-第一話-
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荒れ果てた土地。何かに食いちぎられたような不気味な跡を残す廃墟群。
そこをまるで自分の縄張りのように悠々と闊歩する、本来なら有り得ない、この地球上に生きるはずのない異形の存在。
そんな異形のモノを仕留めるべく、物陰に潜み様子を窺いながら機を待つ人影が4つ。
小さな合図と共に、それらは飛び出す。未だこちらに気付いていないその背中へと一斉に飛び掛かっていった。
「サクヤ、援護射撃!ソーマとソウキは連撃で一気に叩け!」
怒りに咆哮をあげるヴァジュラを前に、的確なリンドウの指示が戦場に響く。
贖罪の街でのヴァジュラ討伐任務。既に何度も出撃し交戦経験もある第一部隊のメンバーにとっては慣れた任務だった。
サクヤの撃ち出すレーザーが結合崩壊を起こした前脚を貫き、突進の勢いを弱める。
そこへソーマのバスターの重い一撃が入る。よろめくヴァジュラ目掛けて、ソウキは高々と飛び上がった。
「いっただきー♪」
手にしたショートブレードが太陽の光にぎらりと輝く。
落下していく勢いに自身の力を上乗せし、その刃でヴァジュラの顔を斜めに叩き斬るつもりだった。
恐らくこれが致命傷になるだろう。それを思うと知らず浮かぶ笑み。
ショートブレードを、牙を剥き出しにしたその顔面に叩き付けようとした、その瞬間。
「え?」
有り得ない目の前の出来事に、思考がフリーズする。まるで時間が止まったかのように、周囲がスローモーションで流れていく。
ソウキが握る神機は間違いなくヴァジュラに傷を負わせるはずだった。オラクル細胞の結合を断ち切り、刀身はその血を浴びるはずだったのに。
かしゃん、と
まるで繊細なガラス細工が壊れるような呆気ない音をたてて、ソウキの神機は細かく砕け散っていた。
触れた所から一気に蜘蛛の巣のようなヒビが入り、破片を撒き散らして壊れていく。
「うっそぉ…」
ただただ、目の前の現実が正常に頭で認識出来ない。思わず口からは気の抜けた言葉が漏れ出してしまう。
神機がこうも脆く砕け散るだなんて、そんなバカな。
しかし長いようで一瞬であったその時間はすぐに終わりを告げる。
勢いを乗せた一撃を敵に当てそこない、ソウキの体は大きくバランスを崩した。
後にこれを目撃した他のメンバーからは『まるで絵に描いたように清々しいキレイな空振りだった』との評価がなされる事になるのだが、それはまた別の話である。
そのまま受け身も取れず、背中から思い切り地面へと叩き付けられる。
「ぐっ…げほっ!!」
地面へと叩き付けられた衝撃で、呆然としていた思考は一気に現実へと引き戻された。
反射的に体を起こし、激しく咳込む。
未だ混乱したままの頭で、なんとか落ち着いて現状を把握しようとしたソウキの耳に届いたのは、仲間の叫び声だった。
「ソウキっ!!」
焦りを含んだその声に周囲を確認するまでも無かった。
ソウキの目前には、全身を怒りに燃えたぎらせ、大きな咆哮をあげて周囲へ電撃のフィールドを展開させようとしているヴァジュラの姿。
握りしめたままの神機を引き寄せ、なんとか装甲を展開させようとする。
「あ」
しかし引き寄せた神機には装甲どころか刃も無く。
次の瞬間には無防備な全身を激しい電撃が直撃し、さらに体は近くの瓦礫の山へと吹き飛ばされる。
本日2回目の背中への衝撃を感じ、ソウキは意識を手放した。
「ソウキっ!!」
声を上げたのはソーマだった。
しかしそれも間に合わず、ソウキはヴァジュラの電撃をくらってあえなく瓦礫へと吹き飛ばされてしまう。
「クソっ、どうなってんだ…!
とにかくアイツの意識をソウキから逸らす!行くぞソーマ!」
いち早く冷静さを取り戻したのはやはりリンドウで、すぐさま己の神機を構え直すとヴァジュラへと駆け出す。
応えはしなかったもののソーマもすぐそれに続き、後ろからは追いかけるようにサクヤの銃撃が敵を目掛け飛んでいく。
既に弱りかけていたヴァジュラは、3人の怒涛の攻撃によりすぐにその巨体を地に沈めた。
完全に敵が事切れたのを確認し、全員が急いでソウキへと駆け寄る。
「気絶しているだけで息はあるみたいね…良かった…」
すぐに状態を確認したサクヤが、安心したような吐息を漏らす。
電撃による火傷と全身を叩き付けた打撲が酷いようだが、命に関わる程ではなかった。
リンドウが任務終了と怪我人の存在を端末で本部に連絡する。
「神機があんな風に砕けるなんて…見たことある?」
「いや、俺も見たことねぇわ」
「………」
サクヤの問いにリンドウが答え、ソーマは無言で首を横に振る。
「ま、詳しい事はサカキ博士にでも聞くしかねぇだろ…とにかくコイツを連れて帰るぞ。帰投用のヘリがすぐに来る」
リンドウは懐から煙草を出すと火を付けた。
そしてそれを口にくわえたまま、意識のないソウキを担ぎ上げるとヘリとの合流地点へと向かって歩き出した。