ながいはなし
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手には六枚の推薦状と、各隊から回収してきた 一番隊への提出書類たち。
回収したものは、対応している人達にまわし 小鳥遊は、京楽のいる隊主室へと向かった
「失礼します、小鳥遊です」
「はーい。いますよぉ」
「入ります」
部屋に入ると目の前にある衣紋掛けには、八番隊の時に 肩からかけていたピンク色の羽織
最近は、それを肩に掛けていることはない
「京楽隊長、これを」
「朝から、忙しそうに回っていたみたいだね」
「勢いがないとやっていけませんから……」
「そっか、うん、じゃぁ、コレも合わせて」
六枚並んだ推薦状
そうして京楽は机の中から もう一部の推薦状を出した
推薦状の横に、また別の書類があり小鳥遊は目を見開いた
「それ、は……」
「ちょうど、二、三、四番隊の隊長たちと 話があってね、ついでにもらっちゃった」
「ついで、って……」
「うん、これで隊長になるための書類はすべて揃ったね。お疲れ様小鳥遊ちゃん」
なぜだが、急に寂しさが襲ってくる じんわりと視界が滲み出し、涙が一つこぼれた
「小鳥遊ちゃん……」
「すいま、せん……」
「いや、いいんだ」
直ぐ立ち上がり、小鳥遊の肩を抱いて 近くのソファに2人で並んで座る
「小鳥遊ちゃんはらいつも自分のことは二の次にしてしまうから、本当は隊長、やりたくないでしょう?」
「……………」
「前に隊長になった時も、半ば強制的に上げて大変な思い、したよね」
「あのときは、がむしゃらでしたね」
「マコトくんのこともあった。あの大変な中本当に小鳥遊ちゃんはよくやってくれたね」
「ありがとう、ございま、す」
「ちょっと、待ってて」
昔話に花を咲かせる手前、京楽は渡さないといけないものがある事を思い出した。
「おまたせ、コレを返しておくよ」
「これ、は……」
「山じぃったら、よほど小鳥遊ちゃんが隊長を辞めたの悲しかったんだね」
「懐かしい、なぁ……」
それは昔、小鳥遊が隊長となった時 山本元柳斎重國が、小鳥遊に渡した髪留めだった。
小鳥遊の黒髪に映える、赤い絞りで作られた菊が美しかった。
小鳥遊が隊長の座を降りる時に、その髪飾りを 隊長羽織と一緒に、一番隊へ戻したのだった。
気づかれないと思っていたが、雀部副隊長が気づいて 山本の手に戻ってきたのだろう
「こんな桐箱にいれて、ちょっとやそっとじゃ傷つかない加工までしちゃってさ」
「………お優しい方ですよね、山本総隊長って」
再度、隣に座った京楽から髪飾りを受け取る小鳥遊
その絞りから、山本の霊圧を感じられそうなほど
見るとココロにあの炎がともされる
決して、消えない強い炎が宿る
「あの時のような、喪失感はもうないのかい?」
「白哉くんにも、もう逃げないかって釘刺されちゃいました。あれほどやんちゃな子だったのに、あんなに無口で高貴な方になるとは思いもしませんでしたね」
「はは、そんな事言えるのも少なくなったからね」
「だからそこ、私が隊長をやっていた事を知っている人が少ないからこそ、また、隊長やれるかなと思っています」
「僕たちが空座町にいた時に尸魂界の総指揮を執っていたのは、他でもない小鳥遊ちゃんだ。七緒ちゃんの記録にも残っている。おかげて、瀞霊廷内でも大きな混乱も起こらなかったし、僕たちも無事に戻ってこれている。だから、大丈夫。浮竹だって、卯ノ花さんだって思っているに違いないさ」
小鳥遊は、ハーフアップにした髪で小さくお団子を作り、受け取った菊の髪飾りを差し込む。
その姿は、100年経った今もあの時を思い出されるようだった。
「八番隊隊長、就任おめでとう。 僕の大切な小鳥遊ちゃん。キミの隊長としての働きを僕は信じているからね」
「ありがとうございます」
「就任式は、月末にしよう。月初から八番隊として動けるように手筈をこちらも整えておく」
「はい、かしこまりました」
「あと2週間ほどだ」
「それまで一番隊として、頑張ります」
「小鳥遊ちゃん」
声をかけられ、小鳥遊は京楽と微笑み合い そうして、広げてあった腕にすがりついた。
「本当にありがとう」
「いつも、助けていただいてありがとうございます」
これの抱擁は、下心なんかない
感謝、しかない
この信頼の抱擁は優しく どこか寂しいものだった
「たとえ、一番隊を離れても 僕が総隊長である限り、僕の部下だよ。いつでも頼ってくれていいからね?」
「ありがたいお言葉です」
抱擁を終え、小鳥遊と京楽は立ち上がる 京楽は自分の机に向かう。
「就任式までには羽織が出来上がるけど 袖はあるものでいいかな?」
「選べるんですか、それ」
「一応ねぇ」
「袖はあるとうれしいです」
「袖あり、ね。採寸とかあるから明日明後日のうちに行ってもらえるとうれしいな」
「わかりました」
「それと、就任式の前の日僕に時間くれるかな?」 「もちろんです」
