空にサヨナラ
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「さて…少し話が長くなるが聞いてくれるね」
サカキ博士は椅子に座って楽しそうにこちらを眺めている。
そして当の俺はなぜか正座をさせられている。
「…君は、近々この極東支部に『新型』が配属されることを知っているかい?」
「『新型』…えぇ、まぁ噂程度には」
「新人が入ればその教育に人員を割くことになる。しかし通常の任務を疎かにすることも出来ない。そんな状況での神機使いの欠損は少々厳しい…分かるね?」
「…はい」
ぐ、と拳を握る。
戦うための手段を失って、一番焦っているのは他でもない自分だ。
「通常、ゴッドイーターと神機の間には高い適合率が必要とされる。それ故に、各々の神機はほとんどそのゴッドイーター専用の武器、といえる」
博士はそう言いながら、数あるモニターのうちの1つをこちらへと向けた。
「世界での神機の生産数、絶対数は少ないが、持ち主を失ったまま眠っている神機は決して少なくない。
そしてそれらの神機は1つ残らずデータベースに登録され、新たな適合者を待っている。
無論、君の神機が修復不可なまでに破損したという報告が届くと同時に、データベースで君と適合する新たな神機を探したが…」
博士はそこまで言って俺の方に向けたモニターにちらりと目をやった。
そのモニターに映っているのは、自分の名前と何かのグラフ、そして『適合可能神機 無し』の文字だった。
「残念ながらこういう結果になった訳だが…神機はこれだけではない」
先程、世界中の神機は全てデータベースに登録されている、といったその口で全く逆の事をいう博士。
「その前に、だ。
空夜ソウキ君。君はアラガミを、この人類の敵を倒したいと、そう自分から願うかな?」
「俺、は」
物心ついた時から孤児院にいて、そこで育った。日々増えていくアラガミとその犠牲者を、ただただ見ているしかなかった。
だからある日突然、神機使いの適合候補者だとフェンリルへ連れて来られて、神機使いになった時は驚いたし、同時に嬉しさも感じた。
人々の生活を脅かすアラガミを、この自分の手で倒して少しでも誰かを守れるなら。
「俺は、自分の意思でここにいます。叶うことならばこれからもアラガミを倒していきたいと、そう思ってます」
真意の読めない博士をしっかりと見据えて、俺はそう言った。
「その言葉に嘘はないみたいだね。
なら種明かしをしようか…このデータベースにはまだ登録されていない神機が確かに存在する」
博士は意味ありげな笑みを浮かべる。なんだか博士のテンションが上がって来ているような気がするのは気のせいだろうか、気のせいであってほしい。
「それが新型可変式神機だ。世界にまだ数える程しかない、しかも適合候補者もほとんど見つかっていない、だからまだこのデータベースには登録されていないんだよ。
新型の適合条件は君達の使っている旧型神機よりさらに厳しい。しかしより一層の戦力強化のためにも我々は新型適合候補者を探す必要がある」
気のせいではない。明らかに博士のテンションはうなぎ登りだ。
博士の場合は戦力強化というより自分の実験対象の確保という気がしてならない。
「そんな新型神機に、君が適合しているかもしれないんだよ」
「はぁそうですか……え?」
耳を疑いたくなるような言葉が飛んできた。
まさか、自分が?新型?
「今までの研究で、既存の旧型神機に適合済みの者が新型神機に適合する可能性は極めて0に近いとされていた。
だから私も頭に無かったのだが、たまたま照合してみたら…君がまさか、新型に適合しているとは!」
あ、だめだこの人ハッスルしてる。
今聞いた信じられない内容についてもっと詳しく聞きたいのだが、発言をした張本人は身振り手振りまで合わせていかにそれが大発見で興味深い事か、を滔々と語っている。
「つまり、だ。ソウキ君、君は新型神機の適合候補者だということだ。分かったかい?」
「はい…それはもう十分たっぷりしっかりと…」
よく分からない話をひたすら聞かされてぐったりした俺と反対に生き生きとしている博士。
「よし、じゃあ近いうちにでも適合試験をしようか。新型にはまだまだ未知な部分があるし、正直君にどういう事がおこるか予想もつかないんだがね」
今なんだかとんでもないことをさらりと言わなかったか、この人。
「そうだな、君の怪我が完治したらすぐにでも適合試験をしようか。
日程の方は追って伝えるよ。それまではゆっくり休んでいるといい」
ウキウキとした様子でなにやら端末を操作しはじめた博士は、既にこちらの存在など忘れているかのような様子だ。
仕方なくソウキは部屋を出た。たて続けに信じられないような出来事が起こり、少しゆっくりと自分で考えたいということもあったのだ。
「…俺が新型、ねぇ」
ぽつりと呟いた言葉は、誰もいない廊下に虚しく響いた。