元JKと元あむぴ
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媚薬と呼ばれるの対処法はいくつかある。ひたすら吐く、水分摂取や点滴で濃度を下げる、成分が分かっていれば吸収を阻害する薬で対処するなど、様々だ。だがつまり裏を返せば決め手となり得る方法は存在しない。そもそもアンダーグラウンドに属するものであるし、病院を利用すればその後の処理が非常に煩雑だ。
正直佐々木が睡眠薬への耐性がまだついていなくて助かった。
「……ふーやしやん……?」
睡眠薬が本格的に効いてきたのだろう、舌っ足らずに名前を呼んでいる。おそらくもう明日の朝にこの辺りの記憶はないのだろう。
「……僕はここにいるぞ」
「そうでしたあ……」
肩を出したトップスに太ももの半ば以上が曝け出されたショートパンツ。オープントゥの靴は先程脱がせたので、カラフルなペディキュアの施された爪先がぱたぱたと動いている。
半年前ほどに公安部に配属された佐々木は高校時代にポアロに通っており「安室透」と面識を持っていたということを除けば、至って平凡な捜査官だった。もちろん滅多にない公安部への配属であるから優秀であることは疑いようもない。実際警察学校時代の成績や交番勤務時の実績も新人としては優秀であり、だからこその公安部配属が決定した。決してそれだけが理由ではなかったが。
「……もう寝ろよ」
「ふあい?」
決して目を見張るような美人ではない。顔つきも体つきも健康的でなんというのだろうか、普段の彼女は生気や活力に満ちた印象が強い。それが今はぐったりとした様子で倒れ込んでいる。
――まあ異性愛者の男であれば普段とのギャップでうっかり手を出しかねず、リスクが高い。かといって一人にしておくわけにもいかず、複数人貼り付けるには人手が足りず、そして病院にぶち込むには少々厄介な理由の方が多い。指導役である風見に放り投げてもよかったが、万一が起きた場合に最も面倒なのがその組み合わせでもある。彼女の反応から盛られた薬の作用を推測した瞬間にその辺りまで考え、そして自分が看るのが一番マシという結論に至った。そしてそれは正解だったと思う。
「ん……あつっい……」
しばらくそんなことを口にしながら服を脱ごうとしていた佐々木だったが、やがてすやすやと寝息をたてはじめた。手早く乱れた服を直してやり、上からシーツを掛けてやる。――立派な成人女性ではあるが、かつて安室透であった自分はどうしてもあの喫茶店にいた少女と言われてしまうとその当時の印象のまま何かが止まっている。子供に欲情する趣味は生憎と持ち合わせていないのだ。
「……ゆっくり休めよ」
今は遠くなりつつある記憶を呼び覚ませば、確かにあの平和な日常の中、警察官を志望する少女がいた。顔も名前も今となっては曖昧だ。覚える必要がないくらいに無力で危険のない存在だった。ゼロが記録する必要のない、守るべき大多数の国民の一人。未来を担う子供の一人だった。そんな中から図らずも自分の後輩が生まれた。――なんというか、感慨深いものだ。あのときの自分がそうだったなんて佐々木はきっと知る由もなかったのだろうけれど。
すやすやと佐々木は寝入っている。その横でノートパソコンに向かって淡々と書類を仕上げていた降谷はあの喫茶店での日々を思い出し、久しぶりにコーヒーを丁寧に淹れてみようか、などと考えていた。
正直佐々木が睡眠薬への耐性がまだついていなくて助かった。
「……ふーやしやん……?」
睡眠薬が本格的に効いてきたのだろう、舌っ足らずに名前を呼んでいる。おそらくもう明日の朝にこの辺りの記憶はないのだろう。
「……僕はここにいるぞ」
「そうでしたあ……」
肩を出したトップスに太ももの半ば以上が曝け出されたショートパンツ。オープントゥの靴は先程脱がせたので、カラフルなペディキュアの施された爪先がぱたぱたと動いている。
半年前ほどに公安部に配属された佐々木は高校時代にポアロに通っており「安室透」と面識を持っていたということを除けば、至って平凡な捜査官だった。もちろん滅多にない公安部への配属であるから優秀であることは疑いようもない。実際警察学校時代の成績や交番勤務時の実績も新人としては優秀であり、だからこその公安部配属が決定した。決してそれだけが理由ではなかったが。
「……もう寝ろよ」
「ふあい?」
決して目を見張るような美人ではない。顔つきも体つきも健康的でなんというのだろうか、普段の彼女は生気や活力に満ちた印象が強い。それが今はぐったりとした様子で倒れ込んでいる。
――まあ異性愛者の男であれば普段とのギャップでうっかり手を出しかねず、リスクが高い。かといって一人にしておくわけにもいかず、複数人貼り付けるには人手が足りず、そして病院にぶち込むには少々厄介な理由の方が多い。指導役である風見に放り投げてもよかったが、万一が起きた場合に最も面倒なのがその組み合わせでもある。彼女の反応から盛られた薬の作用を推測した瞬間にその辺りまで考え、そして自分が看るのが一番マシという結論に至った。そしてそれは正解だったと思う。
「ん……あつっい……」
しばらくそんなことを口にしながら服を脱ごうとしていた佐々木だったが、やがてすやすやと寝息をたてはじめた。手早く乱れた服を直してやり、上からシーツを掛けてやる。――立派な成人女性ではあるが、かつて安室透であった自分はどうしてもあの喫茶店にいた少女と言われてしまうとその当時の印象のまま何かが止まっている。子供に欲情する趣味は生憎と持ち合わせていないのだ。
「……ゆっくり休めよ」
今は遠くなりつつある記憶を呼び覚ませば、確かにあの平和な日常の中、警察官を志望する少女がいた。顔も名前も今となっては曖昧だ。覚える必要がないくらいに無力で危険のない存在だった。ゼロが記録する必要のない、守るべき大多数の国民の一人。未来を担う子供の一人だった。そんな中から図らずも自分の後輩が生まれた。――なんというか、感慨深いものだ。あのときの自分がそうだったなんて佐々木はきっと知る由もなかったのだろうけれど。
すやすやと佐々木は寝入っている。その横でノートパソコンに向かって淡々と書類を仕上げていた降谷はあの喫茶店での日々を思い出し、久しぶりにコーヒーを丁寧に淹れてみようか、などと考えていた。