「山じいや卯ノ花さん、浮竹に姿を見せよう」
あの遺影碑の前で一杯やろうねと 最後に微笑み、小鳥遊は隊主室を後にした
回収したものは、対応している人達にまわし 小鳥遊は、京楽のいる隊主室へと向かった
「失礼します、小鳥遊です」
「はーい。いますよぉ」
「入ります」
部屋に入ると目の前にある衣紋掛けには、八番隊の時に 肩からかけていたピンク色の羽織
最近は、それを肩に掛けていることはない
「京楽隊長、これを」
「朝から、忙しそうに回っていたみたいだね」
「勢いがないとやっていけませんから……」
「そっか、うん、じゃぁ、コレも合わせて」
六枚並んだ推薦状
そうして京楽は机の中から もう一部の推薦状を出した
推薦状の横に、また別の書類があり小鳥遊は目を見開いた
「それ、は……」
「ちょうど、二、三、四番隊の隊長たちと 話があってね、ついでにもらっちゃった」
「ついで、って……」
「うん、これで隊長になるための書類はすべて揃ったね。お疲れ様小鳥遊ちゃん」
なぜだが、急に寂しさが襲ってくる じんわりと視界が滲み出し、涙が一つこぼれた
「小鳥遊ちゃん……」
「すいま、せん……」
「いや、いいんだ」
直ぐ立ち上がり、小鳥遊の肩を抱いて 近くのソファに2人で並んで座る
「小鳥遊ちゃんはらいつも自分のことは二の次にしてしまうから、本当は隊長、やりたくないでしょう?」
「……………」
「前に隊長になった時も、半ば強制的に上げて大変な思い、したよね」
「あのときは、がむしゃらでしたね」
「マコトくんのこともあった。あの大変な中本当に小鳥遊ちゃんはよくやってくれたね」
「ありがとう、ございま、す」
「ちょっと、待ってて」
昔話に花を咲かせる手前、京楽は渡さないといけないものがある事を思い出した。
「おまたせ、コレを返しておくよ」
「これ、は……」
「山じぃったら、よほど小鳥遊ちゃんが隊長を辞めたの悲しかったんだね」
「懐かしい、なぁ……」
それは昔、小鳥遊が隊長となった時 山本元柳斎重國が、小鳥遊に渡した髪留めだった。
小鳥遊の黒髪に映える、赤い絞りで作られた菊が美しかった。
小鳥遊が隊長の座を降りる時に、その髪飾りを 隊長羽織と一緒に、一番隊へ戻したのだった。
気づかれないと思っていたが、雀部副隊長が気づいて 山本の手に戻ってきたのだろう
「こんな桐箱にいれて、ちょっとやそっとじゃ傷つかない加工までしちゃってさ」
「………お優しい方ですよね、山本総隊長って」
再度、隣に座った京楽から髪飾りを受け取る小鳥遊
その絞りから、山本の霊圧を感じられそうなほど
見るとココロにあの炎がともされる
決して、消えない強い炎が宿る
「あの時のような、喪失感はもうないのかい?」
「白哉くんにも、もう逃げないかって釘刺されちゃいました。あれほどやんちゃな子だったのに、あんなに無口で高貴な方になるとは思いもしませんでしたね」
「はは、そんな事言えるのも少なくなったからね」
「だからそこ、私が隊長をやっていた事を知っている人が少ないからこそ、また、隊長やれるかなと思っています」
「僕たちが空座町にいた時に尸魂界の総指揮を執っていたのは、他でもない小鳥遊ちゃんだ。七緒ちゃんの記録にも残っている。おかげて、瀞霊廷内でも大きな混乱も起こらなかったし、僕たちも無事に戻ってこれている。だから、大丈夫。浮竹だって、卯ノ花さんだって思っているに違いないさ」
小鳥遊は、ハーフアップにした髪で小さくお団子を作り、受け取った菊の髪飾りを差し込む。
その姿は、100年経った今もあの時を思い出されるようだった。
「八番隊隊長、就任おめでとう。 僕の大切な小鳥遊ちゃん。キミの隊長としての働きを僕は信じているからね」
「ありがとうございます」
「就任式は、月末にしよう。月初から八番隊として動けるように手筈をこちらも整えておく」
「はい、かしこまりました」
「あと2週間ほどだ」
「それまで一番隊として、頑張ります」
「小鳥遊ちゃん」
声をかけられ、小鳥遊は京楽と微笑み合い そうして、広げてあった腕にすがりついた。
「本当にありがとう」
「いつも、助けていただいてありがとうございます」
これの抱擁は、下心なんかない
感謝、しかない
この信頼の抱擁は優しく どこか寂しいものだった
「たとえ、一番隊を離れても 僕が総隊長である限り、僕の部下だよ。いつでも頼ってくれていいからね?」
「ありがたいお言葉です」
抱擁を終え、小鳥遊と京楽は立ち上がる 京楽は自分の机に向かう。
「就任式までには羽織が出来上がるけど 袖はあるものでいいかな?」
「選べるんですか、それ」
「一応ねぇ」
「袖はあるとうれしいです」
「袖あり、ね。採寸とかあるから明日明後日のうちに行ってもらえるとうれしいな」
「わかりました」
「それと、就任式の前の日僕に時間くれるかな?」 「もちろんです」
「山じいや卯ノ花さん、浮竹に姿を見せよう」
あの遺影碑の前で一杯やろうねと 最後に微笑み、小鳥遊は隊主室を後にした