あやせがわゆみちか
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「こんにちは」
ある日の昼下がり、十一番隊を訪れた
一人の隊士
「綾瀬川五席こちらをお持ちしました」
「あぁ、わざわざ済まないね」
「いえ、仕事ですから」
すぐ渡すから、と断った男
その答えを受け、近く空いている椅子に腰を掛ける女
「最近、忙しのかい?」
「ええ、それなりに」
「今度、合同訓練とかできないのかな。ここのやつらは戦い方が美しくない」
「双方の隊長たちが相容れないので、難しいかと」
「それも、そうだね」
だんだんと話している女
小鳥遊凛
彼女は、護廷十三隊 二番隊の五席という
席官である。
そうして、話している男
綾瀬川弓親は、そんな小鳥遊凛の同期だ
小鳥遊凛が話せる数少ない友人、とも言える
「おまたせ、これでいいと思う」
「お手数をおかけしました」
「あ、小鳥遊。今日の夜に予定はあるかい?」
「………特にないかと」
「よかったら久しぶりに食事でもどうだい?」
「なぜ、私と」
「なぜって、僕が食事したいと思ったからだよ」
すこし、うーんと唸ってから
わかりました、と歯切れの悪い返答がきた
「じゃぁ、また後で」
「はい、失礼しました」
ぺこり、と頭を下げるてから
すぐに姿を消した女
「二番隊に行ってから、笑わなくなったよなあいつ」 「……一角」
「俺が知っている小鳥遊凛なら、
もーちょい愛想よかったはずなんだけどなぁ…」
「一角は、なぜ彼女が二番隊にいるか知っているかい?」
男はそっと筆を置いて、湯飲みに手を伸ばす
ふと、机には置いた記憶のない練り切りが一つ
菖蒲を模したきれいなモノだった
「知らねぇな」
一角、と呼ばれた男は悩む暇もないほど早い答えを出した
先程まで女と話していた男は、ふぅと一息ついてすっかりし冷めてしまったほうじ茶を流し込んだ
「突然、彼女の両親は殺されたんだ」
そう言い放つと、一角は眉間にしわを大きく寄せた
「……は?」
「その理由はあまりにも理解しがたいことだった」
男は何かを思い出すように目を閉じた
彼女が涙を流したのもその日が最後で
笑顔を見せたのはその日が最後だった
(お父様、お母様…、なん、で!!)
いつものように、真央霊術院からの帰り
男こと弓親と女凛は共に帰っていた。
弓親の家は凛の家よりも奥に合ったため
いつも帰りは凛を送って帰っていたのだった
その日は、居残り勉強をして少しいつもより遅い帰りになってしまったのだった。
新しい鬼道の詠唱を覚えて、微力だけど破道を出すことかできた。
そう話していて、両親にもこの話をするんだ!と
向日葵のような笑顔を見せていた凛
凛から別れて、数刻も経たないうちに
弓親は、自分の両親に凛の両親が
貴族によって殺された、と言われたのだ
心配になって、親の制止も聞かずに
弓親は凛の家に走った。
『凛……』
家の前に座り込んで、
どこを捉えているかわからない視線
まるで人形のように生気のない顔の凛がいた
『凛』
『ゆみ、ち、か?』
『うん、僕だよ』
近所の人が、全てを教えてくれたらしい。
凛の両親は、正しい人であった。
だからこそ、貴族にとっては邪魔な存在だった
殺した三流貴族の名前は、悪い意味で世間に広まっていった。
もともと、いい噂を聞かない貴族だった。
だからといって、安寧に暮らしていた庶民を
手にかけていい理由にはならなかった
『私、二番隊に希望出そうと思う』
『え……?』
『死神になって、私は……』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「犯人はわかっていて、彼女は二番隊に入れば
その場所に立ち入ることができる、と言っていたんだ」
あの場所。
つまり、自分の両親を殺した貴族の屋敷を指すのかは
わからないけど、近くに行ける。手にかけることができる。そう気づいたあの日。
『落とし前、付けてもらってくる
同じ、満月の日に……必ず』
光の失った目に、
あの日の満月が浮かんでいた
「あいつもなかなか大変だな」
「大変だ、で片付けていいのかはわからないけど
……そうだね。大変だね」
凛の両親を殺した罪は大きい。
自分の親が殺されたらって思うと、まざまざと溢れ出す殺意は致し方がないことだとは思う。
だが
両親の恨み、仇、復讐
なんて美しくないのだろう
なぜ、美しく笑う凛が美しくない
そんな罪を背負わなければならないのかは
僕には理解しがたいのだ
「今日、飯いけるといいな」
「うん、行けると思うよ」
「えらい自信があるな」
「凛は、僕との約束を破ることはないからね」
男の机の近くにある暦には
数字の近くに丸の印がある
「そーかよ」
「うん、だから大丈夫」
「俺も、あいつのことは知ってるから
今度飯行くときには飲みにするか?」
「…考えてみるよ」
「どんちゃん浴びるように酒を飲む席なら、また気分も変わるだろ?」
「二番隊にはそういうの無さそうだしね」
「だろ?聞いておいてくれ」
「うん、わかった」
男は机の暦をめくる。
次、食事に誘うのはこの日だろうと目星をつける
「近くになったら日程教えるよ」
「そうしてくれ」
話を終えた男たち。
1人は部屋を出て、1人はまた筆を執り書類に目を通す。
暦に書かれているその丸は
月の満ち欠けを表しているということは
まだ、誰も知らない
(僕は阻止し続ける
君が美しくない罪に身を染めてしまわぬように)
