空にサヨナラ
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「アリサは、と…」
任務を終わらせアナグラに帰ってきたソウキは、その足でアリサの元を訪れる事にした。
ラボのある階でエレベーターを降り、病室へと向かう。しかしそのドアにはいまだ面会謝絶の札がかかり中へ入ることは叶わなかった。
仕方なく元来た道を引き返し、エントランスへと向かう。
「ああ、ソウキ。ちょうど良かった」
「…ツバキ教官?」
ソファーに座ってぼーっとしていると、ツバキに声をかけられた。
「お前に1つ任務を頼みたいんだが、今は空いているか?」
「ん…そうですね、今日はもう何もないんで平気っすよ」
「怪我の具合はどうだ」
「はい、大丈夫です」
「…そうか。
私からの発注で、既に手配済みだ。ヒバリに声をかける必要はない、このまま出撃してくれ」
渡された受注書に目を落とす。普段よりも薄いそれには、討伐対象については何も書かれておらず、場所だけが示されていた。
「これ…!」
指定されていた場所は意外な所で、ソウキはツバキに驚いたような視線を向けた。
それにツバキは小さく頷くと口を開く。
「場所は贖罪の街。一人で行ってもらうが、討伐対象になるアラガミは指定しない。
任務内容は、先日同場所にて発見された新種のアラガミの調査だ。万が一を考え、通常の調査員より神機使いの方が適任だと、私が判断した」
贖罪の街は現在、立入禁止になっているとヒバリは言っていた。フェンリル上層部から下されたというその命令は、恐らくまだ解除されていないはずだ。
つまりこの任務はツバキの独断、フェンリルやこの極東支部長にも知られてはまずいのだろう。
「何か…見つけたら報告してくれ。
ただ無理だけはするな。分かったな」
「了解、です」
ツバキの言う『何か』を察したソウキは、思わず書類を握る手に力をこめた。
そのあと二言三言、会話を交わし最低限の準備だけをしてすぐに出撃ゲートへと向かう。
ソウキを乗せたヘリは暮れかけた空へと飛び立っていった。
断末魔の叫びをあげ倒れるオウガテイルを捕喰すると、ソウキは警戒を解いて息をついた。
贖罪の街についてからぐるりと一通り見て回ったが、小型アラガミを数体相手にしただけで他の気配はなにもしない。
「はぁ…」
重い溜息を吐き出し、ソウキは重い歩を進める。最後に回ってきたのは、あの時の場所だった。
静かな空間に慎重な自分の足音だけが響く。
崩れて行く手を塞いでいた瓦礫は、すっかり片付けられていた。
ゆっくりと角を曲がり、その先に何もない事を確認してソウキは神機を降ろした。
割れたステンドグラスから夕日が差し込み、中を赤く染める。
「……なにも、ない」
ぼそりと呟く。
先に調査員が訪れたことは知っていたから、そうそう大きな発見はないだろうとは思っていた。
しかしその予想以上にそこには何もなかったのだ。
リンドウの手がかりどころか新種のアラガミの痕跡も見つからない。
まるで、何事も起こっていないとでもいうように。
「本人も…ましてや神機や腕輪も見つからない。
あの時の状況ははっきり報告したのにもかかわらず。
手負いのリンドウが…仮にアイツを倒してここから抜け出したとして、どうしていまだに見つからない…?」
どう考えてもおかしいのだ。
そもそもあの任務からして、不自然だ。同一区画で2つのチームが同時に作戦を行うことは本来有り得ない。
ヒバリがそんな初歩的なミスを犯すとも思えない。
「誰かが、人為的に…起こした…」
まさか、とソウキはそんな考えを振り切るように頭を振った。
誰かが極東一の戦力であるリンドウを殺そうとしたなんて、考えられない。
仮にこれが誰かの仕組んだ事だとしたら、恐らく自分一人の手には負えない大きな何か――それこそ極東支部全体を巻き込むような陰謀が動いている気がする。
「なーんて、考えすぎか」
降ろしていた神機を肩に担ぎあげ、ぐるりと周囲を見回してみるがやはり何もない。
そろそろ暗くなってしまうし、一通り探索は終わった。何も見つけることが出来なかったのは残念だが、一人ではこれが限界だろう。
今回の任務がフェンリルの公式なものではないならば、あまり長居をするのも好ましくはなさそうだと、ソウキはその場所を後にしたのだった。