「だからその手を捕まえる」
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……はい、それで端末を繋いじゃってください。それで吸い上げたデータはこっちの端末にも自動で共有されます。緑のランプがつけば完了です」
モニター越しに作戦の様子は大体見えていた。関係者の確保も今回の目的の一つなので私の見ていた範囲内ではたぶん死人は出ていない。――といっても閃光弾に催涙ガスに麻酔銃とか容赦なくぶっこんでいったので圧倒的アメリカンスタイルによる負傷者は多数いるようだ。主に警備担当だったらしき半チンピラに。研究者勢も薬品で応戦する武闘派もいたけど物陰から麻酔銃で次々に狙撃されていった。
「というか赤井さんリアルFPSじゃん……」
『……沙紀さんに言われたくはないんじゃない?繋いで数秒でデータ吸い上げ完了って、えげつないね。これ』
「そっちは公安開発だから知らないからね?私はそういうの専門じゃない」
『うん、痕跡残さないハッキングが専門なんだよね?ところで前に僕のスマホがハッキングされててね、なんか出処がちっともわからないらしいんだ。……誰だろうね?』
「……それ以上言うと公安に情報流すよ。FBIが子連れ突入してるって」
『……子連れ突入』
確かに以前降谷くんに頼まれてスマホ用のハッキングソフトの開発の手伝いをしたことがあった。――そして公安がこの子に仕掛けたのも確か。一体何者、はこっちが聞きたいくらい。この頭の良さ、そして降谷くんがピンポイントで目をつけるだけの行動力。明らかに小学生のものではないキック力で次々にノックアウトさせてるし。そしてリアルFPSかという勢いで次々に麻酔銃による狙撃を行う赤井さんは早々に連絡端末をコナンくんに放り投げていた。それでいいのかFBI、一瞬そう思ったけど、すぐに思い直した。これが最良の判断なのだ、と。
コナンくんをなぜ突入に同行させたのか、作戦開始数分で悟ってしまった。この子はとんでもなく推理力が高いのだ。隠されたもの、秘されたものへの感覚や直観が異様に鋭いとでもいうのだろうか、隠し部屋の存在やデータやサンプルの場所まで次々に当ててみせた。そして誰よりも早く研究所のメインサーバーに辿り着いている。
正直私のハッキングスキルとFBIの制圧力だけではこの作戦は失敗してただろう。私の手元の端末でも緑のランプが明滅する。送られてきたデータの中身をざっと確認して公安に送る。これで私の仕事の半分以上は終わったようなもの。
「……うん、データの確保はこっちでも確認できました。こっちの仕事はほぼ終わり」
『よかった。……ところでさ、僕、沙紀さんにもう一つだけ聞きたかったんだ』
「……なに?答えられることってそんなに多くないよ」
『――安室さん、今どうしてるの?組織に潜ってそのまま連絡が途絶えてるみたいなんだ』
一瞬にして血の気が引く。ノートパソコンを立ち上げ、専用のソフトを開く。データを確認し、ふっと息を吐いた。
「……生きてはいるよ。私に分かるのはそれくらい」
『……そっか。ならよかった』
あの日風見さんが降谷くんに渡したのはイヤーカフや腕時計には脈拍や体温などのバイタルデータを簡易的に測定する機能がついている。それをセットで渡したスマートフォンを通して送信、リアルタイムに監視している。現在地や盗聴音声は万一傍受された時のリスクは大きいけど、脈拍ならそうと知られなければ何のデータか分かったものじゃないし、解析されたところで誰のものかも分からない。生存確認は常に可能だった。
『それじゃ……赤井さん!あと遠慮なくやっちゃっていいよ!』
遠慮なく?その言葉に首を傾げるけどその数秒後、物理的に吹き飛ばされる組織の下っ端たちを見て察してしまった。人間ってあそこまで飛ぶものなんだ。
