ながいはなし
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「やぁ、小鳥遊ちゃん」
「お疲れさまです」
隊長就任の1日前
約束していた京楽との墓参りに向かった小鳥遊は
手には備えるための花と、お菓子を持っていた。
「それじゃぁ、行こうか」
「はい」
2人が落ち合ったのは、仕事終わりから1時間後
夕日がゆっくりと沈んでいく頃だった。
山本元柳斎重國と浮竹が石碑のある場所は
そこまで遠くもなく、まだ空がオレンジ色に染まっていた
「着いたね」
「そうですね」
「先客だね」
石碑の前に両手を合わせている死神がいた。
ふわり、と風が吹くと肩口にある黒髪がなびいて
金色の髪も見えた。
よく見ると、腕に副官章もあるではないか。
「マコト……?」
「あ、お疲れさまです」
「やぁマコトくん。お疲れさま」
2人に気づき振り返り、頭を下げた平
「浮竹隊長に挨拶したかったのと、山本総隊長にお礼をしてました」
「山じいにお礼?それもまた、どうして?」
「俺に実家をくれた人と伺ったんでね」
「例の平屋かい?知らなかったんだ」
「そうなんです、お恥ずかしながら」
「なんか、ごめんね?」
「ええて、別に気にしてへん。やけど、お礼できてないのも、申し訳ないなぁと思て」
「墓参り行くって言ってたもんね」
「せや、早いほうがええやろ?」
言い合いしている2人を見て、京楽は
どこか安心していた。
この2人はちゃんと母親だし息子である。
そして、その息子もしっかりとあの男の息子なんだと
納得せざるを得なかった。
「ごめんよ、浮竹。僕が説得しても平くんは
十三番隊の隊長になってくれなかった」
「それに関しては、俺も謝りました。
せやけど、ルキア隊長になったことも浮竹隊長なら喜んでくれると思っておりますわぁ」
「そうかもね、平くんもいることだし……」
京楽は持っていた袋から、
真っ白な羽織を取り出した。
ひらりと、蘇芳色がはためいた。
「じゃーーーん」
「おお、」
「出来上がったんですね」
「そりゃね、これ羽織って二人に見せてあげようよ」
「あはは、恥ずかしいですね」
「ええやん、めったにない機会やん?」
はい、と京楽の手によって広げられた羽織に
腕を通して、袂をなおす。
足首辺りまで裾がある白い羽織の背中には【八】
「小鳥遊隊長や」
「いやぁ、なんだか懐かしいや」
「俺も懐かしいですわ」
「……私もです」
全員が懐かしい気持ちに打ちひしがれる。
どこか暖かい風が巻き上がり、木々や草たちを一気に揺らした
「山じいったらはしゃいじゃって」
「浮竹隊長かもしれまさんよ、母さんが好きって言ってた最中もって今にでも手を振って合流しそうや」
「ほんと、お二方にこの姿を見せることができてよかった……」
小鳥遊の目から、一粒涙がこぼれる。
それは、なかなか止まらなくてポロポロと落ちていくのを、京楽と平はただ見つめることしかできなかった
「羽織、汚しそうなので脱いで良いですか」
「明日からずっと着るものだからね?」
「今日は、死覇装でいることが許される日ですよね?」
「そうだね」
「はい、羽織脱ぐんやね〜」
首元を少し上げた平は
するり、と慣れた手つきで羽織を抜き取った。
「これ、袋ね」
「はい、家帰ったら衣紋掛けに掛けえよ」
「マコトかけておいてくれないの?」
「なーーに言うてんの。俺が羽織持ってたら怪しいやん。それに、今から檜佐木くんと飯いくんよ」
「お、副隊長同士仲良くてなにより!たまには七緒ちゃんも誘ってあげてね?」
「伊勢さんよりも、沖牙さんの方が個人的に気になってるんですがどうです?」
「あはは、きっと彼も喜ぶよ」