ある日の昼下がり、十一番隊を訪れた
一人の隊士
「綾瀬川五席こちらをお持ちしました」
「あぁ、わざわざ済まないね」
「いえ、仕事ですから」
すぐ渡すから、と断った男
その答えを受け、近く空いている椅子に腰を掛ける女
「最近、忙しのかい?」
「ええ、それなりに」
「今度、合同訓練とかできないのかな。ここのやつらは戦い方が美しくない」
「双方の隊長たちが相容れないので、難しいかと」
「それも、そうだね」
だんだんと話している女
小鳥遊凛
彼女は、護廷十三隊 二番隊の五席という
席官である。
そうして、話している男
綾瀬川弓親は、そんな小鳥遊凛の同期だ
小鳥遊凛が話せる数少ない友人、とも言える
「おまたせ、これでいいと思う」
「お手数をおかけしました」
「あ、小鳥遊。今日の夜に予定はあるかい?」
「………特にないかと」
「よかったら久しぶりに食事でもどうだい?」
「なぜ、私と」
「なぜって、僕が食事したいと思ったからだよ」
すこし、うーんと唸ってから
わかりました、と歯切れの悪い返答がきた
「じゃぁ、また後で」
「はい、失礼しました」
ぺこり、と頭を下げるてから
すぐに姿を消した女
「二番隊に行ってから、笑わなくなったよなあいつ」 「……一角」
「俺が知っている小鳥遊凛なら、
もーちょい愛想よかったはずなんだけどなぁ…」
「一角は、なぜ彼女が二番隊にいるか知っているかい?」
男はそっと筆を置いて、湯飲みに手を伸ばす
ふと、机には置いた記憶のない練り切りが一つ
菖蒲を模したきれいなモノだった
「知らねぇな」
一角、と呼ばれた男は悩む暇もないほど早い答えを出した
先程まで女と話していた男は、ふぅと一息ついてすっかりし冷めてしまったほうじ茶を流し込んだ
「突然、彼女の両親は殺されたんだ」
そう言い放つと、一角は眉間にしわを大きく寄せた
「……は?」
「その理由はあまりにも理解しがたいことだった」
男は何かを思い出すように目を閉じた
彼女が涙を流したのもその日が最後で
笑顔を見せたのはその日が最後だった
(お父様、お母様…、なん、で!!)
いつものように、真央霊術院からの帰り
男こと弓親と女凛は共に帰っていた。
弓親の家は凛の家よりも奥に合ったため
いつも帰りは凛を送って帰っていたのだった
その日は、居残り勉強をして少しいつもより遅い帰りになってしまったのだった。
新しい鬼道の詠唱を覚えて、微力だけど破道を出すことかできた。
そう話していて、両親にもこの話をするんだ!と
向日葵のような笑顔を見せていた凛
凛から別れて、数刻も経たないうちに
弓親は、自分の両親に凛の両親が
貴族によって殺された、と言われたのだ
心配になって、親の制止も聞かずに
弓親は凛の家に走った。
『凛……』
家の前に座り込んで、
どこを捉えているかわからない視線
まるで人形のように生気のない顔の凛がいた
『凛』
『ゆみ、ち、か?』
『うん、僕だよ』
近所の人が、全てを教えてくれたらしい。
凛の両親は、正しい人であった。
だからこそ、貴族にとっては邪魔な存在だった
殺した三流貴族の名前は、悪い意味で世間に広まっていった。
もともと、いい噂を聞かない貴族だった。
だからといって、安寧に暮らしていた庶民を
手にかけていい理由にはならなかった
『私、二番隊に希望出そうと思う』
『え……?』
『死神になって、私は……』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「犯人はわかっていて、彼女は二番隊に入れば
その場所に立ち入ることができる、と言っていたんだ」
あの場所。
つまり、自分の両親を殺した貴族の屋敷を指すのかは
わからないけど、近くに行ける。手にかけることができる。そう気づいたあの日。
『落とし前、付けてもらってくる
同じ、満月の日に……必ず』
光の失った目に、
あの日の満月が浮かんでいた
「あいつもなかなか大変だな」
「大変だ、で片付けていいのかはわからないけど
……そうだね。大変だね」
凛の両親を殺した罪は大きい。
自分の親が殺されたらって思うと、まざまざと溢れ出す殺意は致し方がないことだとは思う。
だが
両親の恨み、仇、復讐
なんて美しくないのだろう
なぜ、美しく笑う凛が美しくない
そんな罪を背負わなければならないのかは
僕には理解しがたいのだ
「今日、飯いけるといいな」
「うん、行けると思うよ」
「えらい自信があるな」
「凛は、僕との約束を破ることはないからね」
男の机の近くにある暦には
数字の近くに丸の印がある
「そーかよ」
「うん、だから大丈夫」
「俺も、あいつのことは知ってるから
今度飯行くときには飲みにするか?」
「…考えてみるよ」
「どんちゃん浴びるように酒を飲む席なら、また気分も変わるだろ?」
「二番隊にはそういうの無さそうだしね」
「だろ?聞いておいてくれ」
「うん、わかった」
男は机の暦をめくる。
次、食事に誘うのはこの日だろうと目星をつける
「近くになったら日程教えるよ」
「そうしてくれ」
話を終えた男たち。
1人は部屋を出て、1人はまた筆を執り書類に目を通す。
暦に書かれているその丸は
月の満ち欠けを表しているということは
まだ、誰も知らない
(僕は阻止し続ける
君が美しくない罪に身を染めてしまわぬように)
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