「今度は格ゲーか……」
『赤井さん、截拳道の達人だからね……』
「チートじゃん……こんな人他にいないでしょ……」
それがいるんだよな、とコナンは思わず呟いた。今頃組織内部に潜っているのだろう、彼女に恋人役を演じさせてきた男が。――もっともそれは役だけではなかったのかもしれないけれど。
「僕、一人だけ知ってるよ。赤井さんと殴り合ってた人。真夜中の観覧車の上で」
『なにそれ……怖いね……軽い都市伝説だよ……』
安全地帯のサーバールームでそんな会話をしているうちに制圧は完了した。公安的配慮で周囲の民間人に被害を出さなければある程度のことは見逃してもらえることになっている。そのためFBIは手っ取り早い方法を取った。誰がどう見ても手遅れと思わせるそれ。
『うっわアメリカンだね……』
夜明け直前、薬物やサンプルの運びだしと人員の連行が済んだ後、FBIはその施設を爆破した。前哨戦は終了、こちらの完全試合だ。そして。
「次はあの人からの連絡待ち、か……」
組織にとって重要な施設が破壊されたとなれば今までにない数の構成員が動員される。それを狙ってあぶり出し、片っ端から捕えていく。その合図を送るのは今なお組織内部に食い込み潜入捜査を続けるあの男。
『……これで作戦終了ですね。あとで公安の方から連絡がいくとは思いますが、私はこれで』
「うん。沙紀さん、ありがとね。……また連絡するかもしれないけど、とりあえずお疲れ様」
組織のせいで死んだ人は、人生を狂わされた人は数知れず。……潰さなくてはいけない。目の前で苦しみながらも最期まで組織の思い通りになってやるものかと足掻いた女性がいた。もう間もなく会えなくなると悟って娘に宛てた二十歳までのメッセージを残した人がいた。組織に潜入し、殺された人もいた。その全てを終わらせる。そうでなければ江戸川コナン、いや工藤新一も前へは進めない。幼馴染との約束は工藤新一として果たさなければならないのだから。
『……うん。お疲れ様。小さな探偵さん』
モニター越しに作戦の様子は大体見えていた。関係者の確保も今回の目的の一つなので私の見ていた範囲内ではたぶん死人は出ていない。――といっても閃光弾に催涙ガスに麻酔銃とか容赦なくぶっこんでいったので圧倒的アメリカンスタイルによる負傷者は多数いるようだ。主に警備担当だったらしき半チンピラに。研究者勢も薬品で応戦する武闘派もいたけど物陰から麻酔銃で次々に狙撃されていった。
「というか赤井さんリアルFPSじゃん……」
『……沙紀さんに言われたくはないんじゃない?繋いで数秒でデータ吸い上げ完了って、えげつないね。これ』
「そっちは公安開発だから知らないからね?私はそういうの専門じゃない」
『うん、痕跡残さないハッキングが専門なんだよね?ところで前に僕のスマホがハッキングされててね、なんか出処がちっともわからないらしいんだ。……誰だろうね?』
「……それ以上言うと公安に情報流すよ。FBIが子連れ突入してるって」
『……子連れ突入』
確かに以前降谷くんに頼まれてスマホ用のハッキングソフトの開発の手伝いをしたことがあった。――そして公安がこの子に仕掛けたのも確か。一体何者、はこっちが聞きたいくらい。この頭の良さ、そして降谷くんがピンポイントで目をつけるだけの行動力。明らかに小学生のものではないキック力で次々にノックアウトさせてるし。そしてリアルFPSかという勢いで次々に麻酔銃による狙撃を行う赤井さんは早々に連絡端末をコナンくんに放り投げていた。それでいいのかFBI、一瞬そう思ったけど、すぐに思い直した。これが最良の判断なのだ、と。
