くちきびゃくや
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「朽木隊長、私、どうやら結婚することになります」
不意に、そう声をかけてきたのは
うちの隊の七席の小鳥遊凛だった
特に付き合っていたような人がいる話を聞いたことはなかったが、そのような報告を受けた時
少しだけ胸がざわついた。
「そうか」
「西園寺家の次男で、家業の一つである呉服店を継ぐらしいんです」
「西園寺家、か」
「はい、長男は西園寺家の当主で家をもらい、次男は店を継ぐんですって。なので、よかったらご贔屓に」
矢継ぎ早に話される、‘西園寺家’のことは
四大貴族である朽木家にとっては
赤子の手首をひねるぐらい簡単に手に入る情報で
‘本当の’西園寺家の話からは程遠いものになる
それを知ってか知らないかは、定かではない。
「結納などは、家の関係上さっさと行いたいと
むこうから話があるのですが……」
「非番を取るのは可能だ、まぁ1ヶ月後にはなるな」
「ですよね、そう伝えてはあるので問題はないかと」
いささか急な結婚の話に引っ掛かりを覚える。
小鳥遊の顔もどこか腑に落ちないようにみえ
1ヶ月も本来は掛からないが、思わずそうでてしまった
「今後死神をやっていけるのかも正直わかりません。呉服店継いでほしいって話もあったので…」
「進退については追々決めてもよかろう。まぁ、兄が呉服店で収まる者と思えぬがな」
「自分でも、そんなかしこまってお客さん対応なんてできるとは思っていませんよ。まったく、人生何が起こるか、ほんと、わかりませんよね」
小鳥遊凛は、新人の頃から6番隊の所属で、
もう、30年は6番隊にいて付き合いは長い方だ。
女性でありながら、前線に出るのが好きで
怪我をして返ってくるのもしょっちゅうだった。
周りをよく見て、自分の部下の怪我の率は誰が率いても一番低いのだ。
元は流魂街と聞いていて、父親が蒸発し母親と暮らしていたが、最近自分の周りに父親だという男が出てきたということは相談を受けていた。
今回の婚約の話も
勝手に、その父親という男が取り付けてきたものであろう。
なにせ、西園寺家は金を貸し出しなどを行い
取り立てなどの被害を受けている者が多いと聞く。
きっと、小鳥遊の父親と名乗る男も
その西園寺から金を借り、多額となった利子を返すべくに娘を差し出した、というところだろう。
(まったく、手が焼ける……)
「じゃ、朽木隊長後はおねがいしまーす!」
「……わかった」
小鳥遊は、隊長印が必要な書類を置いてから
‘あとはおねがいします’と普段は言わない言葉を
こちらに伝えていたのだ。
その言葉で、自分の口角が少し上がったのだ。
「少し、灸を据えるぐらいでいいだろうか」
渡された書類を手早く済ませ、恋次に声を掛ける
「少し席を外す。このまま戻らぬ可能性もある」
「どこかに出られるんすか?」
「あぁ、朽木家としての対応が必要な案件だ」
「そーっすか、いってらっしゃいませ」
恋次は、貴族ってめんどくせえっすね。とへらへらと笑う。先ほどの、小鳥遊の話も聞こえていたのだろう。
足早に自宅に戻り、仕えている者たちに
西園寺についての話を、まとめる
「しかし、白哉様なにゆえ……」
「うちの者に手を出したならな、それなりの対応をせねばならぬ」
「さようでございますか。いかがします?西園寺ごと
無くせるようなものもありますし、次男坊のみ消すということもできますが」
朽木家専用の隠密機動隊(のような者)の筆頭といえる物が、膝をつきこちらに西園寺家のことをまとめたものを提出してくる
「ひとまず、次男坊のみでいい。ゆくゆく、うちじゃない四大貴族が制裁を下すだろう」
「かしこまりました。ちなみに、次男坊をどこまで‘消し’ますか?」
「表に出てこれなくなれば良い」
「かりこまりました」
「あぁ、あと一つ。婚約を取り消すつもりながなかったら‘すべて’消して構わぬ」
「御意」
さっと姿を消したのを見届け、湯飲み残った茶を飲む。たった一人の隊士のためにここまでするのか、と言われても仕方がないが。
正直、西園寺家に身を置いていいような人材ではない。有能なモノを手放す気もない。
これはあくまでも、上司として
守るべき行動をした、と行っても過言ではないだろう。
2週間前が経ち、小鳥遊凛は
あの時のように隊長印が必要な書類を持ってきた
「朽木隊長、私の結婚、無くなったんですよ」
「……ほう?」
「次男、流魂街で若い女の子捕まえて売っていたんですって」
「………そうか」
「しかも、女の子売って‘またのご利用を’とかいうんですって、気持ち悪くないです?びっくりした」
「そのようなものと添い遂げることがなくなり良かったな」
「ほんとです。頼るべきは四大貴族で上司の朽木隊長だけでした」
「よく言う、」
結婚が取りやめになったことを喜んではいけないと
わかっていながら、どうしても口角が上がってしまう
「けど、非番申請した日は休んでいいですか?」
「好きにしたらいい」
「そうですね、結婚も取りやめになったので現世にめっちゃ辛いモノとか食べに行こうかな〜」
よかったら一緒に行きます?と小鳥遊は口角を上げる。
「まっ、朽木隊長今後とも宜しくおねがいします」
そう言って、書類をまたこちらに渡して
小鳥遊は部屋を出た。
「今度とも、というのはどういうつもりだろうな」
受け取った書類に印を押し、小鳥遊が非番を申請していた日に、自分も現世に行く用事がある頃だと気づく。
次の現世では、辛いものが食べられるようだと思いながら、その日が来るのを少しだけ待ち遠しくなったことは、自分も気づいてはいなかった。
