メーデー、愛してる
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あの日の光景は今でも鮮明に思い出せる。必死に私を守ろうと私の手を引っ張って走る兄、レイの背中。遠くから聞こえる何かを壊す音。あの時覗いた寝室の中のお父様とお母様は真っ赤に染まって動かない。
「ハル……ハル!絶対大丈夫だから!俺がいるから!ハルは先に逃げろ!いつもの場所があるだろ?ハルの好きな場所!そこに行け!俺は軍に連絡できないか試してみる!1人で行けるな!?」
屋敷の中を走りながらレイにこくこく頷いて返事をする。怖くて、あまりにも怖くて声を出せなかった。お父様もお母様も弱くなんてないのに殺された。当時の私が死んでいたことを理解してたかは危ういけど、怖いのは確かだった。
この時私は確か5歳くらいだった。レイは5つ上で10歳。私たち兄妹は頭がいい方だったんだろう。私は当時、既に簡単なものなら錬金術を使えていたし、レイも当然使えていた。それでも私はその時何が起こってるか理解してなかったけど、今思えばレイは分かっていたんじゃないかと思う。私より何が起きたか、両親がどうなったら分かっていたはずだから。絶対に怖かったはずだ。それでもレイは私を安心させようと手を強く握ってくれていた。
「じゃあ俺はこっから行くから……」
「みぃつけた。ガキども。面倒だからさっさと死んでくれよ」
行く手を阻むように大きな男が現れた。手には血塗れた剣が。
「お前らに恨みはねぇけど依頼なんだ。悪いな。せめて痛くしないようにしてやるよ」
「……っ!このやろっ!!よくも!」
レイが男にタックルをかました。突然のことに男も少しよろめく。
「行け!ハル!」
「そういうのは困るんだよ!!」
剣術の訓練を受けているとはいえたかだか10歳。男に敵う訳もないのにレイは立ち向かった。なのに私の足は動かない。怖い怖い怖いいやだレイも一緒がいいやめてやめてやめて。
「やめて……!!」
ポケットに入れたままにしていた紙の錬成陣でレイと男の間に小さな氷の壁を作った。何も意味をなさないけど、氷の壁なんて。
「ははははっ!んだこれ意味ねぇな!!」
男が氷を壊している間にレイが駆け寄ってくる。
「ハル!ありがとう!でも俺は大丈夫だから先に行ってて絶対大丈夫!後から行くから!」
「ホントに?絶対?」
「俺が嘘ついたことは?」
「…………ない」
「じゃいい子で待っててくれ!」
レイはそう言って頭を撫でてくれた。そしてレイもあとから来てくれるそう信じて私は走り出した。屋敷の書庫にある隠し部屋に向かって。後ろから男の怒号が聞こえるけど無視して走る。大丈夫大丈夫レイは強いもん。
そう信じて走り続け、隠し部屋でずっとレイを待っていた。実際どれくらいかは分からないけれど待ってる時間は私にとって永遠に感じてた。今か今かと待ち続け…………レイが来ることはなかった。約束を破ることになるけど心配で、1人で部屋から出て屋敷をこっそり歩いた。念の為に飾ってあったレイピアを手持つ。お父様に私も少し剣術を習い始めたんだもの。私だってレイの役に、お父様とお母様の役に立てるはず。屋敷は信じられないくらい静かだった。壁に隠れながらゆっくりレイと別れた場所に向かう。
ピチャ
ふと音がして下を見ると真っ赤な液体が水溜まりを作っていた。
「……………………え?」
頭の中は不安でいっぱいだった。なんで?なんで?あれは血なの??本当に?もしそうなら誰の?レイなわけないよね??あの男の?誰の?でも血じゃないかも?あんな量ありえないもんね?ありえないよね?????
少し進んだ先に剣が刺さった塊があった。こんなモノ今までなかったのに。信じたくないけどもしかして…………?
「っ!レイ!?!?」
レイピアを投げ捨て塊に走りよると……レイだった。呼吸音がおかしい。血がずっと流れている。どうしよう。どうしようこんなレイ見たことない。誰か……お父様、お母様助けてレイが……!