コナンくんをなぜ突入に同行させたのか、作戦開始数分で悟ってしまった。この子はとんでもなく推理力が高いのだ。隠されたもの、秘されたものへの感覚や直観が異様に鋭いとでもいうのだろうか、隠し部屋の存在やデータやサンプルの場所まで次々に当ててみせた。そして誰よりも早く研究所のメインサーバーに辿り着いている。
正直私のハッキングスキルとFBIの制圧力だけではこの作戦は失敗してただろう。私の手元の端末でも緑のランプが明滅する。送られてきたデータの中身をざっと確認して公安に送る。これで私の仕事の半分以上は終わったようなもの。
「……うん、データの確保はこっちでも確認できました。こっちの仕事はほぼ終わり」
『よかった。……ところでさ、僕、沙紀さんにもう一つだけ聞きたかったんだ』
「……なに?答えられることってそんなに多くないよ」
『――安室さん、今どうしてるの?組織に潜ってそのまま連絡が途絶えてるみたいなんだ』
一瞬にして血の気が引く。ノートパソコンを立ち上げ、専用のソフトを開く。データを確認し、ふっと息を吐いた。
「……生きてはいるよ。私に分かるのはそれくらい」
『……そっか。ならよかった』
あの日風見さんが降谷くんに渡したのはイヤーカフや腕時計には脈拍や体温などのバイタルデータを簡易的に測定する機能がついている。それをセットで渡したスマートフォンを通して送信、リアルタイムに監視している。現在地や盗聴音声は万一傍受された時のリスクは大きいけど、脈拍ならそうと知られなければ何のデータか分かったものじゃないし、解析されたところで誰のものかも分からない。生存確認は常に可能だった。
『それじゃ……赤井さん!あと遠慮なくやっちゃっていいよ!』
遠慮なく?その言葉に首を傾げるけどその数秒後、物理的に吹き飛ばされる組織の下っ端たちを見て察してしまった。人間ってあそこまで飛ぶものなんだ。
「今度は格ゲーか……」
『赤井さん、截拳道の達人だからね……』
「チートじゃん……こんな人他にいないでしょ……」
それがいるんだよな、とコナンは思わず呟いた。今頃組織内部に潜っているのだろう、彼女に恋人役を演じさせてきた男が。――もっともそれは役だけではなかったのかもしれないけれど。
「僕、一人だけ知ってるよ。赤井さんと殴り合ってた人。真夜中の観覧車の上で」
『なにそれ……怖いね……軽い都市伝説だよ……』
安全地帯のサーバールームでそんな会話をしているうちに制圧は完了した。公安的配慮で周囲の民間人に被害を出さなければある程度のことは見逃してもらえることになっている。そのためFBIは手っ取り早い方法を取った。誰がどう見ても手遅れと思わせるそれ。
『うっわアメリカンだね……』
夜明け直前、薬物やサンプルの運びだしと人員の連行が済んだ後、FBIはその施設を爆破した。前哨戦は終了、こちらの完全試合だ。そして。
「次はあの人からの連絡待ち、か……」
組織にとって重要な施設が破壊されたとなれば今までにない数の構成員が動員される。それを狙ってあぶり出し、片っ端から捕えていく。その合図を送るのは今なお組織内部に食い込み潜入捜査を続けるあの男。
『……これで作戦終了ですね。あとで公安の方から連絡がいくとは思いますが、私はこれで』
「うん。沙紀さん、ありがとね。……また連絡するかもしれないけど、とりあえずお疲れ様」
組織のせいで死んだ人は、人生を狂わされた人は数知れず。……潰さなくてはいけない。目の前で苦しみながらも最期まで組織の思い通りになってやるものかと足掻いた女性がいた。もう間もなく会えなくなると悟って娘に宛てた二十歳までのメッセージを残した人がいた。組織に潜入し、殺された人もいた。その全てを終わらせる。そうでなければ江戸川コナン、いや工藤新一も前へは進めない。幼馴染との約束は工藤新一として果たさなければならないのだから。
『……うん。お疲れ様。小さな探偵さん』
