くちきびゃくや
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屋敷に戻ってみても
迎えに来る笑みがなかった。
定刻よりも早いタイミングだったから
屋敷の使用人たちも驚きの表情ではあった
「おかえりなさいませ、白哉様」
「あぁ、」
「お早いお戻りで」
「あぁ」
それ以上はなにも詮索する様子もない女中が
部屋の襖を開け、自室に戻る。
箪笥から着流しを一着手に取り、死覇装から着替え
そっと縁側に出る
(まだ、凛の姿をみていないな……)
少し前から体調を
緋真が先立ってから、
もう、誰も娶るとも思っていなかった
だが、今凛を妻として迎え入れてからというものどういうわけか、仕事は捗り
屋敷に戻ってからの安寧というものは
正直計り知れないものであった
自室で書物を読み進めよう、と思ったが
凛の姿をみたい、という欲が強くなり
部屋を出て庭を歩く。
この庭を抜けると離れがある
おおよそ、凛はそこで趣味の刺繍を楽しんでいるのだろうと目星をつけ歩みを進める
(予想通りだ)
離れの縁側に人影を見かける。
桜色の羽織が風になびく
「凛」
声をかけても身動ぎもしない凛
どうやら、眠っているようだ。
黄みがかった白の布に、羽織と同じ色色の糸で
どうやら、庭に咲いている桜の刺繍をしているようだ
「このような場所で眠ると、風邪を引くぞ」
そっと、頬に触れそう申せば
ゆっくりと長い睫毛を持った瞳が、こちらをとらえる
「白哉さん、おかえりなさいませ」
「あぁ」
「私ってば、長いこと眠っていたのかしら……」
「いつから眠っていたかは知らぬが、私の戻りはいつもよりも早い。案ずるな」
ふぁ、とちいさなあくびをしてから
にこりと微笑み、よければこちらに、と、
隣に座るように促してきた
「桜を刺しているのか」
「はい、あまりにも美しくて」
「……そうか」
「白哉さんの斬魄刀も桜でしょう?
だから、私も桜が大好きですの」
桜の刺繍が施されている布は
何かを包むには小さく、手拭き等として持ち歩くには大きく、形容し難い大きさであった
「だから、好きになってほしくて」
「………誰にだ」
凛は、優しく微笑み
私の手を取ったかと思うと、そのまま凛の
下腹部に当てたのであった
「白哉さまとの子に、です」
言葉が出なかった。
緋真は、体が弱く床に伏せていた時期が長い
だから、2人で過ごす時間を大切に、と寄り添うことが一番の愛の育みだった
たが、凛は。
凛のことは、求めてしまったのだ。
そばにいるだけではモノ足らず、身体を求め
貪ってしまったのである。
それは、一度でもなければ二度にと収まらずほど
凛の身体の中に、自分の子種を残したことも何度も合った。
緩やかな鎖のように。
一種の楔のように。
この場所から、私の側から離れられないように。
私の側から消えてしまわぬように。
そう願っていたのだ
「……身ごもったのか」
「はい、先日までの体調の悪さは
それが原因ではないかとお医者様が仰ってました」
「そう、か」
肩を抱き寄せ、自らの胸元に凛の頬をよせ
抱きしめるような形をとる
「ありがとう、凛」
「こちらこそ、感謝の気持でいっぱいです」
私の片手は、凛の下腹部の上
その上に、凛の手が重なる。
それと、同時に
そっと口唇を重ねた
桜の花びらがまた、いくつか散っていく。
次の桜は、私と凛と、赤子がいるかと思うと
二人きりのこの時間が、ゆっくりと流れてほしいと
願わずにはいられなかった
迎えに来る笑みがなかった。
定刻よりも早いタイミングだったから
屋敷の使用人たちも驚きの表情ではあった
「おかえりなさいませ、白哉様」
「あぁ、」
「お早いお戻りで」
「あぁ」
それ以上はなにも詮索する様子もない女中が
部屋の襖を開け、自室に戻る。
箪笥から着流しを一着手に取り、死覇装から着替え
そっと縁側に出る
(まだ、凛の姿をみていないな……)
少し前から体調を
緋真が先立ってから、
もう、誰も娶るとも思っていなかった
だが、今凛を妻として迎え入れてからというものどういうわけか、仕事は捗り
屋敷に戻ってからの安寧というものは
正直計り知れないものであった
自室で書物を読み進めよう、と思ったが
凛の姿をみたい、という欲が強くなり
部屋を出て庭を歩く。
この庭を抜けると離れがある
おおよそ、凛はそこで趣味の刺繍を楽しんでいるのだろうと目星をつけ歩みを進める
(予想通りだ)
離れの縁側に人影を見かける。
桜色の羽織が風になびく
「凛」
声をかけても身動ぎもしない凛
どうやら、眠っているようだ。
黄みがかった白の布に、羽織と同じ色色の糸で
どうやら、庭に咲いている桜の刺繍をしているようだ
「このような場所で眠ると、風邪を引くぞ」
そっと、頬に触れそう申せば
ゆっくりと長い睫毛を持った瞳が、こちらをとらえる
「白哉さん、おかえりなさいませ」
「あぁ」
「私ってば、長いこと眠っていたのかしら……」
「いつから眠っていたかは知らぬが、私の戻りはいつもよりも早い。案ずるな」
ふぁ、とちいさなあくびをしてから
にこりと微笑み、よければこちらに、と、
隣に座るように促してきた
「桜を刺しているのか」
「はい、あまりにも美しくて」
「……そうか」
「白哉さんの斬魄刀も桜でしょう?
だから、私も桜が大好きですの」
桜の刺繍が施されている布は
何かを包むには小さく、手拭き等として持ち歩くには大きく、形容し難い大きさであった
「だから、好きになってほしくて」
「………誰にだ」
凛は、優しく微笑み
私の手を取ったかと思うと、そのまま凛の
下腹部に当てたのであった
「白哉さまとの子に、です」
言葉が出なかった。
緋真は、体が弱く床に伏せていた時期が長い
だから、2人で過ごす時間を大切に、と寄り添うことが一番の愛の育みだった
たが、凛は。
凛のことは、求めてしまったのだ。
そばにいるだけではモノ足らず、身体を求め
貪ってしまったのである。
それは、一度でもなければ二度にと収まらずほど
凛の身体の中に、自分の子種を残したことも何度も合った。
緩やかな鎖のように。
一種の楔のように。
この場所から、私の側から離れられないように。
私の側から消えてしまわぬように。
そう願っていたのだ
「……身ごもったのか」
「はい、先日までの体調の悪さは
それが原因ではないかとお医者様が仰ってました」
「そう、か」
肩を抱き寄せ、自らの胸元に凛の頬をよせ
抱きしめるような形をとる
「ありがとう、凛」
「こちらこそ、感謝の気持でいっぱいです」
私の片手は、凛の下腹部の上
その上に、凛の手が重なる。
それと、同時に
そっと口唇を重ねた
桜の花びらがまた、いくつか散っていく。
次の桜は、私と凛と、赤子がいるかと思うと
二人きりのこの時間が、ゆっくりと流れてほしいと
願わずにはいられなかった