くちきびゃくや
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(私、隊長のことが異性としてお慕いしております)
(亡き奥様のことを大切にされているのも存じ上げております。それもありきで、好きです)
鈍器に頭を殴られたような感覚とは
こういう事を言うのだろう。
(私だけを愛してとは言いません、ですが、検討していただけませんか?)
自隊の中でも、成績優秀で席官持ちで
経理をも担当してくれる、真面目な部下。
そんな印象でしか無かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その日は無礼講。
大きな討伐を終えたことに祝杯をあげようと
六番隊が全員が揃っての飲み会となった時だ
まるで店の者かのように動き回る
七席の小鳥遊凛が気になり
声をかける
「小鳥遊」
「はい、隊長」
「なぜ兄が動き回っておるのだ」
「性分、と申しますか……。これほどの大所帯です
お店にご迷惑かからぬよう、隊長のお顔に泥はつきませぬよう尽力していただけです」
空いた焼酎瓶やビール瓶を入り口近くにあつめ
届いた料理を手際よくあるべき場所に戻す。
うちに使える女中より要領がいいかもしれない
「隊長、なにか召し上がりますか?
お飲み物承ります」
「……いや、良い。それより、小鳥遊は先ほどからなにも口にしていないと見ているが」
「よく見ていらっしゃいますね」
眉を八の字にした表情を見せる
いつもきれいにまとめている一本括りが
わずかに揺れる
「おとなりよろしいですか?」
「あぁ」
どうやら、空いている席というのは
私の隣だけだったようだ。
視線をずらせば恋次が、今回活躍した若手隊士といっしょに盃を交わし、女性隊士たちもあつまり会話に花を咲かせている。
歴の長いものたちもあつまりる。
「無礼講と仰る割に、隊長はお硬い雰囲気を崩されないからどなたもお近くにいらっしゃらないですね」
「……帰る」
「そう不貞腐れないでください」
隣に座って、空いている私のお猪口に酒を注ぎ
手酌をしようとするのを止め、徳利を奪う
「無礼講だからな」
「ありがとうございます」
豆鉄砲を食らったかのような顔をしてから
ふわりと笑い、カチンと小さな音を立てて酒を煽った
「無礼講、ですからいつも言えないことを申し上げまてもよろしいですか?」
「あぁ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そうして冒頭に戻るのだ。
翌日、頭が痛いとげっそりする恋次や
その他の隊士たち。
こころなしか、自分も頭が痛い気がする
「朽木隊長、こちらに判をお願いできますか?」
「…!!あぁ」
「いかがされましたか?」
「いや、何もない」
予算案の提出であった。
相変わらず読みやすい文字が並び、今月も問題はなし
「ご確認ありがとうございます」
「あぁ」
「では、こちらを一番隊に提出してまいります」
「あぁ」
失礼します、と頭を下げ部屋を後にした
沈黙
いつもなら、筆を執り今するべき職務を全うするのだが、思考回路の廻りが悪い。
それは、きっと昨晩のあの言葉のせいだ
(異性としてお慕いしております)
眠ろうと、目を閉じても
その時の情景が流れ込むほどのことだったのだ
緋真のこともあり、色恋沙汰とはもう無縁だと
そう思っていた
向けられた好意を気づかず
今までの羽毛のような温かな優しさを思い出す
(由々しき事態だ)
筆を執り、書類を書きすすめる
恋次が驚いたような顔をしながらこちらをみている
蓋をしていた、この感情がゆっくりと嵩を増して
溢れ出てきてしまいそうだ
「恋次」
「どうしましたか」
「少し、出る」
「はい」
カツンと、荒々しく筆を置き
執務室をでる。
一番隊へ書類を届けに行ったのなら
もうそろそろ、隊舎に戻ってくるだろう。
戻ってきたところで、声をかけよう
「戻ったか」
「はい、隊長はどこかへ向かわれるのですか?」
「あぁ」
「作用でございますか。お気をつけて行ってらっしゃいませ」
六、と大きく書かれた門の前で
恭しく頭を下げる小鳥遊
「小鳥遊」
「はい?」
「共に来て欲しいところがある」
「かしこまりました」
どこへ向かうかも決めていはいないが
少しゆっくり話そう。
小鳥遊のことを知るために、お互いのことを
もう少し仕事ではない話をしてみたい。
これからの未来のために
(亡き奥様のことを大切にされているのも存じ上げております。それもありきで、好きです)
鈍器に頭を殴られたような感覚とは
こういう事を言うのだろう。
(私だけを愛してとは言いません、ですが、検討していただけませんか?)