「ほんなら、次の副隊長集まりで声かけてみようかな。じゃぁ、お二人はごゆっくり」
「うん、またね。マコトくん」
「ありがとう」
平が去った後、敷物を用意していた二人は
石碑の前に腰を下ろし、各々持ってきていたものを
手早く準備した
小鳥遊は花を石碑に手向けて、手を合わせ目を閉じる
それを横目に京楽は持ってきていたお猪口で酒を飲んだ
「明日は七緒ちゃんも一緒に八番隊にいくようにしてあるから安心してね」
「そのまま、副隊長にしちゃいたくなりますね」
「それは僕が、困るよぉ〜」
「リサが首を縦に振るのがいつになることやら……」
「根気よく話していくよ、任せて」
「現世にに降りた時、リサと同じ死覇装にしたらやるって言われたんですよ」
「わぁ、それは……似合うと思うよ」
「……真子に悩むな!って怒られましたけど」
「あっはは、ガード硬いなぁ。平子くん」
京楽は目を閉じで、あの百年以上になった
夜の出来事を思い返しているようだった。
懐かしい気持ち、そして、やるせない気持ちが
今も昨日のことのように覚えているのだ
「真子と話したんです。あの夜のことがなかったら…今ごろどうなっていたのかな〜って」
「……そうだねぇ、こんなふうに小鳥遊ちゃんと飲むことはなかったかもね」
「そうですね」
「浮竹も死ななかったし、山じいに斬魄刀向けることもなかったかもしれない」
「そんなことがあったんですね」
「うん、懐かしいなぁ……」
崩玉がなければ起こらなかったこと。
崩玉があっても起こったであろうこともある。
「また、違う大きな事があったのかと思うと……想像するのも怖いですね」
「そうだね、この平和が全ての答えかもね」
「そうですね」
はい、と京楽か持っていたお猪口をたわされる
普段あまりお酒を呑まない小鳥遊だが
そのお猪口を受け取り、カツンと乾杯した
「八番隊のこと、頼んだよ」
「かしこまりました」
「お疲れさまです」
隊長就任の1日前
約束していた京楽との墓参りに向かった小鳥遊は
手には備えるための花と、お菓子を持っていた。
「それじゃぁ、行こうか」
「はい」
2人が落ち合ったのは、仕事終わりから1時間後
夕日がゆっくりと沈んでいく頃だった。
山本元柳斎重國と浮竹が石碑のある場所は
そこまで遠くもなく、まだ空がオレンジ色に染まっていた
「着いたね」
「そうですね」
「先客だね」
石碑の前に両手を合わせている死神がいた。
ふわり、と風が吹くと肩口にある黒髪がなびいて
金色の髪も見えた。
よく見ると、腕に副官章もあるではないか。
「マコト……?」
「あ、お疲れさまです」
「やぁマコトくん。お疲れさま」
2人に気づき振り返り、頭を下げた平
「浮竹隊長に挨拶したかったのと、山本総隊長にお礼をしてました」
「山じいにお礼?それもまた、どうして?」
「俺に実家をくれた人と伺ったんでね」
「例の平屋かい?知らなかったんだ」
「そうなんです、お恥ずかしながら」
「なんか、ごめんね?」
「ええて、別に気にしてへん。やけど、お礼できてないのも、申し訳ないなぁと思て」
「墓参り行くって言ってたもんね」
「せや、早いほうがええやろ?」
言い合いしている2人を見て、京楽は
どこか安心していた。
この2人はちゃんと母親だし息子である。
そして、その息子もしっかりとあの男の息子なんだと
納得せざるを得なかった。
「ごめんよ、浮竹。僕が説得しても平くんは
十三番隊の隊長になってくれなかった」
「それに関しては、俺も謝りました。
せやけど、ルキア隊長になったことも浮竹隊長なら喜んでくれると思っておりますわぁ」
「そうかもね、平くんもいることだし……」
京楽は持っていた袋から、