「お父様とお母様呼んでくる!待っててレイ!」
「ハル…………?ゲホッ!ちょっと来てくれ……」
「話さないで!なに?どうしたの?早く呼ぼ?」
「ごめんな……ハル…………お前……は生き……ろ………………」
レイは私に謝るといつもみたいに笑いかけて震える手で隣にしゃがんだ私の頬を撫でた。手が信じられないくらい冷たい。その手に触れようと自分の頬に手を近づけた時、レイの手は重力に従って落ちた。
「レイ?レイ???なんで謝るの??やだよレイ。死なないよね?大丈夫だよね?お父様とお母様呼んでくるからね、待っててね」
その後両親の寝室に向かったけどそこには冷えきって床に倒れている2人がいるだけだった。信じられなかった。さっきまでレイと本を読んでいただけなのに。お父様とお母様には朝から今日も元気ねとキスを貰ったのに。
自分が1人になったと信じられなかった。ふらふらの足でレイの元に戻ってそばにしゃがみ込んだ。さっきよりも冷たくなっている。私は大声で泣き続けた。
何日そこで泣き続けたのか分からないけれど、涙がようやく枯れてくれた。今にしてみればこんなに人間って泣けるんだなと冷静になってしまうくらい泣いた。飲まず食わずで泣き続けたせいでそのあとはレイの横で死んだように寝た。もしかしたら夢なのかもしれないと目を開けると変わらず真っ赤に染ったレイがいた。そんな彼を見ていると憎しみと怒りで心がいっぱいになった。絶対にあの男を殺す。
ふらふらの足で自分の部屋に戻る。誰も戦わなかったからかそこだけはいつも通りだった。お母様に貰った私にはまだ長いロケットを首からかけた。開けると家族みんなが笑いかけてくれている。ロケットを握りながら書庫に向かった。もう剣術は教えて貰えない。私が勉強できるのは錬金術だけ。書庫にある錬金術の本を片っ端から読んでは実践読んでは実践とひたすらに勉強していた。人体錬成を知ったのはこの時だった。男に対する憎しみよりも、家族に会いたい気持ちが勝った。私はそれまで以上に勉強にのめり込んだ。
するとある時、玄関からベルの音が聞こえてきた。あいつが、あの男が戻ってきたのかもしれない。そう思った私はナイフを片手に玄関に向かった。慎重にドアをあけて飛び出してナイフを突き刺した。……つもりだった。ナイフを持っている手を抑えられて手からナイフが溢れる。そしてそこに立っている男は……黒髪黒眼の青い服を着た別人だった。
「っ!?君!ここでなにがあった!?」
ドアが開いたと思ったらナイフで刺されかけ、持っていた少女の服は血がこびりついて変色している。なんなら血なまぐさい臭いでいっぱいだっただろう。普通の状態じゃないことは一目瞭然だった。
「…………お父様とお母様それにレイが殺された。お兄さん殺した人知ってる?私が殺すの」
「あのフォーサイトさんが!?私はロイ・マスタング。君のお父様の友達だ。もし良かったら中に入れてくれないか?」
「…………ハルのこと殺さない?」
「もちろんだよ」
それからロイは家族の遺体を丁寧に扱ってくれて、最終的にはお墓まで用意してくれた。そして私にご飯をくれたりお風呂で洗ってくれたりしてから話を聞いてくれた。そしてロイはお父様に用事が、紛争に参加して欲しいと頼むために来ていた。
「本当は巻き込みたくなかったんだが……結果的に君に気づけてよかった」
「君じゃない。ハルはハル」
「あぁそうだな。じゃあハル。今すぐ保護したいんだけれど私は今殲滅戦…………戦いに参加していて家に帰れない。軍の人間はみんなそうなんだ。知ってる親戚とか知り合いとか誰かいるかい?」
「……誰も知らない」
「うーんどうしたものか」
その後、私が我儘を言ってロイが折れるまでお願いしてロイの用事が終わるまでこの家に残ることにした。離れたくなかったから。そうと決まるとご飯の買い方やお風呂などいろいろ教えてくれてから心配そうな顔をしながらロイは帰って行った。