不意に、そう声をかけてきたのは
うちの隊の七席の小鳥遊凛だった
特に付き合っていたような人がいる話を聞いたことはなかったが、そのような報告を受けた時
少しだけ胸がざわついた。
「そうか」
「西園寺家の次男で、家業の一つである呉服店を継ぐらしいんです」
「西園寺家、か」
「はい、長男は西園寺家の当主で家をもらい、次男は店を継ぐんですって。なので、よかったらご贔屓に」
矢継ぎ早に話される、‘西園寺家’のことは
四大貴族である朽木家にとっては
赤子の手首をひねるぐらい簡単に手に入る情報で
‘本当の’西園寺家の話からは程遠いものになる
それを知ってか知らないかは、定かではない。
「結納などは、家の関係上さっさと行いたいと
むこうから話があるのですが……」
「非番を取るのは可能だ、まぁ1ヶ月後にはなるな」
「ですよね、そう伝えてはあるので問題はないかと」
いささか急な結婚の話に引っ掛かりを覚える。
小鳥遊の顔もどこか腑に落ちないようにみえ
1ヶ月も本来は掛からないが、思わずそうでてしまった
「今後死神をやっていけるのかも正直わかりません。呉服店継いでほしいって話もあったので…」
「進退については追々決めてもよかろう。まぁ、兄が呉服店で収まる者と思えぬがな」
「自分でも、そんなかしこまってお客さん対応なんてできるとは思っていませんよ。まったく、人生何が起こるか、ほんと、わかりませんよね」
小鳥遊凛は、新人の頃から6番隊の所属で、
もう、30年は6番隊にいて付き合いは長い方だ。
女性でありながら、前線に出るのが好きで
怪我をして返ってくるのもしょっちゅうだった。
周りをよく見て、自分の部下の怪我の率は誰が率いても一番低いのだ。
元は流魂街と聞いていて、父親が蒸発し母親と暮らしていたが、最近自分の周りに父親だという男が出てきたということは相談を受けていた。
今回の婚約の話も
勝手に、その父親という男が取り付けてきたものであろう。
なにせ、西園寺家は金を貸し出しなどを行い
取り立てなどの被害を受けている者が多いと聞く。
きっと、小鳥遊の父親と名乗る男も
その西園寺から金を借り、多額となった利子を返すべくに娘を差し出した、というところだろう。
(まったく、手が焼ける……)
「じゃ、朽木隊長後はおねがいしまーす!」
「……わかった」
小鳥遊は、隊長印が必要な書類を置いてから
‘あとはおねがいします’と普段は言わない言葉を
こちらに伝えていたのだ。
その言葉で、自分の口角が少し上がったのだ。
「少し、灸を据えるぐらいでいいだろうか」
渡された書類を手早く済ませ、恋次に声を掛ける
「少し席を外す。このまま戻らぬ可能性もある」
「どこかに出られるんすか?」
「あぁ、朽木家としての対応が必要な案件だ」
「そーっすか、いってらっしゃいませ」
恋次は、貴族ってめんどくせえっすね。とへらへらと笑う。先ほどの、小鳥遊の話も聞こえていたのだろう。
足早に自宅に戻り、仕えている者たちに
西園寺についての話を、まとめる
「しかし、白哉様なにゆえ……」
「うちの者に手を出したならな、それなりの対応をせねばならぬ」
「さようでございますか。いかがします?西園寺ごと
無くせるようなものもありますし、次男坊のみ消すということもできますが」
朽木家専用の隠密機動隊(のような者)の筆頭といえる物が、膝をつきこちらに西園寺家のことをまとめたものを提出してくる
「ひとまず、次男坊のみでいい。ゆくゆく、うちじゃない四大貴族が制裁を下すだろう」
「かしこまりました。ちなみに、次男坊をどこまで‘消し’ますか?」
「表に出てこれなくなれば良い」
「かりこまりました」
「あぁ、あと一つ。婚約を取り消すつもりながなかったら‘すべて’消して構わぬ」
「御意」
さっと姿を消したのを見届け、湯飲み残った茶を飲む。たった一人の隊士のためにここまでするのか、と言われても仕方がないが。
正直、西園寺家に身を置いていいような人材ではない。有能なモノを手放す気もない。
これはあくまでも、上司として
守るべき行動をした、と行っても過言ではないだろう。
2週間前が経ち、小鳥遊凛は
あの時のように隊長印が必要な書類を持ってきた
「朽木隊長、私の結婚、無くなったんですよ」
「……ほう?」
「次男、流魂街で若い女の子捕まえて売っていたんですって」
「………そうか」
「しかも、女の子売って‘またのご利用を’とかいうんですって、気持ち悪くないです?びっくりした」
「そのようなものと添い遂げることがなくなり良かったな」
「ほんとです。頼るべきは四大貴族で上司の朽木隊長だけでした」
「よく言う、」
結婚が取りやめになったことを喜んではいけないと
わかっていながら、どうしても口角が上がってしまう
「けど、非番申請した日は休んでいいですか?」
「好きにしたらいい」
「そうですね、結婚も取りやめになったので現世にめっちゃ辛いモノとか食べに行こうかな〜」
よかったら一緒に行きます?と小鳥遊は口角を上げる。
「まっ、朽木隊長今後とも宜しくおねがいします」
そう言って、書類をまたこちらに渡して
小鳥遊は部屋を出た。
「今度とも、というのはどういうつもりだろうな」
受け取った書類に印を押し、小鳥遊が非番を申請していた日に、自分も現世に行く用事がある頃だと気づく。
次の現世では、辛いものが食べられるようだと思いながら、その日が来るのを少しだけ待ち遠しくなったことは、自分も気づいてはいなかった。
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