りぼゆめ
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校舎の隅に植えてある膝ぐらいの丈の木の枝がカサカサと揺れている、それに気付いたのは僕だけじゃあ無かった。何時もの非常階段の3段目に腰かけた彼女がその場を立ち、音の鳴る方へゆっくり歩み寄る。
にゃあ、と鳴く声で猫だと気付いた。なまえもそれに合わせてにゃあ、と小さく返す。手を伸ばしてにゃあ、にゃあ、きっと僕は今まで無いくらい似合わない顔をしているのだろう。
「恭弥くん、仔猫!」
「本当だ」
「女の子だね、かわいい」
なまえの腕の中には白と黒の色を持った仔猫が喉を鳴らしていた。
お腹すいたの?食べれるかな、となまえが自分の弁当から唐揚げをひとつ仔猫に近づける。仔猫は匂いを嗅いで確認したあと、かじりつき、なまえの腕から飛び下りた。暫くそれを見てると、食べ終えた仔猫が階段を上がり、なまえの足元にすりよって来た。
「かわいいなぁ‥」
「飼えば?」
「でもうち、飲食店やってるから‥」
「ああ、そっか」
仔猫を抱き上げた彼女は残念そうにため息を着く。仔猫も何かを感じたのか、小さく鳴いた。
校庭に響くチャイム、なまえは名残惜しそうに仔猫を放した。仔猫はにゃあ、と鳴いて木の影に消えていった
(次に会うときは貴方も私をだっこしてね)
「ばいばい、またおいで」
「あの猫、なまえに似てたね」
「そう?」
「だからなまえって名前にしよう」
「えぇ、センスないなぁ」
「可愛いと思うけどな、なまえって」
(あの仔猫は結局なまえって名前になった。彼女が恥ずかしそうに名前を呼ぶのが凄く可愛かったなんて、言えない)
070914