自由と反逆
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秋山渉と一ノ瀬澪は3歳差の幼馴染という関係である。
幼い頃から一ノ瀬澪という人間は、自由を謳歌していた。
だがその中に存在する冷たい理性と優しさに渉は憧れ、惹かれていた。
「ッ澪……!」
「どうしたの、渉。そんな泣きそうな顔して」
「……ちょっと付き合え」
「はいはい。ちゃんと離さないで連れて行ってね」
何かある度、渉は澪を連れて"自由に"歩き回った。
少しでも、彼女のような存在になりたくて。
少しでも、彼女の近くにいて記憶に残りたくて。
「……オレ、悔しいんだ。何も言い返せなかった」
「受け止められたのなら一先ずは上出来だよ。えらいね、渉」
澪は渉を肯定し続けた。
頬を撫ぜる手はいつだってひんやりと冷たく、渉を冷静にさせた。
「離せよッ!!オレに触んな!!」
「逃げてはいけないよ、渉。楽をしてしまえば、次からも逃げることを選んでしまうから」
怒り返すのではなく、優しく諭す。
手を離さず、目も逸らさない。
渉には澪が、誰よりも真っ直ぐな人間に見えた。
「……走り屋になる?」
「あぁ。このレビンで誰よりも速くなって、いつかは、お前も」
「ふふっ、いいんじゃないかな。一番かっこいいのは、峠で速い奴だよ」
今よりも薄い煙を吐いた澪は流し目で微笑んだ。
その怪しげな色気のある笑みは、渉の脳裏に焼き付いて今も尚離れない。
いつだって秋山渉は一ノ瀬澪の背中を追いかけていた。
いつしかその隣へと追いついて、己の気持ちを伝えようと必死だった。
「式は挙げんのか?」
「勿論。母さんもそれを強く望んでいるからね。……来てくれる?」
「……嗚呼。きっと和美も行きたいって言うだろうよ」
「やった。招待状を近々送るよ。会えるのを楽しみにしているね」
嬉しそうに笑った澪は、煙草の火を消して大きく深呼吸する。
その穏やかな顔とは対照的に、渉は苦虫を嚙み潰したような顔をした。
満足したのか、シルビアのドアを開けて運転席へ乗り込もうと澪は身を屈めた。
「……なぁ、澪」
「どうしたの、渉。そんな泣きそうな顔して」
呼び止められた澪は姿勢を直して渉を見る。
あの時と何も変わっていない。ただ変わったのは、渉と澪の距離だけだった。
「そいつのこと、好きか?」
その問いに澪は大きく目を見開いた。
揺れる瞳孔は何を思っているのか。
数秒、数十秒だろうか。
先程とは違い、泣きそうな笑顔で言葉を零した。
「うん。好きだよ」
今度は渉がその答えに目を見開く。
何かを言うより先に澪はシルビアへと乗り込み、正丸峠を下って行った。
渉はそのスキール音を聞きながらレビンのドアへと凭れかかり、座り込む。
「……わかりやすい嘘、つくんじゃねえよ」
ぐしゃり、と前髪を掻いて堪えていた涙を零す。
だがその目は既に、決意で満ちていた。
幼い頃から一ノ瀬澪という人間は、自由を謳歌していた。
だがその中に存在する冷たい理性と優しさに渉は憧れ、惹かれていた。
「ッ澪……!」
「どうしたの、渉。そんな泣きそうな顔して」
「……ちょっと付き合え」
「はいはい。ちゃんと離さないで連れて行ってね」
何かある度、渉は澪を連れて"自由に"歩き回った。
少しでも、彼女のような存在になりたくて。
少しでも、彼女の近くにいて記憶に残りたくて。
「……オレ、悔しいんだ。何も言い返せなかった」
「受け止められたのなら一先ずは上出来だよ。えらいね、渉」
澪は渉を肯定し続けた。
頬を撫ぜる手はいつだってひんやりと冷たく、渉を冷静にさせた。
「離せよッ!!オレに触んな!!」
「逃げてはいけないよ、渉。楽をしてしまえば、次からも逃げることを選んでしまうから」
怒り返すのではなく、優しく諭す。
手を離さず、目も逸らさない。
渉には澪が、誰よりも真っ直ぐな人間に見えた。
「……走り屋になる?」
「あぁ。このレビンで誰よりも速くなって、いつかは、お前も」
「ふふっ、いいんじゃないかな。一番かっこいいのは、峠で速い奴だよ」
今よりも薄い煙を吐いた澪は流し目で微笑んだ。
その怪しげな色気のある笑みは、渉の脳裏に焼き付いて今も尚離れない。
いつだって秋山渉は一ノ瀬澪の背中を追いかけていた。
いつしかその隣へと追いついて、己の気持ちを伝えようと必死だった。
「式は挙げんのか?」
「勿論。母さんもそれを強く望んでいるからね。……来てくれる?」
「……嗚呼。きっと和美も行きたいって言うだろうよ」
「やった。招待状を近々送るよ。会えるのを楽しみにしているね」
嬉しそうに笑った澪は、煙草の火を消して大きく深呼吸する。
その穏やかな顔とは対照的に、渉は苦虫を嚙み潰したような顔をした。
満足したのか、シルビアのドアを開けて運転席へ乗り込もうと澪は身を屈めた。
「……なぁ、澪」
「どうしたの、渉。そんな泣きそうな顔して」
呼び止められた澪は姿勢を直して渉を見る。
あの時と何も変わっていない。ただ変わったのは、渉と澪の距離だけだった。
「そいつのこと、好きか?」
その問いに澪は大きく目を見開いた。
揺れる瞳孔は何を思っているのか。
数秒、数十秒だろうか。
先程とは違い、泣きそうな笑顔で言葉を零した。
「うん。好きだよ」
今度は渉がその答えに目を見開く。
何かを言うより先に澪はシルビアへと乗り込み、正丸峠を下って行った。
渉はそのスキール音を聞きながらレビンのドアへと凭れかかり、座り込む。
「……わかりやすい嘘、つくんじゃねえよ」
ぐしゃり、と前髪を掻いて堪えていた涙を零す。
だがその目は既に、決意で満ちていた。
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