それから私は狂ったように人体錬成の研究を始めた。レイに抱きしめてもらいたくて、お父様とお母様のキスが欲しくて。まず初めにレイを錬成してありがとうって伝えるんだ。それからお父様とお母様に2人で会いたい。禁忌だって言われてるけど知らない。それってこれまで誰も成功してないからでしょう?それなら私が初めてになればいい。
どんどん月日は流れ、殲滅戦は終わっていた。しかしロイは英雄とされたが故に忙しいまま2年が過ぎて7歳になっていた。そしてその頃に私は人体錬成陣を完成させていた。必要なものは全て集めた。水や炭素、アンモニア……全て難なく集めることができた。もうすぐロイが来ちゃうかもしれないから驚かせたい。来るまでにレイを蘇生したかった。
「あとは情報……私の血があればいいね」
床に巨大な錬成陣描いて材料を並べる。その上から私の血を垂らした。
「よし!これでレイに会える!」
そうして人体錬成をした私は……失敗して右腕と左眼を失った。運がいいのか悪いのか、すぐに来たロイに保護されてすぐに病院に行ったから持っていかれた部位からの出血多量で死ぬことはなかった。ロイにはものすごく怒られたが、1人にしてはいけないと思ったらしく、ロイに引き取られた。そして私はそのままロイについて行こうと決め、軍人を目指した。そして機械鎧 を手に入れた時から私は真理を見たが故に陣なし錬成ができるようになり、国家錬金術師の資格を取って彗星の錬金術師となった。
正式に軍人になってから始めはロイと同じ東方司令部でリザやハボックさん達マスタング組と呼ばれているみんなと働いていた。そしてある日、鋼の錬金術師の護衛を始めたんだ。
首から今も変わらずかけているロケットを眺めながら思い出していた。未だに家族を失った日は夢に見る時がある。レイの名前……久しぶりに聞いたな。変態の口からなのが嫌だけど。帰ってきてからずっとソファに座ったまま考えていた。キンブリーが言った家族を殺した、はきっと人体錬成をしたことで産まれて死んだ彼のことだろう。レイではなかったけど確かに動いていた。エドと確認するまで私はずっとレイを殺してしまったと思っていた。しかし、骨格は違えどレイだったのかもしれない。そんなことをぐるぐると考え続けているといつの間にか寝てしまっていた。
真実は神のみぞ知る。神なんてきっといないんだろうけど。
「ハル……ハル!絶対大丈夫だから!俺がいるから!ハルは先に逃げろ!いつもの場所があるだろ?ハルの好きな場所!そこに行け!俺は軍に連絡できないか試してみる!1人で行けるな!?」
屋敷の中を走りながらレイにこくこく頷いて返事をする。怖くて、あまりにも怖くて声を出せなかった。お父様もお母様も弱くなんてないのに殺された。当時の私が死んでいたことを理解してたかは危ういけど、怖いのは確かだった。
この時私は確か5歳くらいだった。レイは5つ上で10歳。私たち兄妹は頭がいい方だったんだろう。私は当時、既に簡単なものなら錬金術を使えていたし、レイも当然使えていた。それでも私はその時何が起こってるか理解してなかったけど、今思えばレイは分かっていたんじゃないかと思う。私より何が起きたか、両親がどうなったら分かっていたはずだから。絶対に怖かったはずだ。それでもレイは私を安心させようと手を強く握ってくれていた。
「じゃあ俺はこっから行くから……」
「みぃつけた。ガキども。面倒だからさっさと死んでくれよ」
行く手を阻むように大きな男が現れた。手には血塗れた剣が。
「お前らに恨みはねぇけど依頼なんだ。悪いな。せめて痛くしないようにしてやるよ」
「……っ!このやろっ!!よくも!」
レイが男にタックルをかました。突然のことに男も少しよろめく。
「行け!ハル!」
「そういうのは困るんだよ!!」
剣術の訓練を受けているとはいえたかだか10歳。男に敵う訳もないのにレイは立ち向かった。なのに私の足は動かない。怖い怖い怖いいやだレイも一緒がいいやめてやめてやめて。
「やめて……!!」
ポケットに入れたままにしていた紙の錬成陣でレイと男の間に小さな氷の壁を作った。何も意味をなさないけど、氷の壁なんて。