真っ白な羽織を取り出した。
ひらりと、蘇芳色がはためいた。
「じゃーーーん」
「おお、」
「出来上がったんですね」
「そりゃね、これ羽織って二人に見せてあげようよ」
「あはは、恥ずかしいですね」
「ええやん、めったにない機会やん?」
はい、と京楽の手によって広げられた羽織に
腕を通して、袂をなおす。
足首辺りまで裾がある白い羽織の背中には【八】
「小鳥遊隊長や」
「いやぁ、なんだか懐かしいや」
「俺も懐かしいですわ」
「……私もです」
全員が懐かしい気持ちに打ちひしがれる。
どこか暖かい風が巻き上がり、木々や草たちを一気に揺らした
「山じいったらはしゃいじゃって」
「浮竹隊長かもしれまさんよ、母さんが好きって言ってた最中もって今にでも手を振って合流しそうや」
「ほんと、お二方にこの姿を見せることができてよかった……」
小鳥遊の目から、一粒涙がこぼれる。
それは、なかなか止まらなくてポロポロと落ちていくのを、京楽と平はただ見つめることしかできなかった
「羽織、汚しそうなので脱いで良いですか」
「明日からずっと着るものだからね?」
「今日は、死覇装でいることが許される日ですよね?」
「そうだね」
「はい、羽織脱ぐんやね〜」
首元を少し上げた平は
するり、と慣れた手つきで羽織を抜き取った。
「これ、袋ね」
「はい、家帰ったら衣紋掛けに掛けえよ」
「マコトかけておいてくれないの?」
「なーーに言うてんの。俺が羽織持ってたら怪しいやん。それに、今から檜佐木くんと飯いくんよ」
「お、副隊長同士仲良くてなにより!たまには七緒ちゃんも誘ってあげてね?」
「伊勢さんよりも、沖牙さんの方が個人的に気になってるんですがどうです?」
「あはは、きっと彼も喜ぶよ」
「ほんなら、次の副隊長集まりで声かけてみようかな。じゃぁ、お二人はごゆっくり」
「うん、またね。マコトくん」
「ありがとう」
平が去った後、敷物を用意していた二人は
石碑の前に腰を下ろし、各々持ってきていたものを
手早く準備した
小鳥遊は花を石碑に手向けて、手を合わせ目を閉じる
それを横目に京楽は持ってきていたお猪口で酒を飲んだ
「明日は七緒ちゃんも一緒に八番隊にいくようにしてあるから安心してね」
「そのまま、副隊長にしちゃいたくなりますね」
「それは僕が、困るよぉ〜」
「リサが首を縦に振るのがいつになることやら……」
「根気よく話していくよ、任せて」
「現世にに降りた時、リサと同じ死覇装にしたらやるって言われたんですよ」
「わぁ、それは……似合うと思うよ」
「……真子に悩むな!って怒られましたけど」
「あっはは、ガード硬いなぁ。平子くん」
京楽は目を閉じで、あの百年以上になった
夜の出来事を思い返しているようだった。
懐かしい気持ち、そして、やるせない気持ちが
今も昨日のことのように覚えているのだ
「真子と話したんです。あの夜のことがなかったら…今ごろどうなっていたのかな〜って」
「……そうだねぇ、こんなふうに小鳥遊ちゃんと飲むことはなかったかもね」
「そうですね」
「浮竹も死ななかったし、山じいに斬魄刀向けることもなかったかもしれない」
「そんなことがあったんですね」
「うん、懐かしいなぁ……」
崩玉がなければ起こらなかったこと。
崩玉があっても起こったであろうこともある。
「また、違う大きな事があったのかと思うと……想像するのも怖いですね」
「そうだね、この平和が全ての答えかもね」
「そうですね」
はい、と京楽か持っていたお猪口をたわされる
普段あまりお酒を呑まない小鳥遊だが
そのお猪口を受け取り、カツンと乾杯した
「八番隊のこと、頼んだよ」
「かしこまりました」