を見るとブスっとした顔をしてこっちを見ていた。しょーたサンとひざしクンからお礼を言ってから離れる。そのまま勝己の横に戻ってこっそり手を繋がせてもらった。一瞬びっくりされたけど勝己も握り返してくれた。
「ハロルド。死にたいとかもういやだってなったらここにいる誰でもいい、話してくれ。俺ら教師だと嬉しいがそうもいかない時もあるだろ。そしたら緑谷でも爆豪でもいい話してほしい。いいか?」
「……うんわかったちゃんと気づいたら言うよ。でも、先に謝っとくね。ごめんなさい。私は貴方たちの命が危なくなったなら死んでも助けるよ目の前で私以外が死ぬのはもう嫌だから。これはもう生きたくないからとかじゃないからね」
「……………………ダメだと言いたいがそう言っても変える気ないだろお前は」
「正解。そこは引けないね」
「はぁ分かった。まぁどちらにせよ夜中に勝手に外に出て喧嘩も止めなかった罰としてハロルドは2日寮内謹慎な」
そして先生に送られて寮に戻ってきた。一旦部屋に戻ってからお風呂にはいる。それから部屋に戻ってベッドに横になった時にはなんだか寝れなくなっていた。スマホを手に取り勝己にメッセージを送る。するとすぐに電話がかかってきて慌ててとった。
「勝己」
「んだよ。寝れんのか」
「うん。そっち行ってもいい?」
「ダメだ。俺が行く」
「来てくれるの?」
「行くっつってんだろ。待ってろや」
夜だからかいつもより静かな、というよりキレてない勝己の声を聞きながら待っていると開けろやと耳元で聞こえると同時にドアをノックする音が聞こえた。そっと開けるとそこには勝己が。電話はいつの間にか切られていて、そのまま抱きついた。結構な勢いで抱きついたのにも関わらず、勝己はしっかり抱きしめてくれた。そのまま抱き上げられて部屋の中に連れていかれる。ちゃんとドアは閉めてくれてベッドの上に座らせてくれた。
「今日は保証してやるから寝ろや」
「保証?なんの?」
「うっせだまれいいから横なれや」
「はーい」
ベッドに潜り込んで勝己が横に来てくれる。そのまま寝ようとしたら頭上げろやって言われて少し上げると勝己のがっしりした腕が入ってきた。腕痺れない?って聞くとんなヤワじゃねぇってそのまま抱きしめてくれた。ほんのり甘い、ニトロの香りが鼻腔をくすぐる。だんだん瞼が重くなってきた。
「勝己……ありがとう。おや……すみ」
「……さっさと寝ろや」
今までみんなの部屋で寝たりしてたのが嘘みたいにあっさりその夜は寝れてしまった。その日見た夢はなんだか家族の夢を見た時みたいに暖かったのを覚えてる。ずっとこんな時間が続けばいいのに。