「ははははっ!んだこれ意味ねぇな!!」
男が氷を壊している間にレイが駆け寄ってくる。
「ハル!ありがとう!でも俺は大丈夫だから先に行ってて絶対大丈夫!後から行くから!」
「ホントに?絶対?」
「俺が嘘ついたことは?」
「…………ない」
「じゃいい子で待っててくれ!」
レイはそう言って頭を撫でてくれた。そしてレイもあとから来てくれるそう信じて私は走り出した。屋敷の書庫にある隠し部屋に向かって。後ろから男の怒号が聞こえるけど無視して走る。大丈夫大丈夫レイは強いもん。
そう信じて走り続け、隠し部屋でずっとレイを待っていた。実際どれくらいかは分からないけれど待ってる時間は私にとって永遠に感じてた。今か今かと待ち続け…………レイが来ることはなかった。約束を破ることになるけど心配で、1人で部屋から出て屋敷をこっそり歩いた。念の為に飾ってあったレイピアを手持つ。お父様に私も少し剣術を習い始めたんだもの。私だってレイの役に、お父様とお母様の役に立てるはず。屋敷は信じられないくらい静かだった。壁に隠れながらゆっくりレイと別れた場所に向かう。
ピチャ
ふと音がして下を見ると真っ赤な液体が水溜まりを作っていた。
「……………………え?」
頭の中は不安でいっぱいだった。なんで?なんで?あれは血なの??本当に?もしそうなら誰の?レイなわけないよね??あの男の?誰の?でも血じゃないかも?あんな量ありえないもんね?ありえないよね?????
少し進んだ先に剣が刺さった塊があった。こんなモノ今までなかったのに。信じたくないけどもしかして…………?
「っ!レイ!?!?」
レイピアを投げ捨て塊に走りよると……レイだった。呼吸音がおかしい。血がずっと流れている。どうしよう。どうしようこんなレイ見たことない。誰か……お父様、お母様助けてレイが……!
「お父様とお母様呼んでくる!待っててレイ!」
「ハル…………?ゲホッ!ちょっと来てくれ……」
「話さないで!なに?どうしたの?早く呼ぼ?」
「ごめんな……ハル…………お前……は生き……ろ………………」
レイは私に謝るといつもみたいに笑いかけて震える手で隣にしゃがんだ私の頬を撫でた。手が信じられないくらい冷たい。その手に触れようと自分の頬に手を近づけた時、レイの手は重力に従って落ちた。
「レイ?レイ???なんで謝るの??やだよレイ。死なないよね?大丈夫だよね?お父様とお母様呼んでくるからね、待っててね」
その後両親の寝室に向かったけどそこには冷えきって床に倒れている2人がいるだけだった。信じられなかった。さっきまでレイと本を読んでいただけなのに。お父様とお母様には朝から今日も元気ねとキスを貰ったのに。
自分が1人になったと信じられなかった。ふらふらの足でレイの元に戻ってそばにしゃがみ込んだ。さっきよりも冷たくなっている。私は大声で泣き続けた。
何日そこで泣き続けたのか分からないけれど、涙がようやく枯れてくれた。今にしてみればこんなに人間って泣けるんだなと冷静になってしまうくらい泣いた。飲まず食わずで泣き続けたせいでそのあとはレイの横で死んだように寝た。もしかしたら夢なのかもしれないと目を開けると変わらず真っ赤に染ったレイがいた。そんな彼を見ていると憎しみと怒りで心がいっぱいになった。絶対にあの男を殺す。
ふらふらの足で自分の部屋に戻る。誰も戦わなかったからかそこだけはいつも通りだった。お母様に貰った私にはまだ長いロケットを首からかけた。開けると家族みんなが笑いかけてくれている。ロケットを握りながら書庫に向かった。もう剣術は教えて貰えない。私が勉強できるのは錬金術だけ。書庫にある錬金術の本を片っ端から読んでは実践読んでは実践とひたすらに勉強していた。人体錬成を知ったのはこの時だった。男に対する憎しみよりも、家族に会いたい気持ちが勝った。私はそれまで以上に勉強にのめり込んだ。