自隊の中でも、成績優秀で席官持ちで
経理をも担当してくれる、真面目な部下。
そんな印象でしか無かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その日は無礼講。
大きな討伐を終えたことに祝杯をあげようと
六番隊が全員が揃っての飲み会となった時だ
まるで店の者かのように動き回る
七席の小鳥遊凛が気になり
声をかける
「小鳥遊」
「はい、隊長」
「なぜ兄が動き回っておるのだ」
「性分、と申しますか……。これほどの大所帯です
お店にご迷惑かからぬよう、隊長のお顔に泥はつきませぬよう尽力していただけです」
空いた焼酎瓶やビール瓶を入り口近くにあつめ
届いた料理を手際よくあるべき場所に戻す。
うちに使える女中より要領がいいかもしれない
「隊長、なにか召し上がりますか?
お飲み物承ります」
「……いや、良い。それより、小鳥遊は先ほどからなにも口にしていないと見ているが」
「よく見ていらっしゃいますね」
眉を八の字にした表情を見せる
いつもきれいにまとめている一本括りが
わずかに揺れる
「おとなりよろしいですか?」
「あぁ」
どうやら、空いている席というのは
私の隣だけだったようだ。
視線をずらせば恋次が、今回活躍した若手隊士といっしょに盃を交わし、女性隊士たちもあつまり会話に花を咲かせている。
歴の長いものたちもあつまりる。
「無礼講と仰る割に、隊長はお硬い雰囲気を崩されないからどなたもお近くにいらっしゃらないですね」
「……帰る」
「そう不貞腐れないでください」
隣に座って、空いている私のお猪口に酒を注ぎ
手酌をしようとするのを止め、徳利を奪う
「無礼講だからな」
「ありがとうございます」
豆鉄砲を食らったかのような顔をしてから
ふわりと笑い、カチンと小さな音を立てて酒を煽った
「無礼講、ですからいつも言えないことを申し上げまてもよろしいですか?」
「あぁ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そうして冒頭に戻るのだ。
翌日、頭が痛いとげっそりする恋次や
その他の隊士たち。
こころなしか、自分も頭が痛い気がする
「朽木隊長、こちらに判をお願いできますか?」
「…!!あぁ」
「いかがされましたか?」
「いや、何もない」
予算案の提出であった。
相変わらず読みやすい文字が並び、今月も問題はなし
「ご確認ありがとうございます」
「あぁ」
「では、こちらを一番隊に提出してまいります」
「あぁ」
失礼します、と頭を下げ部屋を後にした
沈黙
いつもなら、筆を執り今するべき職務を全うするのだが、思考回路の廻りが悪い。
それは、きっと昨晩のあの言葉のせいだ
(異性としてお慕いしております)
眠ろうと、目を閉じても
その時の情景が流れ込むほどのことだったのだ
緋真のこともあり、色恋沙汰とはもう無縁だと
そう思っていた
向けられた好意を気づかず
今までの羽毛のような温かな優しさを思い出す
(由々しき事態だ)
筆を執り、書類を書きすすめる
恋次が驚いたような顔をしながらこちらをみている
蓋をしていた、この感情がゆっくりと嵩を増して
溢れ出てきてしまいそうだ
「恋次」
「どうしましたか」
「少し、出る」
「はい」
カツンと、荒々しく筆を置き
執務室をでる。
一番隊へ書類を届けに行ったのなら
もうそろそろ、隊舎に戻ってくるだろう。
戻ってきたところで、声をかけよう
「戻ったか」
「はい、隊長はどこかへ向かわれるのですか?」
「あぁ」
「作用でございますか。お気をつけて行ってらっしゃいませ」
六、と大きく書かれた門の前で
恭しく頭を下げる小鳥遊
「小鳥遊」
「はい?」
「共に来て欲しいところがある」
「かしこまりました」
どこへ向かうかも決めていはいないが
少しゆっくり話そう。
小鳥遊のことを知るために、お互いのことを
もう少し仕事ではない話をしてみたい。
これからの未来のために
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