するとある時、玄関からベルの音が聞こえてきた。あいつが、あの男が戻ってきたのかもしれない。そう思った私はナイフを片手に玄関に向かった。慎重にドアをあけて飛び出してナイフを突き刺した。……つもりだった。ナイフを持っている手を抑えられて手からナイフが溢れる。そしてそこに立っている男は……黒髪黒眼の青い服を着た別人だった。
「っ!?君!ここでなにがあった!?」
ドアが開いたと思ったらナイフで刺されかけ、持っていた少女の服は血がこびりついて変色している。なんなら血なまぐさい臭いでいっぱいだっただろう。普通の状態じゃないことは一目瞭然だった。
「…………お父様とお母様それにレイが殺された。お兄さん殺した人知ってる?私が殺すの」
「あのフォーサイトさんが!?私はロイ・マスタング。君のお父様の友達だ。もし良かったら中に入れてくれないか?」
「…………ハルのこと殺さない?」
「もちろんだよ」
それからロイは家族の遺体を丁寧に扱ってくれて、最終的にはお墓まで用意してくれた。そして私にご飯をくれたりお風呂で洗ってくれたりしてから話を聞いてくれた。そしてロイはお父様に用事が、紛争に参加して欲しいと頼むために来ていた。
「本当は巻き込みたくなかったんだが……結果的に君に気づけてよかった」
「君じゃない。ハルはハル」
「あぁそうだな。じゃあハル。今すぐ保護したいんだけれど私は今殲滅戦…………戦いに参加していて家に帰れない。軍の人間はみんなそうなんだ。知ってる親戚とか知り合いとか誰かいるかい?」
「……誰も知らない」
「うーんどうしたものか」
その後、私が我儘を言ってロイが折れるまでお願いしてロイの用事が終わるまでこの家に残ることにした。離れたくなかったから。そうと決まるとご飯の買い方やお風呂などいろいろ教えてくれてから心配そうな顔をしながらロイは帰って行った。
それから私は狂ったように人体錬成の研究を始めた。レイに抱きしめてもらいたくて、お父様とお母様のキスが欲しくて。まず初めにレイを錬成してありがとうって伝えるんだ。それからお父様とお母様に2人で会いたい。禁忌だって言われてるけど知らない。それってこれまで誰も成功してないからでしょう?それなら私が初めてになればいい。
どんどん月日は流れ、殲滅戦は終わっていた。しかしロイは英雄とされたが故に忙しいまま2年が過ぎて7歳になっていた。そしてその頃に私は人体錬成陣を完成させていた。必要なものは全て集めた。水や炭素、アンモニア……全て難なく集めることができた。もうすぐロイが来ちゃうかもしれないから驚かせたい。来るまでにレイを蘇生したかった。
「あとは情報……私の血があればいいね」
床に巨大な錬成陣描いて材料を並べる。その上から私の血を垂らした。
「よし!これでレイに会える!」
そうして人体錬成をした私は……失敗して右腕と左眼を失った。運がいいのか悪いのか、すぐに来たロイに保護されてすぐに病院に行ったから持っていかれた部位からの出血多量で死ぬことはなかった。ロイにはものすごく怒られたが、1人にしてはいけないと思ったらしく、ロイに引き取られた。そして私はそのままロイについて行こうと決め、軍人を目指した。そして
正式に軍人になってから始めはロイと同じ東方司令部でリザやハボックさん達マスタング組と呼ばれているみんなと働いていた。そしてある日、鋼の錬金術師の護衛を始めたんだ。
首から今も変わらずかけているロケットを眺めながら思い出していた。未だに家族を失った日は夢に見る時がある。レイの名前……久しぶりに聞いたな。変態の口からなのが嫌だけど。帰ってきてからずっとソファに座ったまま考えていた。キンブリーが言った家族を殺した、はきっと人体錬成をしたことで産まれて死んだ彼のことだろう。レイではなかったけど確かに動いていた。エドと確認するまで私はずっとレイを殺してしまったと思っていた。しかし、骨格は違えどレイだったのかもしれない。そんなことをぐるぐると考え続けているといつの間にか寝てしまっていた。
真実は神のみぞ知る。神なんてきっといないんだろうけど。